追放された鑑定士
7話完結済みです。一気にお読みいただけます。
追放されて半年、おれが鑑定した魔石は、今も国宝級と呼ばれている。
おれは鑑定し終わった魔石をリュックに詰めながら、酒場で話している他の冒険者の言葉に耳を澄ました。
今回の魔石も国宝級。最近は隣国での取引もはじめたけど、魔石の流通上、出しすぎると値崩れする。またあそこに預けておこう。
「おい……聞いたか?」
「なにをよ」
「馬鹿おめえ、フラクタルだよっ!」
「フラクタルっつったら、美人剣士のララと勇者のクロ、あと鑑定士の3人組だろ?」
「今は2人なんだよ……そんなことより、剣士と勇者、あいつらがまた新しく魔石を献上したらしくてさ」
クロとララ。おれの耳が聞きたくもないのに話を聞きに行こうとする。いや、出よう。こんな場所に長居は無用だ。
「鑑定した魔石が軒並み国宝級だろ?まさか、今度は国国宝宝級だってえのかよ」
「いや……どうやら、偽物を王国の祝祭に献上して……処刑されるらしい」
処刑。
おれを捨てた二人が。……ざまあみろ、と思えたら楽だったのに。
気づけばおれは、その男の肩を掴んでいた。
「お、お、おい、なんだよ」
男がおれの顔を見ておびえたように言った。もう一人はすでに隣にいない。おれは男の肩を掴みながらこぶしに力を籠める。
なに、やってんだよ……二人はもう仲間じゃないだろ。
おれを追放しておいて、今度は偽の鑑定士に騙されて詐欺師に成り下がった、あいつら。
でも、そんな鑑定をする鑑定士がいるのか?フラクタルという名のしれたパーティに……。
そこまで考えて、首を無理やり振った。関係ない。あいつらがどうなろうと、知ったことかよ。
でも頭はその先を考えるのをやめない。
あの二人に偽物を本物と偽って献上できる鑑定士。馬鹿な。――あー!もう!
「……二人がどうなったか詳しく教えろ」
おれは、また馬鹿をやる。




