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34、私は本気まる出しなのだ




「いち…に…さん…し…。いち…に…さん…し…」



 部屋の中には数を数える私の声と、くるくると回る私の姿。



「いち…に…さん…し…。いち…に…さん…し…」



 たどたどしい足取りと、慣れない体の動かし方。



「いち…に…さん…し…。いち…に…さん…し…」



 運動不足なのも相まって、どんどん息が上がっていく。



「いち…に…さん…し…。いち…に…さん…し…」



 それでも、くるんと回る度にスカートが外に広がってちょっと面白い。




 さて、私が今何をしているかというと、誰が何と言おうとダンスの練習ですよ。


 え、見えない? あなたの目は節穴なのですか?



 そんな事より何故私がダンスの練習をしているかというと、今月末にある千聖君の誕生パーティーの為。


 千聖君のパーティーでは私と千聖君でダンスを踊る事になっている。


 それが毎年の恒例となっているので、今年もいつも通りの流れとなるのだ……。



 それは良いんだけど。



 もちろん前世の私はこんなセレブ達がパーティーで踊るダンスなんて躍った事がない。


 祥子ちゃんは子供の頃からダンスを習ってたみたいだから、その記憶の中にダンスのやり方なんかはあるんだけど、知ってるという事が出来るという事ではないのだ。


 何とかタイプといえど体を動かすことは訓練が必要ってやつなのよ。



 というわけで、さっきからダンスの練習をしてるんだけど。



 全然上手くなった気がしない……。



 どうしよう、このパーティーだけは失敗したくないんだよ…。



 だってこのパーティには千聖君のお母さんとかもいるんだよ?


 そんな下手なダンスなんて見せてごらんなさいよ。『あらあら祥子さん、そんな屁っぽこなダンスではうちの千聖の嫁に相応しくありませんわ』なんて事を言われてしまいかねない。


 そんな事になってしまったら、千聖君との仲も危うくなってしまう。


 そうならない為にも、ここはなんとかお義母様に気に入ってもらえるダンスを踊らないとダメなのよ。


 それが嫁になるものとしての務めよ。



 それに……。



 この間のオリエンテーリング合宿では、千聖君と良い雰囲気だったしね。


 本当に良い雰囲気だった……。


 ちゅ、チュウくらいしてもおかしくないくらい雰囲気が良かった。


 もう、あのまま押し倒されてもおかしくないくらい、あの時は雰囲気が良かった。


 いやもう何で押し倒してこないのよ、って思うくらいに雰囲気が良かった。



 はぁ…。


 何度思い返しても、素敵な夜だったな……。



 今度はいつあんな雰囲気になれるんだろう……。



 なるべく早いといいなぁ。



 というわけで。


 その時がいつ来ても良いように、私はあれ以来、気合いの入った下着しか身に着けないようにしている。


 ここはあれなのよ、攻め時ってやつなのよ。


 クマさんなんて履いてる場合じゃないのよ。


 そしてなんかもう、あと一押しって感じなのよ!



 ここで一気に千聖君の心をがっつり掴んで、私たちの間に汐莉さんの入る余地なんて無くしてしまうのよ!



 その為にもこのダンスは何としても成功させないと!



 ……なんだけどね。



 祥子ちゃんの記憶を頼りに練習してもちっとも上手くなった気がしないんだよね。



 どうしたものか……。



 うーん…………。



 …………。



 ああ、困ったなぁ……。



 …………。



 ま、まあ、一つだけ…案はあるんだけどね……。



 いやでもなぁ……。



 うーーむ……。



 …………。



 にゅうぅ、どうしたものか……。



 ……しょうがない、……背に腹は代えられない…か。



 や、奴に、…頼る……?



 非常に不本意ではあるけども!



 や、奴に頼るしか…ない…のか……。




 その奴というのが誰の事かというと、……もちろんお兄様の事だ。



 何故、私がこんなにもお兄様に頼るのに抵抗を示しているかというと、それにはちゃんと理由がある。



 時をさかのぼる事、一週間以上前。


 あのバーガーショップの一件で私はお兄様の部屋に殴り込みに行ったのだ。


 乙女のバッグの中になんて物を入れてくれたのだと。あんたはバカなのかと。


 しかしあろう事か、私の抗議も虚しくそのまま返り討ちにあって泣かされてしまうという事件が発生したのだ。


 なんて酷い男なの、あのお兄ちゃんは!



