優良風俗店
二月下旬の金曜日。出勤して待機室に顔を出すなり、
「十六歳の子に淫行させたデリヘルの経営者が逮捕されたんだって」
エリカは私の顔を一瞥した後、再びスポーツ紙に目を移した。
「別に珍しいニュースでもないけどさ、警察の摘発を逃れるためにマイナンバーカードや住民票を偽造、二十歳であるように見せかけたという、だって」
「へえ、人間の奸知には際限がないね」
「カンチって何?」
「悪知恵ってこと」
「ふーん」
エリカは返事も表情も上の空。覚える気ゼロだな――
違法風俗店といっても、本番など行為自体が違法の場合、十八歳未満の子に接客をさせる場合、不法滞在の女性外国人に接客をさせている場合など様々だ。
特に近寄ってはいけないのが、十八歳未満の子が接客する風俗店だろう。最悪の場合お客も警察に……ということになりかねないそうだから。
でも外見だけでは十八歳未満かどうか判断できない事もある。だからあまり若々しさを売りにするお店には近付かない方が良い、ということしかいえない。後は街中で声を掛けられる風俗店もヤバい。
違法風俗店は看板や広告を堂々と出すことができない。今は風俗雑誌やネットで広告を出すためには、風営法の届出コピーを提出しなければならないから。理由は、違法風俗店の広告を掲載した媒体も取り締まりの対象となるからだ。以上のことから違法風俗店には広告手段がない。だから街中で男性に声を掛け集客しているのである。
いつかのお客が、
「風俗遊びには危険が伴うけど、確りとした店を選べば楽しい場所なんだよなあ」
としみじみと言っていたっけ。




