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前庭の演説2

**



 みんな不思議そうな顔をしている。私が何を言い出すのか、見当もつかないのだろう。


「皆さんは『世界機構』という国際機関をご存知でしょうか? 学校の授業などで、一度は耳にしたことがあるかと思います。

 『世界機構』は、国家と国家のあいだに立って、国家間の交流を深める手助けをしたり、争いが起こったときには仲裁をすることのできる、世界で唯一の国際組織です。

 世界のほぼすべての国家が加盟し、わが国も三千万という支援金を負担し、加盟しています。

 わが国が永世中立国であるにも関わらず、多額の支援金を要求されながらも『世界機構』に加盟しているのは、その活動や存在意義が、永世中立国の理念に沿うものだと考えているからです」


 センチュリアが負担している支援金は、ローフェンディアに比べたらその四分の一くらいだから、少ないと言えるかもしれない。

 だけど、人口から考えるとありえない金額だった。センチュリアの人口はローフェンディアの二十分の一にも満たない。


 オーリカルクが採れて国内が比較的豊かだからだとか、それらしい理由を聞きはしたけど、世界一小さな国家からふんだくるには、あまりに大金すぎると前々から思ってきた。


 これだけの大金を毎年おとなしく文句も言わずに払ってきているのに、なんであんな通達出されなくちゃいけないの!? という気持ちもあったから、今回支援金の話を入れさせてもらった。


