第三十一話 - 絶望の黒竜
石畳を歩くと広場が見えてくる。
人の形をした巨大な石像が両手を天に抱え
体は巨大な椅子のように広がっていた。
「通路が多数あるが、ここは…」
マレンシアが地図を見ていると、
上空の植物が揺れ…
黒い炎が植物を包んだ。
直後にすさまじい暴風。
石畳に顔を当て、ひれ伏して耐えた。
それが終わり、顔を上げる。
目の前の山のような椅子型の岩山の上には、羽を広げた黒竜が座っていた。
「…見覚えがあるぞ、
お前…バルドだな。」
まるで空間ごと震えるような声が響く。
「オウ、そうだぜ!
俺はバルドドルド!
向日葵もここにいるぜ!」
叫び返すバルドさんに続いて、
私も立ち歩み出た。
「そう言われても、こちらは向日葵の顔を知らぬ。
ロメスから日葵と名前は伝えられたが…証拠がない。」
竜はそのギラめく右足を突き立て4足で歩み寄る。
「ノーボラスさん…でしたか。
失礼ですが、久しぶりなもので…」
黒竜は頷き、岩の隣のピンクの果実を齧り種を遠くに吐き出した。
それは石の建物を崩し、ガラガラと音を立て崩壊させる。
「今の実力と、勇気を見てやる。
戦わせろ、興味がある。」
…っ!
戦わなければ、勇気がない…それじゃ証明としてダメだ。
時の魔法も、集中系の魔法も…
暴風も、目くらましも、強い装備も、
何も持っていない、素の私で戦うの!?
「ダメだ!そんなことしたら死んでしまう!」
ミレーさんが立ち上がって私の腕を掴んだ。
振り返ると、トルトルさん達も顔を青くして震え
バドレさんが立ち上がり私を庇っていた。
「俺たちが戦う。」
マレンシアも立ち上がる。
「黒竜よ…ノーボラスよ
勇者としての力や宝珠は
彼女には既にない。」
それを聞きた途端、黒竜が大きく息を吸い込むのを感じた。
続いて黒く収縮する何かが見え、私は勢いよく屈みこむ。
すさまじい咆哮の後…
私を庇って前に出てくれた人たちはその場から消えていた。
振り返ると後方で黒い鎖に捕まっていた。
バルドさんはその鎖のはるか後方の窓に何とか掴まっている
どうしても私と戦いたいんだ。
理解ができない竜の執念に震える。
「邪魔者は消えたな。
見たことがあっただろう。
我のダークシャウトを。」
口に、黒い炎と…唾液を滴らせ
竜が不敵に微笑み、白い歯が煌めく。
「敢えてそうしたんですか?
分かってて、戦うために!」
もう近くには、トルトルさん達三人と私しかいない。
「魂に根付いた大槍を出せ!
全ての運命を失った勇者、
だからこそ今の力に興味がある!!」
…何それ?
魂に根付いた大槍??
「構えよ、かの大槍を思い浮べ
我と打ち合え!」
目を閉じ、祈り捧げ思い浮かべてみる。
泥の亡者に立ち向かうための、あの勇者の大槍を。
赤い宝石の付いた、
虹色の刃を持つ青と金の大槍
それを持つように両手に空間を空けて握る。
すると私は、青い光で出来た大槍を握っていた。
それを見て驚きながらも、大槍を構えた。
竜と打ち合うために出来ること…
私は妖気を体に纏う。
意識をもうろうとさせながら体が浮き上がり
妖気が膨張するのを感じる。
大槍も…大きくなる。
暑く、痛い。
四肢がしびれるような感覚の中
妖気の大腕を操り、大槍を振り下ろした。
その大槍はあっさり牙で抑えられ、
大槍の柄を咥えた黒竜が
私ごとそのまま投げ飛ばす。
視界が回る…!
周囲にあった石の建物に突っ込み、轟音と共に岩が落ちて妖気も雲散した。
「勇者など…運命の衣が剥がれれば
ただの人に過ぎぬ。
こんなものか…」
音を立てて近づく黒竜から距離を取るように
鎧の機能を使って跳躍を試みる。
数十倍に強化された跳躍…全身の筋肉が引きつるけれど、空中に浮き上がって距離を取ることができた。
円状の広場を飛行機能で回り、炎槍と光槍を連射する。
豆粒にしか見えないけれど何もしないよりはいい。
「なんだその攻撃は!!」
黒竜が浮き上がり、私に爪を振りかざす。
敢えて出力を落としながら地面に下降しつつ、叫んだ。
「今の実力です!