 という訳であれ以来、私はお兄様と口を利いていない。



 あ、思い出したら腹が立ってきたよ…。


 しかし今はこの腹の立つ気持ちも抑えなくてはならない。


 何せあのお兄ちゃんには、私の野望のための礎、いや踏み台となってもらわなきゃいけないからね。


 ……踏み台にするときにはピンヒールを履いておこう。



 とにかく、一人でダンスの練習するのにも限界があるし、お兄ちゃんには私に協力する義務があるってことよ。



 まあ、お兄様にそんな義務があるならしょうがない。


 お兄様を頼ってあげても良いんだからねっていうやつよ。



 よし、そうと決まれば早速お兄様のお部屋に襲撃をかけましょうかね。


 女の人を連れ込んでる可能性はあるけど、お構い無しに襲撃して差し上げますわ、ふふふ。



 待ってなさい、お兄様!



 と、一人で意気込み、勢いよく自分の部屋を出た私は真っ直ぐにお兄様の部屋へと向かった。




 そのお兄様の部屋へと向かう道すがら。



 妙に胸が弾んで、むずがゆい物が込み上げてきて。



 私の表情が、何故だか自然と綻んでくるのだ……。



 …………。



 べ、別に、久しぶりにお兄様と口を利くのが嬉しいとかじゃないからね!







 お兄様の部屋の前。


 一度深く息を吐いた私は、静かにその扉にノックした。



 少し間があった後に。



「どうぞー」


 という声が部屋の中から聞こえてきた。



 私はその声を聞いてドアを少しだけ開け、そしてその陰から部屋を覗くように顔だけを出す。



 部屋の中ではソファに足を組んで座り、優雅に本を読むお兄様の姿。


 窓の光が差す中で本を読むその姿は、本当に物語の中にだけしか存在しないような美男子のそれだった。



 む~、ああして黙ってれば格好良いのになぁ。



 いやいや、そんな感心してる場合じゃなかった。



「お、に、い、さ、ま。挽回のチャンスがやって参りましたわよ」


「んー? んー」



 お兄様は私の方をちらりと見たかと思うと、また本の方に視線が戻る。



 ちょ、ちょっと、お兄様! せっかく可愛い妹がこうして訪ねて参っているというのに、何なのよその素っ気ない返事は!?


 まったく、腹の立つ男だねこのお兄ちゃんは!



「お兄様、挽回のチャンスがっ、やって参りましたわ、よ!」



 私が語気を強めて言うと、ようやくお兄様がそれに反応する。



「何だよ、うるさいなぁ。今、この本を読んでるんだよ」



 ぬぅ、何よその気だるそうな態度は…!


 本なんていつでも読めるでしょうにっ。



 いや待て、ここで怒ってはいけない。


 これからお兄様を利用しなきゃいけないんだからね。


 ここはまず、お兄様を上手におだてて気分良くさせる事が先決よ。



「お兄様、お忙しいところ申し訳ありませんわ。でも、すこーしだけ私にお時間を頂けませんでしょうか?」



 私は引きつる顔を無理やり笑顔にしながらそう言った。



「ああ、この本を読んだらな」



 むぅ、ちょっとくらい妹に興味を示しなさいよね。


 妹に優しくできないお兄ちゃんは一生不幸になるというデータが有るとか無いとかなんだからね!



 おっと、怒らない怒らない、深呼吸よ……、ふぅ。



「……お兄様、何をそんなに熱心に読んでいらっしゃるのですか?」


「エロ本だよ」


「ぶっ!? ちょ、ちょっと、妹の前で何て本を読んでるんですかっ!!」



 こ、この男は!! デリカシーの欠片くらい持て!!


 どこの世界に家族の前でそんなの読む人がいるのっ!!


 恥を知りなさい!! 恥をっ!!