 三千万? 高いね、何に使ってるの? というつぶやきが、ぱらぱらと聞こえてくる。


「その『世界機構』の常務理事、フォーハヴァイ王国出身のカーヤル氏という人物が、昨年十一月、私に通達を発令しました。

 わが国の宰相が、過激派組織ペトロルチカと結託し、私の暗殺と王位の簒奪を企てているというのです。

 そして、七週間の出頭猶予期間の後……今日の時点であと二週間後になりますが、『世界機構』には、彼を強制的に拘束する権利が発生すると記してありました。

 彼が過激派組織と結託、まして私に謀反を起こすことはあり得ませんし、彼も全面的に否定しています。

 彼がそのようなことをする人でないことは、国民の皆さんもよくご存知かと思います」


 ざわめきと動揺が、瞬く間に私のもとへ押し寄せてきた。

 だけど、それほど騒がしくならないうちに、前庭はまた静けさに包まれた。

 みんなの理性に感謝して、再び演説を続けることにした。


「このいわれのない冤罪に対し、私は『世界機構』に抗議しようとしました。

 しかし、この通達を受け取ったことは口外してはいけない、抗議をしても、通達を発令した人に抗議文が届いてしまうため、抗議したことすら揉み消されると聞きました。

 そのようなことが、『世界機構』ではまかり通っているというのです。

 また、『世界機構』の拘束を免れる方法はないとも言われており、拘束されたなら、必ずなんらかの罪に問われ、最悪では死を宣告されるとも聞きました。

 信じられないことです。これでは宰相を冤罪から救うことは、事実上できません」


 このあたりの話は、先ほどの首脳会談でクラウス皇帝からお聞きした北方地域の実態も、了承を得て加えさせてもらった。


 次第にざわめきが大きくなってきた。『世界機構』のやり方に憤る声も増えているように聞こえた。


「一方で、『世界機構』にはこんな不文律もあるそうです。

 『皇族と王族は拘束対象になるが、国家元首は拘束されない』

 この不文律をお聞きになって、どう思われますか? 宰相を救おうとするならば、どうすればよいのでしょうか。

 答えはこうなります。

 彼に私の夫になってもらい、国王……国家元首の地位を授ければいい、ということになります。

 信じられないことですが、今はそれしか方法がないのです」


 演説がいよいよ本題の部分に入ると、前庭のざわめきはかなり大きくなった。

 そんなばかなことありえない、という声とともに、笑い声も聞こえてきた。


「皆さんが笑われるのも当然です。

 こんなことで拘束を免れるだなんて、『世界機構』には失礼かもしれませんが、はっきり申し上げて、ばかげているにも程があります」


 本当は、失礼だなんてちっとも全く全然思わないけど、公の場ではある程度品位を保った発言をしないといけない。

 これでも、人によっては、女王にあるまじき発言と感じるかもしれないけど、私の本心は、これで抑えてやっているんだから感謝してほしい、という心境だった。


「この不文律ができたのは、約百年前です。経緯を話すと長くなりますから、簡単に申し上げます。

 もともと『世界機構』創設当時には、皇族と王族すべてに出頭を拒否する権利がありました。

 それがある事件がきっかけとなって、皇族・王族とはいえ処罰を与えなくてはという意見と、皇族・王族以外の国家元首……例えば、平民出身の国家元首にも拒否権を与えるべきだという意見が出て、国家元首たちのあいだで議論されたそうです。

 その結果、折衷案とも言える……すべての国家元首は告発・拘束しないという、今に残る不文律ができたそうです。

 この事件以後、国家元首以外の皇族や王族は、『世界機構』の拘束を免れることができなくなりました。

 従って、ローフェンディアの皇族であるわが国の宰相も、告発を受けることとなったのです。

 しかし、皇族や王族、国家元首という身分に関係なく、誰であれ悪事を働いたなら、等しく裁かれるべきだと私は考えます」


 こういう話を聞けば、みんな『世界機構』の方針に言いたいことが出てくるだろうし、演説の内容が難しくなってきたせいもあるだろう。周囲の人たち同士で話し合う姿が増えてきた。

 意見を交換するのはとてもいいことだと思うけど、ここから先、重要なことを発表するには、ざわめきが大きすぎる気もする。


 だけど、聴衆に注意を促すのは官吏の役目なので、このまま演説を続けることにした。次は……


「先に申し上げた通り、抗議をしても効果がない、事実上抗議できないとなれば、宰相を冤罪から逃れさせるためには、冗談のようですが、彼と婚姻関係を結び、国王の地位を与えるしか、現在では手段がありません。

 実はこれについては、本日早朝開いた『センチュリア最高貴族選定結晶会議』で、全会一致の了承を得ました。

 つまり、私と宰相は婚姻関係を結び、宰相には国王の地位に就いてもらい、私と共同統治を行ってもらうことになりました」


 ついに、これを公の場で発表してしまった。

 ざわめきはより一層大きくなって、収拾がつかなくなるだろうと思っていた。

 けれど、そうなる前に誰からともなく、


「婚姻関係って?」

「結婚するってことだよ!」

「宰相閣下が国王になられるって!」

「それって国王が二人になるってこと!?」


 こんな声が発せられてあたりに散った途端、喧騒はぴたりと止んだ。




 訪れたのは、演説を始める前よりも深くて重い静寂だった。

 その静けさが、限界まで張り詰めている私の心を、鋭利な槍となって突き刺した。


 人々の目は様々な色に彩られているように見えた。


 突然の結婚と共同統治の宣言に対する、喜びよりもはるかに大きな驚き、動揺。

 こんな理由で結婚を決めた私に対する疑念、反感、嫌悪、嘲笑。

 ユートレクトと結婚することで、センチュリアがローフェンディアに乗っ取られるのではないかという不安と恐怖……きっとこの他にも様々な思いをみんな持っているだろう。


 先ほどまでみんなが見せてくれたきらきらした瞳は、もうなくなっているように思えた。

 少なくても、私には見つけられなかった。


 それを目の当たりにして、今更ながらわかったことがあった。


 私がこの国の女王でいられるのは、戴冠式で王冠を戴いたからでもなければ、クラウス皇帝と交渉できるからでもない。国民の一人一人が認めてくれるからこそ、センチュリアの女王でいられるということ。


 今、私はみんなに、女王として認められていると言えるの……?


