102Dead『変わる』
鼠達はものの見事にゾンビ化していった。
望は
「……へえ……これが俺以外をゾンビ化しないってことなのか……」
と明らかに動揺していた。
望にとってものすごく非常事態であった。
自分が望んでいたゾンビ化がいとも簡単に叶った鼠達を見てしまった。
しかももう自分がどうあがいてもゾンビ化させてくれない俊敏性犬から
望は震えながら俊敏性犬に近づいた。
俊敏性犬は
「くううん」
と甘えるような声で望に近づいた。
そして
ドゴ!!
「キャン!!」
俊敏性犬は蹴り上げられた。
「!!!」
「な!」
「お前!!」
(((やっぱり)))
と研究者達とアレックスとレベッカは驚いた。
和子と剣子とアンジェリスは呆然と見ていた。
アレックスは
「お前!! 何をしてるんだ!!」
と怒鳴った。
レベッカも
「そうよ!! 動物虐待って知ってる!!」
と怒った。
望は
「うるせええええ!! 何で俺だけなんだよ!! なんでえええええ!!」
と俊敏性犬に怒鳴り散らした。
それを聞いて
「まっまさか……この子……他の人のことを考えて……」
とレベッカは少し希望を持ったが
「そんなことはどうでもいい!!」
「え!!」
すぐさま否定する。
和子は
「まあまあ、落ち着いて」
と言って
ガシャ
バン!!
と望の足を撃ち抜いた。
「がやっだあああddがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
と足の肉片が飛び散り血飛沫を噴き出しながら悲鳴を上げ転げてそのまま気絶した。
そして
「俊敏性犬お願い」
「くううん」
と言って噛みついた。
そして、望の肉体は回復した。
「べナさん、こういうことですよね?」
「……うん……そうなんだけど……えっと……」
とべナはさすがにドン引きしていた。
アレックスは
「おっおい和子……ドっどうしたんだ……」
いきなりの事にさすがに動揺していた。
レベッカも
「そっそよう……どどおっどがああじいじだああのおおおお……」
と言葉すら真面に喋れなくなるぐらいに動揺した。
和子は
「でも希咲君がこの状態だと話にならないじゃないですか、怪我も俊敏性犬に回復させれば済む話だし……精神面自体の問題だって希咲君に関してはもうどうでもいいかと」
と言った。
アンジェリスは
「ドっどうしたの……! いったいどうしてしまったの!! 和子ちゃん!! 前の和子ちゃんもっと大人しかったくない!!」
とさすがにビビっていた。
和子は
「でもこうなった希咲君面倒臭いですよ? ビビらないでくださいよ、外は私なんかよりもっと怖いことになってますよ?」
ともう無理矢理話を戻そうとしていた。
流石に感じ取った剣子が
「モっもういいじゃないですか!! 和子は和子です!! 取り敢えず話しを続けましょう!」
と言って皆を説得した。
べナは
「あ……うん……分かったわ」
と言って取り敢えず話すことになった。
すると
「はあ、分かったよ……大人しくします……もう痛いの嫌だし」
と望が起き上がった。
べナは
「気が付くの早!」
とビビった。
そして
「えっとね、多分だけどこの犬が自分で助けたいと思った者しか治すさないの……この子の意思でウイルスにも薬にもなるわ」
「じゃあなんでワクチン出来たの?」
と望が聞くと
「多分あなたが血を採らせろって言ったからか、もしくは噛みつく際に毒を中和するようにしてるのかもしれないわ」
と言った。
和子は
「じゃあ希咲君を噛む時に何かしてるのかも!!」
と言った。
メガネを掛けた研究者は
「それだ!! もしかしたら歯に毒があって血液を入れることでゾンビ化を消してるかもしれない!! そしてゾンビ化せずに体だけが再生するのかも!!」
と言った。
和子は
「じゃあ試してみよう!」
と言って
ガシャ
と銃を用意した。
望は
「ちょ!! まああ!! 撃つなって!」
と言ったが
「もう、やらなかったら分からないじゃない」
と言って銃を向けた。
「殺すならともかく痛みはもう嫌なの!! せめて! せめて小さな傷で!!」
と言った。
レベッカも
「かっ和子? 私もそれに賛成かな? さすがに何度もするのはちょっと」
アレックスも
「ああ、俺もそう思うぞ」
と言って止めに入った。
望は
「な! 2人もこう言ってるし!!」
と言って和子は
「分かった……じゃあそれで……」
と言って拳銃を降ろした。
アレックスは
「レベッカ……もしかしたら和子、希咲を撃って人を撃つことが癖になってきてしまったかもしれないぞ」
と言った。
レベッカも
「確かに……最初はゾンビを撃ったことで躊躇が無くなったのと、助けるために希咲君を撃ってしまったことが原因ね、流石にこれはまずいわ……後でさりげなく和子に言って注意するわ」
と言った。
和子は
「どうしたの? 2人共?」
と聞いた。
それだけでも和子を2人は恐ろしく感じてしまった。
「な! 何でもない!」
「そっそうよ! 気にしないで!」
と言って冷や汗を掻いて2人は言った。
和子は
「じゃあ、取り敢えず血液取ったら?」
「そそうね」
と言ってべナは注射の針を望の腕に刺した。
望は
「……」
特に反応を示さなかった。
アレックスは
「あいつもあいつであまりにも痛いことを味わったせいで感覚が変わり始めてないか?」
「……」
と2人は頭を抱えた。