 まったくもう、そういうのはイケメンが言っちゃいけないセリフなんだからね。



 ほんとに困ったお兄ちゃんだよ……。



 まったく……。



 ……。



 ……で、どんなの読んでるの?

 


「冗談だよ、冗談。これは単なるビジネス書だ、何をそんなに顔を真っ赤にしてんだよ」


「――っ!?」



 し、知ってたし! 冗談だって知ってたし!!


 それくらい当然気付いてたし!


 別に顔赤くしてないし!


 覗き込もうとかしてないしっ!!



 だ、だから別に、悔しいとか思ってないんだからねっ!



「お、お兄様、私は真面目な話で来てるんですよ!」


「分かった分かった。んで、何だよ? 俺に何か用か?」



 お兄様は本をぱたりと閉じて私に向き直る。



「え、ええと、…あのですね。その、……何と言うか……」


「何だよ、はっきり言えよ」


「その、……ダンスをですね。……教えてごにょごにょ」



 うう、祥子ちゃんは今までお兄様に教えて欲しいなんて言ったことないから、急にこんな事言われたら不審に思わないだろうか……。


 それに、いざ頼むとなると、なんか恥ずかしいな……。



「ダンスがどうした? ほら、はっきり言えって」


「……ダンスを、……教えて欲しいなと、…思いまして」



 私がそう言うと、お兄様は狐につままれたような顔になる。



「は……? ダンスを教えろ? お前、俺に教わる必要なんてないだろ?」



 う……、いや、本来ならそうなんだけど……。


 祥子ちゃんが出来る事が、私にもできるわけじゃないというか……。



 というか出来ないから頼んでるんだし、私にも色々あるんだからそこは空気を呼んで触れないでほしいよね。



「教えて欲しいというか、練習に付き合ってほしいというか…。ほ、ほら、ダンスは一人じゃできないじゃないですか? それでアドバイスとかしてほしいな…と」


「ふーん、まあいいけど……。お前、何か挙動不審だな…。何か隠してるんじゃないか?」



 どきぃっ!



「な、何も隠してなどはおりませんわよ! へ、変な勘繰りはおやめくだ…さい…」



 わ、忘れてた、このお兄ちゃん妙に勘が良いのよね。


 下手なダンスとか見せたら、偽物だって怪しまれるんじゃないかな……。

 

 ひょっとして、お兄様に頼むのは失敗だった?



 いや、もう後戻りはできない。


 ここは勢いに任せて突き進むのみよ!



「じゃあ、やるか」


「はい、お願いいたします」






  ☆






「はい、ワン、ツー、スリー、フォー。ワン、ツー、スリー、フォー。……下を見るな、背筋を伸ばせ。はい、ワン、ツー、スリー、フォー、俺の足を踏むな」


「はぁはぁ、はぁはぁ」



 今、部屋の中に聞こえるのは拍子を刻むお兄様の声だけ。


 私はお兄様と体をくっつけて、ステップの練習を延々と行っているのだ。



 イケメンと体をくっつけるっていうのはかなりドキドキするんだけど、とは言ってもまあお兄様だからね。


 これが千聖君だったらもう私は五回は失神してるかもだけど、お兄様ではねぇ……ふっ。



「ほら、すぐに姿勢が悪くなる。ターンをするときはもっと相手の腕を押すようにやるんだよ」



 お兄様のアドバイスは的確で、私の悪い所をすぐに指摘してくれる。


 やっぱりお兄様に頼んだのは正解だったな、自分でも上手くなっていくのがよく分かる。


 なんだ、もっと早くお兄様を利用しとけばよかったよ。ふふふ。



「はい、ワン、ツー、スリー、フォー……。………………」



 急にお兄様の拍子を刻む声が止まった。



「お兄様……?」


「お前……、何でこんなに下手になってんの?」



 ぎくぅっ!!



「えっ!? そ、そうですか…? そんな事は無いのでは…あ、あれ、おかしいですわね」


「いやいや、基礎的な部分から全く出来てねぇじゃねぇか。どうしたお前?」



 えええ、そんなに酷い!?


