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カードゲームは卒業したのにTCG学園に放り込まれたんだが ~イカサマ王と呼ばれた俺はカードゲームなんかしたくない~  作者: ゼ二平


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第33話 武束集という男

 「……あ、武束! こんなところにいたのか!」


 校舎内を散々探し回って、食堂の一番隅の人目に付かないところでこそこそしているのをようやく見つけた。


 「ギクッ!! やややや、やあ、おふたりさん。どどどど、どうしたんだい」


 俺達を見て飛び上がって今にも逃げ出しそうだ。

 最近見ないと思っていたら、どうやら俺達のことを避けていたようだ。


 「武束……何か隠してることがあるんだろ?」


 「なななな、何も隠してなんかいないささささ」


 「嘘」


 この動揺っぷり、奈津じゃなくても何か知っていることはわかる。

 寺岡は勧誘を受けた際、武束が何らかの報酬を貰って奴らに協力していると聞いたらしい。


 「……おい、武束」


 あたふたしているバカに詰め寄った。


 「ちちちち、違う違う! 誤解なんだって!」


 「……何が誤解だって? 武束も奴らの仲間だったんだろ? あんな、クラスメイトを無理やり退学に追い込むような連中の」


 せっかく。仲間だと思っていたのに。

 お調子者だが、武束は悪い男はでない。そう思っていたというのに。


 「だだだだ、だから誤解だよ!! 僕は彼らの退学には関わっていない!! 本当だよ!!」


 「……でも、奴らの仲間だってことは認めるんだね?」


 「しししし、知らなかったんだ!! あいつらがそこまでやるなんて!! だって言うことを聞けば『覇者』のカードをくれるって言われたんだよ!? 世界に2枚しかないあの!! そんなの言うこと聞くしかないじゃないか!?」


 犯罪組織で無理やり働かされた下っ端が捕まった時のような事を言っているが、この男、レアカードにほいほい釣られてしまっただけだ。

 あんまり同情はできない。だが。


 「……待って。『覇者』のカードだって?」


 「ううっ、しまった。これも言ってはいけないんだった」


 『覇者』と言えば、去年と一昨年の『レジェンドヒーローTCG』の全国大会優勝賞品として配られたカードだ。

 一昨年の物は俺が優勝して所持している。慌てて自分の財布の中に大切にしまっているカードを確認する。

 よかった。ちゃんとある。

 誰かに奪われているかもしれないと思ったが、そんな事はなかったようだ。


 「じゃあ、そいつの言う『覇者』のカードって……」


 『覇者』のカードは2種類ある。

 俺の方は右に向かって剣を構えている王が映っているが、もう一枚の方は鏡映しのように反対に向かって剣を構えている。


 俺のとは違うもう一枚の『覇者』を持っている何者か。

 そんなの。


 「……あの時のあいつしかいないじゃないか」


 俺が『汚れた王(ダーティキング)』と呼ばれるようになった、去年の全国大会の決勝戦。

 その時の対戦相手。

 あいつが優勝した時の賞品に間違いない。


 「……武束。いい加減話してくれよ。あの時のあいつが……俺の宿敵とも言えるあいつが、君に何をさせたんだ?」


 「あわあわ。ええっと、うーん……ほら、話せない約束だからさ……さすがに『覇者』なんて超高価なカードを貰ってしまっているし……」


 「面倒。殴る?」


 「ひっ!!」


 奈津が拳を握り締めて突き出す仕草をするのを見て武束が悲鳴を上げて縮こまっている。

 ぶん殴って吐かせようということらしい。蛮族か。


 「……殴らないよ」


 さすがに暴力で解決しようとは思わない。


 「……武束、本当に彼らの退学には関わっていないんだね?」


 「あ、ああ。それは間違いないさ」


 それならば、まだ許せるかもしれない。


 「要は話す事にそれ以上のメリットがあればいいんでしょ? ……ほらっ」


 「え?」


 俺は財布の中から一番の宝物、『覇者』を取り出し、そのまま彼に差し出す。


 「これ、あげるからさ……だから、話してくれよ」


 ぽかんとした表情でカードと俺を交互に見つめる。


 「優馬殿。いいのかい? 大切なものなんだろう?」


 「大切なものだよ……それは唯一、俺が『イカサマ王(ダーティキング)』じゃないって証明できるものだったから」


 誰に何を言われても、これは俺が自分の力で手に入れた栄光の証だ。

 これがあるから何を言われても我慢できた。

 でも、もう大丈夫だ。


 「俺の事を信じてくれる奈津がいる。クラスのみんなも、ちょっとずつだけど認めてくれている。もう、そんな物無くても大丈夫だ。今まで世話になってるし……武束が、本当にそれが欲しいって言うなら譲っても構わないよ」


 ちょっと肩をすくめる。


 「その代わり……ちゃんと、話してくれよ?」


 「ああ……本当に、申し訳ないっ!!」


 武束は、深々と頭を下げた。


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