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死ネタ不可避の推しを生き延びさせるために、転生モブは全力を尽くします!  作者: ちまはは


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7/20

7-まったく、わからない

 

 「HAHAHA」笑いの父が、俺とルシアンの間に入って(物理)くれて、そのまま、大きな体でブロックしながらルシアンを応接間というか、別部屋に移動させてった。

 母の「まあまあ、新しいお茶を淹れますわね。」とか、父の「村の中はご覧になりましたか?」だの、強制世間話フェーズが、漏れ聞こえてくる。

 どうやらルシアン、王都からついてきた同行者をブッチして、俺の部屋に直行してたらしい。


 怖い。

 行動力のあるマッドサイエンティスト、ほんと怖い。


 にしても。

 予定、狂っちゃった。


 一応、研究塔への説明やなんやは、じいさま達の後ろに隠れてやり過ごそうと思ってたんだよ。

 表立っては、子供のたわいもない発想を、経験豊富な長老たちがアシストして具現化、改良して完成させた、ってことにしようってなってたんだよね。口裏合わせともいう。


 まさか、発想そのものに食いつかれるとは…!


 思わず頭を抱える。


 どうしよう。この勢いで王都に連れてかれたら、研究塔に軟禁されたりしない…?

 ルシアンの助手…ならまだしも、首輪つけられて前世由来のネタ出し強要されるとか。シャレにならんわ。

 俺は、「シエル」に会いたいだけで、王都に行きたいとか研究塔に就職したいとか、そんな欲は無い。無いったらないんだ。


 あと、気になるのは。ルシアンがチラ見してた机の上。


 机の上に置いてたメモ書き。『日本語』の分はともかく、イメージ図みたいなのも書いてたから、魔力観測機の魔改造予定、気付かれたかも?

 いやいや、まさか。

 気づかれてなかった?一瞬だったしね。気づかれて無いといいな。

 たぶん。

 きっと。

 できれば。

 そうであってほしい。




 **********




 ルシアン御一行は、村の集会場に寝泊まりすることになった。


 魔力観測機と村の案内は、予定通りじいさま達が当番制で対応するそうな。

 語りたいタイプのヲタクばっかりだからな、じいさま達。捕まると長くなるから、当分の身代わりができて、村の人たちはホッとしてるだろう。


 俺は、じいさま達の後ろで、ニコニコしながら相槌打ったり、ルシアン達に話を振ったりする役だ。簡単なお仕事です。

 その予定だった。

 が、そうはうまくいかなかった。



 翌日。

 俺は集会場の隅で小さくなっていた。

 できるだけ、目立たないように。存在感を消して。


「レインくん。」


 秒で見つかった。


「…はい。」

「ちょっといいですか?」


 よくない。

 魔力観測機についての質問が、直に俺に来た。じいさま達を経由してくれ。マジで。


「昨日の話なんですが。」

「はい。」

「なぜ気温補正を思いついたんです?」

「なんとなく。」

「なぜ?」

「…なんとなく。」


 尋問である。

 が、本当に「なんとなく」なのだ。

 熱総量=体熱+空気中の熱+魔力熱(←NEW 前世に無かった要素)っていう図式が思い浮かんだだけ。前世の理系の友達が、小学生向け理科問題に『「空気中の抵抗は無いものとする」って無いものにできるわけないだろが!』ってキレ散らかしてたのを思い出したから。

 魔力熱がそもそもわからんのに、気温=空気中の熱量が無視できるくらいの量なのかわかんなかったんだよ。

 説明できるか。


 ルシアンは続ける。


「私は研究者です。」

「そうですね。」

「『なんとなく』は研究ではありません。」

「そうですね。」

「では?」

「…なんとなくです。」

「…。」


 ルシアン、沈黙。

 周囲のじいさま達が肩を震わせてる。見えてるぞ、そこ。笑うな。じいさま達、全員アウト!


「君はいつもそうなんですか?」

「どういう意味です?」

「結果だけ持ってくる。」


 どういう意味?


「途中式がない。」

「途中式ならありますよ。」

「あるんですか?」

「もちろん。」

「見せてください。」

「嫌です。」


『日本語』メモ、見せれるわけないやろがい。


「君は研究者では?」

「違います。」

「では何者です?」

「村人です。」


『ゲーム』の世界だと、「はじまりの村の村人」だもの。ヒーローの生まれ育った村の村人で、旅立ちを見送る後ろ頭しか描かれてなかった『モブ』中の『モブ』。


 ルシアンが、頭を抱えた。


「まったく、わからない!」


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