3月 バンカラ讃歌
3月8日(木) 晴のち曇り
遂に、早稲田に落ちてしまった。
そして僕は随分、早稲田が好きだったんだなと気付いた。
何にしても、僕は翠ヶ丘学園大学に行く。これは幸運な事である。その気になったら、また来年、早稲田を受けてみよう。やはりもう一度、試してみても良いだろう。翠学が気に入って肌に合ったら、そのまま勉強すればよい。
僕の義務的勉強は本当に終りました。これからは、もっと厳しく、そして楽しい勉強になってゆくのだ。
翠学に行くからには、妥協では無く行きたい。バンカラと真逆な大学だとしても、無理が無く僕の感性と一致したからこそ、合格したのだから。
しかし、結局、僕の心は早大一文しか許してくれなかったのだ。これが見栄かプライドか、よく分からないが、見栄と言う者が居たら全力で否定するだろうし、プライドだとされても、素直に頷けないだろう。
早大一文。
どれ程、これに憧れていたのか。自分でも、もう良く分からない。
でも体裁を整えるのには翠学で十分であった。
がしかし、何故あんなにも落胆したのか。
これが早稲田の持つ魔力なのか。
万人を魅きつける力なのか。
受験生の六人に一人が受けたがる慶応大にはない、溢れる魅力があると僕は思っている。
粗野で鷹揚で質素剛健。
反骨精神を持ち、また奇天烈、破天荒な学徒。
そして困難に負けない精神力を持ち、真理を追究する、純朴で熱い学究の徒。
あぁ、羨望のバンカラ気質!
今もなお、バンカラ精神を受け継ぐ大学!!
そこに僕が魅かれたのかも知れない。
試験は水ものと言うけれど、あと十五点足りなかったそうだ。受験勉強期間が半年にも満たないのだから、文句は言えない。よくあの体調で大学に受かったものだ。
精一杯やったと、悔いはないと、自分を誉めても良いのじゃないだろうか。
よくやった
がんばったな、俺
父の友人の大学教授が、僕の学力を見て、
「学生の三分の一以内の実力があるよ。早稲田大学でも十分にやっていける力を持っているよ」
と励まし慰めて仰ってくださった言葉を、僕は愚かにも信じ込んでしまおう。
ありがたく
自惚れて生きていこう
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
奇しくも、本日6月12日は誕生日。
ありがとうございました。また。




