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「ますます、ひどくなってきたな」
裕太が窓の外を見て言った。
屋敷の外は嵐。
山の天気は変わりやすい。
外は暗いけど、広間にある何本かのロウソクに火を点けたから、ぼんやりと明るい。
裕太は下着1枚の姿。
大柄で鍛えあげられた筋肉質な身体。
「このままじゃ、外に出るのは無理だ」
恭介が言った。
恭介は、とても美男子。
彼も下着姿。
裕太ほどじゃないけど、細身の引き締まった身体。
「うん、危ないから今は出ないほうが良いよ」
あたしが言った。
「ここに泊まるしかないのかー」
真悟が「お手上げ」の仕草。
顔が笑ってる。
小柄な真悟は面白い人。
やっぱり下着姿。
みんな、嵐のせいでずぶ濡れになってた。
干した服が乾くまでは仕方ない。
「これも裕太の責任だな」と真悟。
「何でだよ!」
窓の外を見てた裕太が、振り返って怒る。
「だいたい、真悟がキャンプしようって言い出したんだろ!」
「そうそう!」
恭介が笑いだす。
「女子のキャンプが流行ってる。必ず出逢いがあるって!」
動機が不純だよね。
「誰とも逢わなかったぞ!」
裕太が真悟に詰め寄る。
「ケンカはやめて!」と、あたし。
「よく考えたら、女子はキャンプ場に居るよな。こんな本格的なキャンプして、偶然に女子に逢う確率なんてゼロじゃん!」
真悟のおどけた態度に裕太も笑いだした。