39密約
疾風の剣が帝都へ向かって4日目の夕方まだ帝都で情報を集めて居る筈の彼らが帰って来た。
帰って来たスタークが一直線にマーザスに走り寄り話し掛けた。
「マーザス面白い情報が入ったぞ。」
「こんなに急いで帰って来たからには近々何か有ると言う事か。」
「それも有るが情報は、2つ良い情報と悪い情報が有る。」
「悪い方から教えてくれ。」
「それじゃまずは勇者が動いた。数日後には騎士団だけじゃ無く冒険者そしてカイザスが手下に作らせた剣士団がこの森に捜索隊を組んで俺達を探し出すつもりだ。」
「剣士団?」
「ああどうやら身分等関係無く腕に覚えの有る連中を集めて剣を教えた連中。そう傭兵みたいなもんだ。1人1人の戦力的には、大した事無いが
人数が集まれば無視できないだろう。」
「それじゃ良い方の情報とは、何だ。」
「俺らを嵌めたカイザスの野郎の弱点だ。」
「何!掴んだのか!」
「カイザスは帝国の侯爵だ、普通なら下手な事をしたら直ぐに上から押さえつけられ身動き出来なくなるがそれが同じ侯爵の爵位を持つ人間が台頭したとしたらどうなると思う?」
「カイザスを敵視してる人間が居るのか?」
「シフォン達はどうやら帝国の跡目争いに巻き込まれたらしい。今第一王子が病床で臥せってる、
しかしこれが人為的な物じゃ無いかと疑念を抱いている者が居る。
それが同じ爵位を持つカルーファ・アレス・アカレル侯爵だ。彼が動けば戦況は大きく変わる。」
「動いてくれる可能性が有るのか?」
「そう簡単には行かないと思う何しろ俺達はお尋ね者として見られているからな。
まっ何とか話し合いの場位は作れるがそれ以降は俺達いや、お互いの利害が一致すれば。」
「つまり弁の立つ者が必要な訳だ。」
「誰が行く?」
「お前しか居ないだろうスターク。クラスAは、伊達じゃないだろう?」
「そこにクラスAは関係ないだろう。」
そう言ってお道化るスターク。
「いやお前で決まりだ、俺らには到底出来ない事だからな。」
「分かった、俺がやるよ。それで勇者の方はどうする?」
その時マーザスが俺を見たので。
2人の側に行き。
「勿論迎え撃ちます。ここに来てもう逃げる訳には行きません。それには疾風の剣の協力もお願いしたいのですが。」
それを聞いたスタークは、
「ハハ、ここまで来たんだ。今更逃げ隠れしたってしょうがない。とことん着き合ってやろうじゃないか。その変わりシフォン。」
「分かってます。その後私も逃げ隠れ出来なくなる訳ですね。」
「すまんな。ジョイを裏切る事になるかも知れんがこうなったらお前達と一蓮托生って事だ。」
そして疾風の剣のメンバーに向かい。
「皆すまないが最後の頼みだと思って付き合ってくれ。」
そのスタークの顔を微笑みながら見るカレルと言われる男から
「スターク『疾風の剣』のメンバー全員、常に全てお前と共に行動すると決めているんだ。何を今更。」
そして、ハハハと笑い飛ばした。
それを聞いてスタークが彼らに向かい
「カレルそして皆すまない。」
そして頭を下げた。
そしてカルーファ・アレス・アカレル侯爵と話し合いの場を設ける為直ぐに帝都へ戻って行った。
予定日は翌日夕方以前ハック達との待ち合わせ場所で落ち合い
そこから移動する事になった。
手際が良いっと言うか既にその準備をしていた様だ。
此方は飛んで帝都に入る為俺とレイラそしてバージスの下で暗部として働いていた生き証人としてエスティア
そしていざ何かあった場合の為シトラルに決まった。
翌日の夕方俺がシトラルをそしてレイラがエスティアをそれぞれ抱え帝都に飛んだ。
ただこの時一悶着が有り。
「シフォン何故貴方がトカゲを抱える訳?そんなの絶対嫌だ!」
「じゃレイラがシトラルを連れてってくれる?」
「そんなの出来る訳無いじゃない、何故私がトカゲを連れて行かなくちゃならないの?」
「でも、シトラルを連れて行かなくちゃ何かあった場合大変でしょ。」
「それは分かってるけど、やっぱり嫌!」
「それじゃ夜寝る時この間みたいにギュッとしてあげるから。」
「ギュッ・・・・」
良しもう一息だな。
「じゃ一晩ずっと抱いててあげるからそれで我慢して、約束するから。」
もうここまで来たら引き下がれない。
少々女性が入った男でも・・・・
するとようやくレイラも納得したようで
少しトーンが下がり。
「約束。・・うっうん分かった。それなら我慢する。」
最近レイラの扱いに慣れて来たシフォンだった。
その代わり女性化が進むと危惧してるユキヤの心の中で葛藤が有った事は、誰も知らない。
そしてその晩スタークが用意してくれた場所に着くとカルーファ侯爵はまだ来ていなかったが
