49.激戦の後
銃というか、大砲と言うか、、、。
とりあえず、あの攻撃が通じて良かった。
思った以上に威力が有り、
一発で貫通どころか、ミミズの体を
上下に切断するように吹き飛ばせた。
まあ、思った以上と言うのは、此方にも言えることだが…。
両足をミミズに奪われて少なくなっていたバクテリア。
そこに加えて、腕一本分以上のバクテリアも自滅?で失った。
ほぼ半減といって良い、、、。
エネルギーはミミズを食って回復したが、
石は在庫が2、、、。
ミミズの攻撃への対応などで、エネルギーを使いすぎた。
まあ、これだけ大型で強かったミミズだ。
前の巨大カブトムシと同じ数ぐらいは、
石を持っているんじゃないか??
彼女の目も心配だが、
ミミズからの石の回収、
漆黒の金属の回収、荷物の回収。
これだけは行っておきたい。
とりあえず彼女と合流。
目は開けていないが、
ミミズの討伐と俺の接近は分かったようだ。
非常に疲れ切った顔だが、安堵した表情を見せてくれる。
回収したい物が有るので彼女についてきてもらおうと思うが、
目が開けられないのか、
非常にゆっくりとした歩みだ。
目を放置しすぎるのもマズイだろう。
ここは早めに動きたい。
、、、
戦闘中は、咄嗟にできたが、
いざ、意識してやろうとすると、
結構勇気がいるな、、、。
、、、
立ち止まった彼女の肩と膝裏をゆっくりと持ち、
彼女をそっと抱き抱える。
いわゆる、お姫様抱っこというヤツだ。
体格差が無ければ、肩を担いだりが良いのだろうが、
そう言う訳には行かないだろう。
彼女の方も、特に恥ずかしがったりはしていない。
むしろ、大人しくどこか悔しそうな、、、少ししんみりとした感じだ。
とりあえず、回収したい物を取りに行く。
まずは、金属の所へ向かう。
近くで彼女をおろしてから回収する。
まるで漆黒の一輪の花が咲くように、
地に刺さっていたそれを引き抜き、体内にもどす。
次は、荷物だが、、、
、
、
、
、、、あれか??
近付いてみると、黒い泥をたっぷり被り、
ドチャドチャに汚れた袋があった、、、。
マジかぁ~、、、!?
あ~、これ、まずいわぁ~、、、。
塩や油等の貴重な物は金属のボトル等に入れて有るが、
食料などは、葉に包んで有る程度だ。
間違いなく泥や、泥水が付着しているだろう。
マンドラゴラの葉は良く洗浄するとして、
肉類は、一度表面をそぎ落とした方が良さそうだな、、、。
布類も洗濯必須だろう、、、。
とりあえず、袋をそのまま担いで彼女を抱え、ミミズの上部の所へと戻る。
抱えていた彼女を下ろし、
その近くに袋を置いてからミミズの切れた上部に近付く。
、、、
こっちもそうだな、、、。
戦闘中は良いけど、意識するとアカンな、、、。
ミミズの中を食事のイメージを使って漁る、、、。
未だ、地中に潜った下部に石が有るのだとしたら、
かなり手間になりそうだったが、
どうやら上部のこちらに、石が有った。
ミミズの強さとサイズから、
石の数は、巨大カブトムシと同じか自己新記録の更新かと思ったが、
エネルギーの石は3つしか回収できなかった。
大赤字だ!!
だか、その中の一つは異様に大きかった。
巨大カブトムシを倒した際に、
彼女が尋ねて来た物のが、
この大きな塊なのかもしれない。
とりあえず、それらを回収して、
ここを離れる事にする。
夜になったとはいえ、
開けたここで、他のモンスターに見つかると面倒だ。
まぁ、あれだけ暴れるミミズのテリトリーだったのだ。
しばらく近付く者は少ないだろう。
荷物を担ぎ、彼女を抱き抱えて
黒い土の大地を上流へと走る。
ふと、駆けながら、腕の中の彼女を見る。
すると、彼女は泣いていた、、、。
目が痛むとか、そう言う感じでは無さそうだ。
安心したのか?
それとも、、、、なんだ??