 基礎練習くらいは一人で出来てたと思ってたのに、やっぱり見る人が見れば全然ダメだったか…。



 どうしよう、お兄様が不審に思ってる……。


 な、何か、良い言い訳を…。



「ちょ、ちょっと、度忘れしてしまいまして……てへっ」


「てへっ、じゃないよ。お前それ、度忘れってレベルじゃないだろ。何がどうなったらそうなるんだよ」


「うっ…」



 ダメだ、お兄様にはてへぺろ攻撃が効かない!


 せっかく舌まで出したってのに、単に恥ずかしいだけじゃない。チクショー!



「お前、これ大丈夫か? 千聖のパーティーまであと二週間しかないだろ?」


「うっ……、だからお兄様に頼んでるんですよ……」



 お兄様がそんな事を言うから、ほんとに焦ってきたじゃない。


 いやでも、お兄様のこのリアクションはマジのやつな気がする……。


 うわ、どうしよう。よくよく考えたら、二週間やそこらで何年もやってきた祥子ちゃんに追いつくなんて無理なのでは……?


 ど、ど、どうしよう、皆から笑いものにされたら千聖君が恥をかく……。



 それだけは避けたい……。



 ぬぅ……。



 どうすれば……。




 かくなる上はしょうがない、あの手を使うしかないようね。


 私の伝家の宝刀のあれを……。


 前世でもよくやってたあれを……。



 ふぅ……。



 私は一度大きく息を吸うと。



 溜息を吐くお兄様を見据えて。



「わ~ん、助けてお兄様~! 何とかして~~」



 の〇太くんばりに泣きついたのだった。







   ☆






「ほら、下を見ない、背筋を伸ばせ、足を踏むな!」


「は、はい!」



 そこから、お兄様の練習は苛烈を極めた。



 やれ首の角度がどうとか、やれ腰の位置がどうとか、事細かい指導が入る。


 何とかパーティーまでに見栄えだけでも形にしようという方針だ。


 私の下手さを誤魔化す為にはもうそれしかないらしい。



「もっと流れるように体重を移動させろ。それから、足を踏むな!」


「は、はい~!」



 こんな厳しいお兄様は初めてだった。


 それ程私のダンスが出来ていないということなのだ。


 もっと頑張らないと……。



「もっと相手のリードに合わせるように動け。だから、足を踏むなって言ってるだろ!」



 それにしても難しいな…。


 動きの一つ一つに優雅さを求められるし、…お兄様の求めるレベルもかなり高い気がする。



 いやでも、これをマスターすれば千聖君に恥をかかせないで済むよね!


 よし、頑張るぞっ!



「相手の目を見ろ! 呼吸を合わせるんだよ! 足踏むなー!!」


「はぁはぁ、はい~~」



 お兄様の指導にはさらに熱が入っていく。


 私もそれに応じて気合いを入れていくのだった。



 ……と思ったら、ここでお兄様の動きが止まった。



「……お前、さっきからわざと俺の足を踏んでないか?」



 私はそれを聞いてピタリと動きを止めた。



「い、いやですわ、お兄様。そんなわけ無いじゃないですか、ほほほ」


「そうか? いや、あまりにも足を踏む回数が多いからな。なんだ、俺の勘違いか」


「そうです、お兄様の勘違いですわ。さ、早く練習を続けましょう」



 お兄様ったら、疑り深いんだから。


 私がそんな事する訳ないじゃない。


 ちょっとお兄様が厳しすぎるからって、そんな馬鹿な事を私がするわけないでしょ。


 まったくもう。



「まあ、そうだよな。よし、じゃあもう一回さっきの所からだ、休んでる暇はないぞ」


「はい、お兄様」



 私とお兄様は仕切り直しとばかりに、ステップの一歩目を踏み出しダンスの練習を再開する。



 徐々に動きを合わせられるようになり、私とお兄様の歩調も息があうようになってきた。


 一歩一歩とステップを踏む毎に動きが同調するようになり、自然とお互いの足の位置も分かるように……。



 そこだー!!



 私の足は次のステップの為に勢いよく踏み出された。


 渾身の力を込めて!



