魔剣姫は魔法塔国を訪問する
ねえ、母ちゃん。
なんで、私までカータシキ魔法塔国
に行くのかな?
「ラーガラース烈王国、ニーシェル王女殿下、道をつなげたいとのことですが。」
カータシキ魔法塔国のローブを
きたお偉いさんが言った。
越郎さんじゃなくて私になんで言うのさ。
「はい、御互いの利益となると思います。」
私は言った。
詳しい内容は事前に送ったのにー。
読んでるよね、きっと。
「塔王マルティウス様はどちらですか?」
越郎さんが言った。
そうだよ、塔王マルティウス様はどこさ。
「ただ今、取り込んでまして、そのうち出てくると思いますが。」
お偉いさんは不確かそうに言った。
ええ?困るよ。
最高責任者出してくれなきゃ。
ああ、だから、世継ぎの私も
同行させたのか。
「塔王陛下が無理なら、バリジナグ外交官はいらっしゃいますか?」
私は言った。
カータシキ魔法塔国の良心に
話してみよう。
「バリジナグ外交官はですか?まだ、ファモウラ軍国で戦後処理をしております。」
お偉いさんが言った。
ああ、働き者なんだね。
「貴方が道路の担当者なんですか?」
越郎さんが聞いた。
「いいえ、外交担当のケラシウス・ゼサトと申します。」
お偉いさん、ケラシウス・ゼサトさんは言った。
「土木の専門の方ではないのですね。」
越郎さんが言った。
やる気ないのまるわかりじゃないかー。
「ラーガラース烈王国との外交は慎重にいたしませんと。」
ケラシウス・ゼサトさんは言った。
この狸親父!腹まで真ん丸じゃないか。
よっぽど旨いもん食ってるみたいだな。
狸汁にして食ってやろうか?
「観光担当の方はいらっしゃいますか?」
越郎さんが冷静に言った。
スゴいな、越郎さん政治家みたいだ。
ああ、ムリュフ精霊国の
若様だったよ。
「観光でもなさるおつもりですか?」
狸親父が嫌な感じに笑った。
『狸親父くらい、いなしなさいよ。』
って母ちゃんに高笑いされてもいい。
しめる!越郎さんを笑うなんて!
隣のソファーに座った越郎さんが
私の膝を押さえた。
落ち着けってこと?
「ええ、ぜひ、観光させてください、婚約者と婚前旅行でもありますので。」
越郎さんが言った。
なに考えてるんだろう?
「いいですよ、カータシキ魔法塔国はいいところが沢山ありますからね、田舎から出てこられた方には刺激的でしょうね。」
ケラシウス・ゼサトが言った。
この、くそ狸親父、闇夜に気を付けろよ!
「たまには、田舎観光も良いものです。」
越郎さんがさらっと言った。
言ってくれた、わーい。
「そうですね、手配しましょう。」
狸親父は言った。
気がつかんのかい!
カータシキ魔法塔国を
田舎って揶揄したんだよ。
まあ、いいか。
越郎さん、やっぱり頼もしいよ。
私もかっかしないで
冷静に嫌みったらしく
エレガントにいかないとね。
嫌みは余分かな?
絶対に道つなげようね。
そういや、塔王マルティネス陛下って
どんな取り込み中なんだろう?