俺には少し察しきれない部分が有るが、
なるべく彼女が揺れないように意識しながら、俺は走った。
黒い土の大地が途切れ、今までと同じような密林が戻ってくる。
そこですぐに川の方へと向かい、
川の近くでトーチカを作った。
あまり、ミミズのテリトリーから離れると、
他のモンスターに遭遇しそうだし、
雨が上がったので、うまく上空の雲がはけてくれれば、
明日、汚れた物を洗濯できる。
水辺の近くの方が良いだろう。
どちらにしろ、俺の方もバクテリアの数が減っている。
明日は少し大人しくしていた方が良いだろう。
トーチカの中に荷物を置き、
彼女を抱き抱えたまま川へ向かう。
彼女を下ろし、川の水を体で組み上げて
ろ過した物を両手の中に集める。
そして、それを彼女に差し出す。
汚い水が目に入ったのも有るが、
泣いたことも少し影響しているだろう、
目の周りを真っ赤にした彼女に両手の水を差し出す。
手の先でそれを確認した彼女が、
俺にお礼を述べて、ゆっくりと水で目を拭い始める。
それを何度も繰り返す。
目を洗い、途中で顔も拭う彼女。
しばらくすると、彼女の目が開くようになる。
かなり充血しているが、
とりあえず、開いた事で一安心だ。
念のためもう少し洗浄してもらい、
トーチカの方へと戻る。
焚き火を用意しようとしばらく奮闘したが、
周りの木々が濡れていて、
うまく火が起きそうにない。
遅い夕食にしようと思ったが、
生食で食うには、今の食材は危ない。
色々とトーチカ前で、四苦八苦していると、
座っていた彼女の腕がダラリと落ちる。
様子を見ると、彼女は完全に脱力しきって眠っていた。
魔法と体力の使いすぎのせいか、目の隈も凄い。
本当は食事を取った方が良いのだろうが、
それを用意するのも、時間がかかりそうだ。
眠った彼女が、体を冷やさないように、
狼の毛皮などをかけてやりたいが、
今は袋の中身は泥まみれだ。
そのままでは、逆に彼女の体温を奪いかねない。
トーチカの中なら、少なくとも脱水できた土になっている。
この密林も温暖な気候だから、そこまで深刻な体温低下にはならないだろう。
このまま外ではなく、トーチカ内で彼女を寝かすようにしたい。
優しく彼女を抱えて、トーチカの中に寝かせる。
汚れた甲冑を脱がせようかとも思ったが、
色々な意味で難しい、、、。
少し考えて、極力脱水した乾いた土を、
彼女のお腹まわりに、そっとかけておく。
砂風呂風って感じか?
かけた土で体と甲冑を汚してしまうが、
雨と黒い土とミミズのブレスでここまで汚れているのだ、
今さらだろう。
"何もしないよりもマシ"程度の気持ちで、
彼女が冷えないように、
お腹に柔らかく乾いた土をかけておいた。
とりあえず彼女が寝たので、
焚き火づくりを、再開する。
湿気が多くて煙がかなり多いが、何とか火が起きた。
火が起きたので、可能な範囲で、
荷物を再生させて行く。
マンドラゴラの葉を水で良く洗浄。
残っていた肉類の表面を、
良く火で消毒した漆黒の包丁で削いでおく。
それらを綺麗な葉で包み直す。
、、、荷物の残りは明日かな??
程よい所で、別の作業を開始する。
川の水がすぐ引き込める位置に、
水を張らないで、
内面の綺麗な池のような物を、変形と硬質化で作る。
そして、少なくなったバクテリア達に、
地中から大きめの石をいくつも見つけてもらい、
地面からそれらを取り出しておく。
ここまでやっておけば、後は明日の朝で良いだろう。
俺もかなり疲れた。
火の番をしながら、俺も眠りにつくとする。
ーー暗転ーー
翌朝、いつものように、夜明け位に目が覚める。
昨日、あれだけのことが有ったのに、
やはり、この体はタフで良い。
さすがにバクテリアの数は、まだ戻っていないが、
明日になれば問題ないだろう。
彼女の方は、まだ寝ているようだ。
夜の合間合間で確認したが、
雲もはれたようで、今日は洗濯などが
出来るだろう。
さて、彼女が起きる前に準備をしよう。
昨日、地面から取り出した石を、
表面を綺麗にして、焚き火の近くに並べて暖める。
その間に、昨日作った内面の綺麗な池に、
川の水を体を通し、
綺麗にした物を池に入れていく。
池が満タン近くになったら、
そこへ、焼けた石をゆっくりと入れていく。
「ジューーー、ブグブグブグブク…」
一部、急激な温度変化で割れてしまう石があったが、
うまく行ったようだ。
先程の音で目が覚めたのか、
彼女がトーチカから出てくる。
目はまだ少し充血が残るが、昨日よりだいぶ良さそうだ。
だが彼女のその他は、昨日の汚れのままだ。
浴びたミミズのブレスや、黒い泥が乾いて体や甲冑についている。
そんな彼女に、できたばかりの
お湯を張った池、、、いや、"風呂"を見せる。
この世界にそう言う習慣が有るのかは
わからないが、体の汚れを落とし
疲れを癒すなら、風呂は最高だろう。
寝ぼけ眼をしていた彼女が、
湯気を上げる風呂を見てキョトンとする。
そして、ゆっくりと俺を見た後、、、。
思いっきり飛び掛かって、、、いや、抱き付いてきた!?
恥ずかしいので、すぐに離れたが、
彼女は満面の笑みで、俺を見ていた。
脱衣場兼何かあった時の避難所的な、
小さな土の壁の部屋を風呂の近くに作りだす。
ニコニコで俺の作業を見ていた彼女に、
風呂の準備ができたとうなずいて、
俺はトーチカの方へと向かい、ゆっくり戻ることにした。