 しかしその私の足の先には、偶然にもお兄様の足が!



 な、何という偶然!



「させるか!」



 私がステップを踏む先にあったお兄様の足は、私がそこに着地する寸前に急に姿を消したのだ。



 あ、あれ、どこ? 


 お兄様の足は、何処にいったの!?



 そう思った時だった。



 気が付けば着地した私の足の上に、お兄様の足が乗っかかっていたのだ。



「い、いつの間に!?」



 お兄様の全体重が乗っているのでは無いにしても、そこは男の人の足。


 私は自分の足を動かす事が出来ずにバランスを崩し、その場に転倒してしまったのだ。



「ぎゃふっ!」



 あいたたた…。


 ぬぅ、お兄様めぇ。か弱い妹に何て事を……。


 きゃっ! スカートが捲れてるじゃない! み、見ないでっ!!



 私が必死にスカートの裾を直していると、お兄様がその手を差し伸べてきた。



「悪い悪い、足下が狂ったみたいだ」



 ぐぬぬぬ…、絶対嘘だ……。



 さっき『させるか!』とか言ってたじゃない!



「ま、まあそうでしたか。お兄様でもそんな事があるのですね」


 

 そっか、そう来るのね。


 わざとじゃないって言ってるのに、そう来るのね。お兄様!



「弘法も筆の誤りってやつだな、次からは気を付けるよ」



 お兄様はニコニコと笑顔を浮かべながらそう言った。



「そうですわね、猿も木から落ちるって言いますしね」



 私もにこりと笑ってそう返した。



 お互い笑顔で見つめ合いながら、「さあもう一度」と私たちは練習を再開する。



「じゃあ、いくぞ」



 お兄様のその言葉を合図に再びステップの一歩めを踏み出そうとした、…しかし!


 お兄様が一歩目から私の足を狙って仕掛けてきたのだ。



 ふふ、甘いわねお兄様! そのくらい読んでいますわ!



 お兄様が狙ってくる足を大きく上げてそれを躱した私は、お兄様の軸足に向けてそのまま踏み下ろす。


 ふふふ、いくらお兄様といえど軸足はそう簡単に動かす事はできないでしょ?


 まんまと私の罠にかかりましたわね!



 勝った!



 しかし、そう思ったのも束の間だった。



 ここでお兄様は思いもよらぬ攻撃に転じてくる。


 私がお兄様の軸足を踏みつけるその前に、お兄様は私の脇腹をむにっと掴んできたのだ。



「ひゃあぁ!!」



 その衝撃のせいで、片足で立っていた私はバランスを崩し、またもやその場に転倒してしまった。



 あいてて……。


 くっそぉぉ! お兄ちゃんめぇ!! 脇腹は反則でしょぉ!!



 はっ……!?



 にゃぁぁぁ!! またスカートが捲れてるぅぅ!!!



 こ、こ、このお兄ちゃんはぁ……!



 私は慌ててスカートを直すと、素早く立ち上がって。



「もおぉぉぉ!!! お兄様ひどいですっ!!!」



 思いっきりお兄様に食って掛かった。



「お前こそ、やっぱりわざと足踏んでるんじゃねぇか!」


「だってさっきからキツイ言い方ばっかりするんだもん!! 可愛い妹のささやかな反撃でしょ! それくらい分かってくださいまし! まったくもう!」


「そんな本気まる出しのパンツ履いて、何が可愛い妹だよ!」


「きゃああ!! 見ないでくださいっ! お兄様の変態ぃ!!」


「おい、誰が変態だ! お前が見せたんだろうが!!」




 そこから、私たちのケンカは暫く続き。




 またもや私は泣かされる羽目になった。








「むきぃぃ! お母さまに言い付けてやるぅぅ!!」



「お、おい、それだけはやめろ!!」









いつもお読みいただき、ありがとうございます(/・ω・)/


今回は久々のお兄様登場です。お気に入りのキャラの一人なのでまた機会があれば出したいと思ってます。

それではまた次回にお会いしましょう。


ブクマ、評価等、出来ましたら宜しくお願いいたします。_(._.)_

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