 それを考えると、急に恐ろしくなった。足元が崩れ落ちていきそうな感覚に襲われた。


 だって、さっきのきらきらした瞳がどこにもない。その代わり耳に入ってくるのは……


 異常に研ぎ澄まされた感覚が、日頃なら聞こえないはずの囁き声を拾い上げてしまう。


「……平民育ちの娘には、女王なんて無理なんだよ」

「もっと他にいい方法はないのかねえ」

「永世中立国なんて、しょせん理想でしかないのかもしれないな」

「ついにローフェンディアに飲み込まれるのか」

「その方が楽かもしれないけどね。他の国に侵略されることもないだろうし」


 今の私の耳にはこんな言葉たちしか入ってこない。


 もしかすると、あまりの緊張と重圧で、被害妄想が大きくなりすぎているのかもしれない。それで自分に反対の立場の意見しか耳に入らなくなっているのかも……

 そうも考えてみたのだけど、私の目に映るのは、驚きやとまどい、失望や不安の表情しかなくて。


 だとしたら、どうしたらいいの?


 私の決断をみんなが否定している……国民のみんなが、ユートレクトとの婚姻関係と共同統治を支持してくれないとしたら。


 負の感情がはちきれそうになったときだった。


 報道関係者の横、前庭の片隅で、官吏たちと一緒に並んでいるキアラさんの姿が目に入った。


 官吏たちの表情は、一般のみんなより冷静……というか、感情が表に出ないよう努力しているように見えたけど、キアラさんが私を見つめる眼は、官吏たちよりもはるかに冷徹で厳しかった。


 私を嘲ってもいなければ、蔑んでもいない。かといって、激励してくれているわけでもない。この演説の行方を、私心を挟まず見極めているように感じた。


 キアラさんに言われたことが頭をよぎった。


『皇帝陛下も、あなたがきちんと補佐して差し上げるのよ』


 キアラさんの瞳も、そう物語っているように見えた。


 今、私が心を弱らせ、これからの演説を自信なさげなまま終わらせてしまえば、クラウス皇帝を助けるどころか足を引っ張ってしまう。


 そうなれば、私とあの人の結婚と共同統治だけでなく、『世界機構』上層部の一掃や、フォーハヴァイのマレイ・アス氏の悪業を正すことにまで、一般の人たちの積極的な賛成が得られなくなってしまう。