だから伝えたいことがあります!」
地面に降りて、続くダークシャウトを飛びのいて躱す。
目を開けると下降する黒竜に飛びかかるトルトルさんが見えた。
「粉砕撃!」
空に浮いている竜の尾っぽをしならせ、その一撃が巨体を傾かせた。
かと思えばトルトルさんは弾き飛ばされてしまって地面に転がり、土埃が上がる。
私はその一瞬の隙で屈みこみ…大槍と鎧にに祈りを込め、跳躍した。
「ラ ランス デュ クゥルー!」
かつて土の宝珠から伝えられた、槍で下す鉄槌。
巨大化した青い霧を放つ大槍を、妖気で握りしめておもいっきり突き出した。
「こんな戦いより、ずっと面白い事!」
視界が消えるほどの速度で
巨人の翼を切り裂くはずのそれは、足の爪の間で受け止められた。
やっぱり敵わない。槍を消し、目を雷槍で狙いながら…トルトルさんの元に降りる。
「なんだ、それは。
だがしかし、この程度の力では確かに…つまらん」
いつの間にか、黒竜は地に降りた。
アレックスも尾っぽで薙がれた様に剣を折り倒れ、
ソルティは炎弾を放つも無視するように黒竜は歩き
足元に来た炎は食べている。
…規格外だった。
「トルトルさん!」
「逃げろ…俺たちも逃げる…」
血を流していたトルトルさんを見て、
私は即座に黒竜に駆けだした。
「この意地悪!
私だけが目的でしょ!話させてよ!」
えっ…
予想より早く爪が迫る。
防ぐ間も無く黒竜は私をがっしりと掴み、石畳を背に爪と体重で強く圧迫された。
…死ぬ!
そのまま黒い魔法が湧き出たかと思うと鎖が私を縛り付け…黒竜がその大きな瞳で興味深そうに私をのぞき込んでいた。
「さて、宝珠を手放してなお
死ななかった勇者の運命でも試すか。
ここで口を開け、噛みしめたら
そのまま血の味が広がるか…それとも何が起こるか。
面白い実験だ。」
大きな口が開き白い蒸気がその真っ黒な喉から流れる。
「あ…え…!?」
恐怖の中で必死に魔法を祈るけど、うまく風の魔法が出ない。
そよ風だった。
私の頭と足先に牙が当たる。
心臓に冷たい塊が当たり思わず仰け反って…
「あああぁぁぁぁ!」
ガキンという音がして、口が閉じたと思ったのに
私の妖気が発現して、勝手に竜の口を止めていた。
まるで人のように両手を広げ、こちらを振り向くような妖気…
…諦…
魔法の鎖が…消えてる!
突然ガラガラと音が鳴って地面が揺れて
世界がひっくりかえる。
手で地面を掴み、膝を交互に動かして急いで逃げ…
土埃が晴れると
バルドさんとバドレさん…トルトルさんが両手を掲げている。
真横に転がった黒竜はいやらしい笑みを浮かべた。
「これだから勇者いじめは止められない!
最高の体験だ!」
なんか…涙が出て…
「うわぁぁぁぁんん!!」
ただ地面に縋るしかなかった。
★境界からの独り言★
串の日だからって、串刺しにさせてあげるほど甘くないよ!
むしろ串刺しになりそうだったのは日…(自主規制 ヨシ!)
みんなはなんの串刺しを食べる?
ノーボラスさんは日…(ヨシ!)
あと読みづらいかな、今回読みづらい気がする。
うまくなりたいから、アドバイス欲しいな…なんて
aiにも聞くけど。
競争は嫌いでも、こだわれるならこだわりたいからね。
(おすすめの勉強法ある?)
少し気がついたことがあるから、一言だけ伝えます。
何日経っても串の日って思えば串の日だから。
だから、今日を楽しもう!
誰も切り捨てないから。




