内情
うちの店のコンパニオン達は先輩後輩関係なく仲良さげ。飽く迄も「一見すれば」の話だけど。
そのコンパニオン達の内情を聞くと実に面白い、ていったら失礼だけど、本当に色んな人が集まってきてるんだなあと痛切する。
「元々コスプレが好きでイメージプレイは燃えるタイプなの。風俗嬢になって三年で約七千人の男性器を見たことになるから、男性器に関しては語れるわよお」
じゅん子さんはしたり顔を見せた。
私みたいにSEXが好きで入店してきた人もいれば、
「消費者金融に借金があってね。だからオーラス(オープンラスト)で出勤してるの。私みたいなコンパニオンは珍しいと思う」
ちあきさんは自嘲気味に笑う。この人みたいに金銭的に切迫して入店、の人もいる。
また中には――
「風俗嬢って尻軽だって思われてるじゃない? でもホストは風俗嬢を差別しないの。肉体労働で精神的にもかなり負担が掛かる私達のストレスを汲み取ってくれる。だから(ホストクラブ通いは)止められない」
先輩のみくさんは明言しながらも、この人も自嘲気味に笑っている。
ホストも仕事上、お客の内情を汲み取らないわけがない。みくさんは真実を理解した上で通っているのだろう。良くいえば「自覚ある行動」だ。
SEX好き、借金、ホスト嵌りと色んなコンパニオンがいるかと思えば――
「キャバとか水商売も考えたんだけど、私は自分には向かないって分かってるから。キャバはやっぱり奇麗じゃなきゃ稼げないじゃん? それに営業の電話とか大変そうだし」
あゆは淡々とした口振り。
「消去法でイメクラを選んだってこと?」
「かもしれない。風俗に入った時は先のこと考える余裕なんてなかった。自分ができるバイトはこれしかないって思ってたから」
あゆは微笑を浮かべた。実際には色んな選択肢があったことを、今頃になって気付いたのだろう。
そのキャバから「天下り」してきたコンパニオンもいる。私より二ヶ月後輩のセイラだ。
「キャバは女の嫉妬や派閥が面倒臭くってさ。それに営業の電話とかメールにもう疲れちゃった」
セイラは渋い顔で言った。確かにキャバは嫉妬や欲望の世界だと思う。私の偏見かもしれないけど――その点では、風俗は女同士の嫉妬やいざこざは少ないかもしれない。
またエリカの話では――
「私の彼ってニートでさ、私がいなきゃ何にもできないんだよね。ある時は甘えて気持ちを引き付けたり、またある時は怒ったりして男らしいとこ見せ付けたり、ニートも結構大変そうなんだよね」
屈託のない笑顔。
「あんまり甘やかすと男はとことん駄目になっちゃうよ」
「分かってるって。飴と鞭を使い分けてるから」
やっぱりエリカには屈託がない。
ニート=ヒモは女の自分に対する愛情を操り、相手が自分を離したくなくなるように、女の気持ちの中に自分の存在を刷り込んでいったりすると聞いたことがある。エリカの彼氏も完全にそのタイプだろう。
風俗嬢だって所詮は一人の人間。色んな話を聞けば各々に内情があって然るべきだ。




