嘘と正直
秋美は無事に終わったけれど、私は煩雑。祖父母には「風俗店で働いてる」とはさすがに言えず、「スーパーのパート従業員」だと嘘をついた。
浩子にも同じ嘘をついても良かったんだろうけど、親の場合、いつかはバレることを考えると気が引ける。だから浩子にだけは正直に話すことにした。
「何で風俗店なの!? どんなとこだか分かってるんでしょうね?」
「分かってるよ。ちゃんと調べて面接受けたんだから。今まで引き籠もってた私がやっと外に出る決心をしたんだよ。その気持ちだけでも買ってくれたって良いじゃん」
とことん強気でいく。
「外に出るのは良いことだけど、病気の方が心配よ」
「お母さんは看護師だからそこが一番心配なんだろうけどさ、病気の検査は二週に一遍受けるから大丈夫だよ」
「そんな楽観的過ぎるわよ。病気のことだけじゃないわ。自分の身体が汚れるのよ。それでも良いの?」
「それは覚悟してる。でも悪いことするわけじゃないし、合法のお店で働くんだからね」
「合法のお店、なかなか論理的なことを言うようになったわね。ハー……もう良いわ。やりたいようにやってみなさいよ」
やった。辛くも捩じ伏せることに成功。
だけど、「やりたいようにやってみなさい」の言葉に「納得」は一%も入っていない。
多分、浩子の中では、今まで仕事仕事で娘に殆ど構ってあげれなかった負い目が、「反対」を貫穿できなかった最大の理由なのだろう。




