8月 さようなら 最後の夏休み
未成年の飲酒・喫煙表現がございますが、それを推奨するものではありません。
8月30日(火) 晴
昨日から夏が戻って来て、日中は日射しが圧力を持ったかのように照りつけている。
ここ数日は図書館に通い、友人達と親睦を深めている。あそこはナンパ場である。まぁ、僕もその為に通っているが。
ヤキモキしイライラし呆れたりと、図書委員くんの『僕に似ている女の子』ナンパ作戦は、彼のとぼけた積極性による勝利で、あっけなく幕を下した。
「ちょっと出てくるから」
と応援した僕とハイタッチを交わし、彼は彼女と散歩に出る。
囃し立てた悪友共は、羨望の眼差しで二人の姿を追うだけの、全く見られない格好となった。
例えどんなに途中経過が情けなくても、彼は思いを遂げてしまったのだ。羨ましく、腹立たしく、何と言っても格好いい。
彼と彼女の後姿は、何ともほのぼのとしていて温かく優しかった。
何だかんだやっている間に、もう一つの話が進んで、浮かれていた僕はこっちにも首を突っ込んだ。何? 宴会とな! そうかそうか。ちょっと部外者の様な気もしたが、混ざってしまった。
時は既に17時過ぎ。場所は級友宅のスナックだそうな。良く知らないメンバーだけど、まだ明るいし、これも交友関係拡張の為、 active life の為、それに図書委員くんが上手くやって寂しくて、独りになって惨めに落ち込みたくなかった様な気もする。
電車に乗ってスナックくん宅へ。
皆、始めは大人しくって、僕は意味も無く大声で喋ったりしていたが、酒とは素晴らしいもので、今まで無理っぽかった会話が、一気に盛り上がってしまった。
ロッカーはカラオケを歌うし、ロッカーの級友とその彼女のカップルをけしかけて歌わせるし、全くもって酒と言うのは素晴らしい。
楽しい酒宴は続いてゆく。当然、他のお客さんも来店し、
「ちょっとヤバいかな?」
と思っていたら案の定、彼女友人の隣人のおじさんが、隣のテーブルに座ってしまって、焦った彼女友人は顔を手で覆う。近所のスナックくんも彼女も焦りっぱなし。
「こりゃー参ったな」
と誘われた僕とロッカーとロッカー級友も考え込む。さぁ、どうしよう?
ところが流石、教師の彼氏を持つ彼女友人。中年のあしらい方が上手い。
「オジサン、歌ってよ!」
なんて。結局、自分も歌うハメになったけど。皆で楽しく盛り上がって。ちょっと見た目派手な子だけど、凄く気さくないい子で。人って少し付き合って見なくちゃ分からないね。
なんだかんだ大変楽しい時を過ごし、終電の時間も迫って来てお開きになりました。ちゃんと後片づけをして
「本当に、御迷惑をお掛けしました」
と皆で深々と礼をした。
星降る夏の夜を、夏休み最後のお祭りの夜を、
「駅まで送るよ〜」
と言ってくれた女の子達と歩きました。ほろ酔い気分は最高で。
楽しいな楽しいな。行って良かったなぁ。
彼女、彼女友人さん、僕と幼稚園が一緒だった彼女友人②さん、彼女友人③さん。ロッカー級友くん、スナックくん。ありがとう!
歩きながら、彼女友人③さんに女性心理について教わった。
「女の子はその男の子にどこかちょっとでも好きと思う所があれば、それでいいのよ」
そうか、よし。名言だ。真理だな。
別れ際にロッカー級友が言う。
「どこかで、また逢おうぜ」
この野郎。クサイからと僕が避けた台詞を吐きやがって。
ロッカーはまだ酔っている級友にコーラを買って渡す。こんな気遣いがヤツの魅力だな。スナックくんが
「泊まっていくなんて君らが言い出すかと思っていたけど、最後の一線は超えないんだな。安心したよ」
と言ったけど、大丈夫。僕らはちゃんと解っているから。良い奴らだろ?
「弱冠十八歳でエライ経験をしてしまった」
と言ったのは僕だけではないが
「コンパ、またやろうね!」
うん、やろうね。男女コンパの雰囲気をもう知ってしまった。酔ってるという事は良い事だ。
「楽しかったからいいじゃないですか」
うん、でもそれだけじゃいけないから、勉強しよう。
夏期講習で知り合った女の子二人に電話して。助っ人くんにも電話して。後、床屋に行って。これで夏休みは終り。
夏よ、ありがとう!
8月31日(水) 残暑
取っておいた煙草を出し、ルノアールのマッチで火を点ける。
スモーキーフレーバーのスコッチも用意して、夏休み最後の夜はロマンチックに思い出に浸ろう。
今日は髪も切ったし、女の子二人にも電話をした。
女の子①さんは礼儀正しく、夏期講習から随分久し振りなのに、楽しくお話をしてくれました。ありがとう。
女の子②さんは僕が口を挟めないぐらい、お喋りをしてくれて楽しかったけど、全く太刀打ち出来なくて、この人は僕の手に負えません。誰に対してもフレンドリーらしいから、僕の独りよがりだったらしいけど、楽しかったから良いでしょう。ありがとう。
また、お話ししようね。
明日は、もう九月。勉強の目にして見せようぞ。
十八の夏は終りを告げた。
ごきげんよう。