逆にこちらの準備、特に心の準備の時間が出来てほっとしていた。
席は、2つスタークとこれから来るカルーファ侯爵の為の席で
俺達はスタークの後ろに立つ形になった。
そして少し遅れて来た カルーファ侯爵は5人もの屈強な護衛を連れて席に着いた。
それと同時に
「私に帝国にとって大事な話が有ると言ったが、そこに居るのは今噂の白銀の魔女じゃないのか?」
その時俺が答えようとすると直ぐにスタークが
「確かに彼女は白銀の魔女と呼ばれていますが、彼女自身は噂通りの者じゃありません、
その殆どは侯爵貴方がご存じの方から仕組まれた罠の為にその様な事になってしまったのです。」
「ふむ、私の知っている者?それは一体?」
「カイザス・グリス・ダング侯爵 です。あの方は彼女を使い勇者の名を上げ何かを企んでいるようです。 」
「それを私に信じろと。」
「私達をお疑いなのは十分理解しております。しかし私達は
カイザス侯爵の罠に嵌められ彼の思いのままに事が進む事を望んでいません。
そしてそのカイザス侯爵の狙いとは、おそらく第一王子の失脚。」
「・・・何かを企んでいるとは思っていたが、しかしカイザスだけではその様な事は出来まい、その上に誰か居るのでは、ないか?」
「はい、確かに誰か居る様ですがまだそれが誰なのかまで掴めていません。エスティア」
エスティアが呼ばれてスタークの隣に立つ。
それに合わせてスタークから
「彼女は元カイザス侯爵の部下バージス率いる暗部のメンバーでした。」
その紹介をすると突然カルーファ侯爵から。
「今宵の夢は何を見る?」
それにこたえる様に
「月夜に飛ぶ鳥の夢を」
その答えを聞き納得したように頷き。
「うむ、本物の様だな。」
スタークが驚いたように。
「今のは、一体?」
カルーファ侯爵から
「暗部は何もカイザスだけの物じゃない今はカイザスの部下が仕切っている様だが帝国の暗部でも有るのだ
その為上流貴族との連絡の為にも何十もの秘密の合言葉を全て覚えさせて本物か確認出来る様にしておる。それが今の合言葉だ」
どうやら暗部はその合言葉を答えられなかったり答えに詰まったりすると偽物と思われ切り捨てらえても仕方ないと言う事らしい。
それだけ重要な合言葉を躊躇う事無く答えられたエスティアを元暗部の人間と認められたわけだ。
それを確認したカルーファ侯爵から、
「エスティアと言ったな、お前はカイザスの何を知って居る、そして奴の為に何をした。」
「はい。カイザス様は自分が召喚した勇者の名声を上げる為シフォン事白銀の魔女に村襲撃の濡れ衣を着せその白銀の魔女を勇者に討伐させるつもりです。
その為私達暗部は幾つかの村を襲い・・・帝国の民である村人を・・・殺しました。」
「では、何故勇者の名声を上げる必要が有ると。」
「そこまでは分かりません、しかしカイザス様も誰からかの指示を受けている様でした。」
「ほー、カイザスに指示を出すとは、これは面白い。スタークと言ったな、
お前はカイザスが何故第一王子の失脚を狙ってると思ったのだ。」
「カイザス侯爵に指示を出すとなると余程の方でないと出来ない事と思います。
しかも村人といえども帝国の民を殺す程の価値の有る物そして現在その第一王子の具合が悪いと聞けば予想は、付きます」
「ふむ、証拠としては弱いが辻褄は合う訳だ。してお前達はどうするつもりだ。」
「私達はカイザス侯爵の計画そのものを潰す為その勇者を倒します。」
「それで私にその後始末をしろと。」
「それがお互いの利益になると思いますが。それともう一つお願いしたい事が」
「それは?」
「この白銀の魔女の濡れ衣を晴らして頂きたい。」
「全てはカイザスのした事とするのだな。」
「ハイ。」
「しかし暗部の者だと証人にはならんぞ。」
「お人が悪い、その様な事カルーファ侯爵なら造作も無い事では有りませんか?」
「確かに、その様な者など仕立てれば良い事。そして私の利益となるのは、第一王子の保護と
カイザスを失脚させ上手くすれば奴の領地を我が物とする事が出来る・・か。ウム悪く無い。」
「それでは私共の提案を受け入れて下さるので。」
「良いだろう。条件は、勇者の信頼を失わせるか、それとも亡き者とするかだ。」
「有難う御座います。これで私達は勇者を倒す事に全力を注げます。」
「頼むぞ、白銀の魔女。」
突然名を呼ばれて驚いたが直ぐに。
「必ずや勇者を倒して見せます。」
これで心置きなく勇者に立ち向かう事が出来る様になった。
後は、カルーファ侯爵が約束を守ってくれれば問題ない筈だ。
次回は、いよいよ勇者の捜索隊とぶつかります。