 私もクラウス皇帝も専制君主だから、国民の賛意がなくても思い通りのことはできる。

 だけど、それは私の目指すやり方ではない。クラウス皇帝も同じ思いでいらっしゃるだろう。


 だからこそ、クラウス皇帝は昨晩、今日の演説でマレイ・アスをやっつけよう、という意味のことをおっしゃったのだと思っている。

 君主としての権力だけではなく、私たちの思いに賛同してくれるみんなの力で。




 ……とにかく、演説を最後まで続けなくては。


 頭の中で、緊張と重圧と恐怖が次々に弾けて、言わないといけないことがかき消されそうになる。


 私にはやっぱり原稿が必要だった。持ってきてよかったと心の底から思った。

 演説の残りの部分にさっと目を通してから、もう一度顔を上げた。


 昨晩クラウス皇帝と長い時間検討して、みんなが不安を抱きそうなことにも正直に触れ、できるだけ安心してもらえる演説にしているはずだった。


 最後まで諦めないで、みんながわかってくれることを願って、続けるしかない。


 ありがとう、キアラさん。

 もう、おびえない、ひるまない。


「……宰相はわが国に来ておよそ五年、わが国の経済を立て直し、皆さんの暮らしを改善しました。

 その功績はとても大きく、今後もわが国のために活躍して欲しいと願っています」


 不機嫌そうな顔をしている人たちは、ユートレクトが来てからも、生活が豊かになっていないのかもしれない。早くどうにかしてあげられるといいのだけど。


「だからと言って、彼の政治手腕を買って婚姻関係を結ぶのではありません。

 長年共に執務をする中で、私と彼の間には信頼関係以上のものが生まれていました。

 そうでなければ、いくら信頼を置く臣下の身を救うためとはいえ、相手の意思を無視して婚姻関係を結ぶことはありません」


 好奇心の塊のような視線が、いくつも私の顔を撫で回す。正直に話すことが、必ずしもいいことではないのかもしれない。

 品位を保った表現で話さなくてはいけないのは、とてももどかしいけど、できるだけありのままを知ってほしかった。


「私は今まで、彼との結婚を考えたことはありませんでした。

 自分の夫となる人には王配となってもらい、政治や軍事には関わらないでもらうと決めていました。

 しかし、彼がわが国の政治から退くことは考えられません。

 それならば、婚姻関係を結ぶことなく、今のままの関係でいることを彼とも話し合っていました。

 その矢先に、彼を冤罪から救う方法が、先ほど申し上げたことしかないと知ったのです」


 いやらしい笑みを浮かべた人たちは、何を想像しているんだろう。

 下世話なことを勘ぐる人がいると思うと、悲しい気持ちになる。

 だけど、そういう人もいるだろう。私とみんなは友達ではないし、仕方のない部分だと思う。


 それでも、みんなは私の……センチュリアのかけがえない大切な国民だ。


「今、彼はセンチュリアにいません。『世界機構』が通告した日より早く、彼を拘束しようとする動きがあったため、とある場所に潜伏していることだけはわかっています。私も彼の居場所を知りません。

 ですから、この決断は私一人でしました。

 彼が拘束されるまでに残された猶予は、再来週の金曜日まで。

 従って、一刻も早く『世界機構』に私と彼の関係を知らしめる必要があると考え、本日、この場をお借りして発表することにしたのです」


 今更結婚しても遅いんじゃない、という声が聞こえた。

 私だけでなく、クラウス皇帝やネフレタ教授も、そうかもしれないと思っている。

 だけど、少しでも彼を救える可能性を上げたいから、この方法を採った。


 原稿には入れていなかったけど、『世界機構』に知らせるためにも少しだけ言っておこう。

 これはクラウス皇帝にお断りする必要はないと思う。


「……私に出された通達が発令されたのが十一月になっていることから、今になって婚姻関係を結んでも無駄ではないか、というご意見もあるかもしれません。

 実は、公にはしていませんが、私たちの婚姻関係を示すとも言える文書が存在しています。その文書は十月に作られたものです。

 従って、私たちの婚姻関係は、通達発令前から成り立つと主張することができると考えています」


 ユートレクトの遺誡のことは、もっと詳しく話した方がいいのかもしれないけど、本人の許可なく公にしたくなかった。知ってもらいたいことと、知られたくないことの線引きは、本当に難しい。


「先にも申し上げましたが、今までお話したことは、『世界機構』からの通達が届いたことからその内容まで、全て公表してはいけないことになっています。

 それを今、この場で包み隠さず申し上げたのですから、『世界機構』からはなんらかの制裁が課されるかもしれません。

 従って、これを機会に『世界機構』からの脱退も含めて、その関係を再考したいと思っています」


 今度は前庭の端に控えている官吏たちがざわめく番だった。

 加盟している国際機関から脱退するなんて、よほどのことがない限りしないことだから、驚くのも無理はなかった。


「何度も申し上げますが、このような方法でしか人を冤罪から救えないことなど、あってはならないことです。

 『世界機構』には、今日、この場を借りて、重要で重大な発表をした、私に出した通達の意味をよく考え、迅速に誠意ある対応をしてほしいと思います」


 これが私の一番望んでいることだった。

 オブラートに包んで言っているけど、『世界機構』が私に出した通達を取り下げれば、これからも加盟国でいるつもりだった。


 ただし、ユートレクトとの婚姻関係と共同統治を撤回はできないし、するつもりもない。


 国に新たな国王が生まれる……まして共同統治を執るなんて歴史的にも重大なこと、『世界機構』が通達を取り消したからこちらもやめます、と簡単に引き下がったのでは、私の……センチュリアの覚悟の度合いを、世界中の人々に疑われてしまう。


