表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塩対応のクラスメイトが、実は好き避けだった件  作者: 黒宮 シズク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/4

第4話 今度は俺が意識してしまう


翌朝。


俺――神崎悠斗は、人生で初めて登校するのが憂鬱だった。


理由は一つ。


朝倉紗雪だ。


正確には、


朝倉紗雪が俺のことを好きだと知ってしまったこと。


昨日までは違った。


嫌われていると思っていた。


だから気楽だった。


避けられても、


「まあ嫌われてるしな」


で済んでいた。


だが今は違う。


全部意味が変わってしまった。


目を逸らす。



照れている。


逃げる。



緊張している。


顔が赤い。



俺のせい。


「無理だろ……」


通学路を歩きながら頭を抱えた。



---


教室へ入る。


その瞬間だった。


窓際の席。


朝倉紗雪の姿が目に入る。


すると。


昨日まで何とも思わなかったはずなのに。


心臓が跳ねた。


「っ……」


長い黒髪。


朝日に照らされた横顔。


整った顔立ち。


可愛い。


いや。


前から可愛かった。


ただ。


今までは遠い存在だった。


でも今は違う。


俺を好きな女の子として見えてしまう。


その破壊力は凄まじかった。


「お、おはよう……」


なんとか声をかける。


すると。


紗雪がこちらを見る。


目が合う。


一秒。


二秒。


三秒。


そして。


ボンッ。


という音が聞こえそうなほど顔が赤くなった。


「お、おはよう!」


勢いよく返事。


そのまま机へ突っ伏した。


「……」


「……」


俺も固まる。


何だこれ。


可愛すぎないか。



---


「神崎」


隣から声。


健太だった。


「お前今日変じゃね?」


「そうか?」


「朝倉さん見た瞬間固まってたぞ」


ギクッ。


俺は視線を逸らした。


健太が怪しそうに見る。


「何かあった?」


「何もない」


「絶対ある」


鋭い。


だが話せない。


話したら大変なことになる。


『実は朝倉さんがお前のこと好きらしい』


なんて。


本人の秘密を勝手にばらすわけにはいかない。


「気のせいだ」


「ふーん」


絶対納得していない顔だった。



---


一時間目。


数学。


先生の話が全然頭に入らない。


理由は単純。


斜め前に紗雪がいるから。


そして。


気付いてしまった。


紗雪。


めちゃくちゃこっち見てる。


俺が黒板を見る。



紗雪が見る。


俺が振り向く。



慌てて逸らす。


その繰り返し。


分かりやすすぎる。


今までなら気付かなかった。


でも理由を知った今なら分かる。


「……」


俺は思わず口元を押さえた。


危ない。


ニヤけそうだった。



---


昼休み。


俺は購買から戻っていた。


すると。


廊下の向こうから女子たちの集団が来る。


その中心に紗雪がいた。


当然。


すれ違うことになる。


以前なら普通だった。


だが今は違う。


変に意識してしまう。


距離が近付く。


五メートル。


三メートル。


二メートル。


紗雪も俺に気付いた。


瞬間。


顔が赤くなる。


そして。


「ひゃっ」


小さく声を漏らした。


さらに。


友達の後ろへ隠れた。


「……」


俺は立ち止まった。


友達たちも困惑している。


そりゃそうだ。


傍から見たら意味不明である。


だが。


理由を知っている俺は違った。


可愛い。


ひたすら可愛い。


好きな相手を見ただけで隠れるとか何なんだ。


反則だろ。



---


放課後。


帰り支度をしていると。


突然。


コンコン。


机を叩かれた。


顔を上げる。


そこにいたのは紗雪だった。


「っ!?」


今度は俺が驚く。


紗雪もかなり緊張していた。


手が微かに震えている。


「あ、あの……」


「う、うん」


「この前の数学のノート……」


「え?」


「貸してくれてありがとうございました……」


そういえば先週貸した気がする。


そんなことを言うためだけに?


紗雪は真っ赤になりながら頭を下げた。


「じゃ、じゃあ!」


そして。


逃げるように去っていく。


数秒後。


教室から消えた。


「……」


俺は呆然とする。


たったそれだけ。


たったそれだけの会話だった。


なのに。


心臓がうるさい。


「神崎」


いつの間にか健太が横にいた。


「何だよ」


「お前らさ」


「?」


「絶対両想いみたいな空気出してるよな」


俺の心臓が止まりかけた。


「なっ!?」


「図星?」


「違う!」


全力で否定する。


しかし。


健太はニヤニヤしていた。


「まあ頑張れ」


「だから違うって」


そう言いながらも。


俺自身、もう分かり始めていた。


朝倉紗雪の気持ちを知ったあの日から。


俺の中でも何かが変わり始めていることを。


そしてその変化は、


もう止まりそうになかった。


――続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