 共同統治なんて、ほぼ前代未聞で危ういものを、一人の男を救うためだけに方便として使ったのかと。

 そんなことは断じてないから。


 それだけの覚悟を持って私は決めた。だから……


 お願い、みんな、どうかわかって。


「……彼を国王とし、共同統治を執ることについて、皆さん不安に思うことがあるかと思います。

 第五代国王エカテリーナ女王の治世の折、女王が結婚を考えた相手は、王位を簒奪しようとしていました。

 今回もこのようなことにならないかと、心配する方も多いと思います」


 昨年の『世界会議』のとき、永世中立国の声明を採択してもらうため、世界中の国家元首の前で演説をした。

 あのときは、すべての人に賛同してもらうなんて、無理だと割り切ることができた。


 だけど今回は、あのときのように割り切れなくて。

 少しでも多くの人にわかってもらいたいと願うのは、どうしてだろう。


 『世界機構』上層部と、その背後にいる人の悪行を知ってもらいたいから……それだけではなかった。


 私の心の女性的な部分が、みんなに祝福されて結婚したいとどこかで願っているからこそ、負の感情が寄せられたら心がざわめくし、折れそうになってしまうのに違いなかった。

 今の私には、みんながこの演説を、私の決断を、どう感じているのか、冷静に捉えられそうになかった。


「ですが、その心配は全く必要ないと保証します。

 彼が私を玉座から引きずり降ろしたいと考えているなら、とうの昔に実行しているはずだからです」


 自分の演説に、内心では自信が持てなくても、彼の野心のなさは、誰に対しても胸を張って言えた。

 見えない彼の手が、縮こまりそうになる背中を支えてくれるみたいに思えて、心が強くなれた気がした。


「彼ならその機会はいくらでもあったと思います。

 私との関係を深めなくとも、合法的な方法を探し、私を退位に追いやれるだけの能力を、彼は持っています。

 今までそうしなかったのは、私への感情からというより、彼が玉座などの権威を求めていないからだと考えています。

 彼がセンチュリア王位を簒奪したり、まして彼の故郷ローフェンディア帝国に、センチュリアを差し出したりしないと断言できる理由は他にも多くありますが、私が彼を信頼する理由を話すためにこれ以上時間を使うと、彼を擁護すると捉えられる恐れがあります。

 報道関係者の皆さんは、どうぞ国民の皆さんに彼のことを聞いてみてください。その方が信頼できる答えを得られるでしょう」


 国民のほとんどは、彼が後ろ暗いところのない、有能な施政者であることは否定できないだろう。


 ふと、東十九番街のことが頭をよぎった。あの街の住民は何と言うだろう。

 彼らのこともなるべく早くなんとかしてあげたい、と考えるのは偉そうな目線だろうか。


「今回の件で、私が望むのは二点です。

 『世界機構』がわが国の宰相に課した、いわれない罪を取り消すこと。

 そして、『世界機構』が真に公正中立な国際機関となり、世界の人々を本当の意味で守る存在となることです」


 私の演説はもうすぐ終わる。


「長年『世界機構』を牛耳り、自分たちに都合の悪い各国の要人を、通達を悪用して排除してきた『世界機構』上層部、そして彼らを陰で操ってきた権力者たちはもう、このようなことはできなくなるでしょう。

 ここに集まった人々は、今日この真実を知りました。これ以上、人々の目を欺くことはできません」


 私は個人の名前を挙げていないけど、クラウス皇帝はもっと踏み込んだ演説をされることになっている。

 『世界機構』の上層部とマレイ・アス氏、そして彼らの下で甘い汁を吸ってきた人々は、二度といい思いができなくなるだろう。


 きっと彼らは改心なんてしない。したとしても、積み重ねてきた罪は許されない。

 それでも私は……


「世界の為政者たちが、『世界機構』を真の公正と平和を守る組織として改革するため、共に手を携え、協力していくことこそが、お互いの国民の生活と幸福……つまり、国益を守ることになると確信しています」


 腹黒さだけで動くのではない世界を目指したい。


「世界中の人々に、センチュリアの神々のご加護がありますように。ご静聴ありがとうございました」

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