表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/45

45.叱咤されたのは

 山積みになった、大量のフン。

 使い回されたゴワゴワの藁。

 人間の寝床にその臭いが回らないよう設置された風の石。


「ったく!!」


 わかっていて、放置しているということだ。


「こら!ジン!」

「イタッ?!な、なんで急に殴るんですか?!」

「お前ら風の守護騎士は何を管理してんだ?!あそこの環境はなんだ?!ええ?!」

「ん……?そこの管理の指示は、受けてませんので知らないですよ私……」

「ふざけるな!さっさと片付けてこい!さもないと元素神(エレメゴッズ)から罰が下るぞ!」


 カコッカコッと、怒る俺の後ろから現れたフランメ。

 怒りに満ちた視線がふたり分、ジンを襲う。


 サァっと顔面を青くしたジンは、「すぐ済ませます!」と、慌てて休息所の奥へ走っていった。


「サラ、すまないがフランメを磨いてやってほしい」

「わ……ひどいニオイ……よっし!すぐきれいにするね」

「僕も手伝います!ピカピカにしますよフランメ〜っ」

「プルッヒィン!」


 ご機嫌の治し方自体は簡単なもんだ。まあ、ソノラとサラがいなかったら、ここの休息所は焼却処分されてたろうけど。


 なんてことをやっていたら、結局出発できたのは2時間後だった。

 無事フランメの美しさは戻り、ジンの超速の清掃によって乗り物置き場は清浄化された。が、戻ってきたジンのニオイがひどかった。


「あの……サラさん……お願い、できますか……」

「フランメから聞いたけどさ……指示指示って、そんなのに従ってばっかで守護騎士がつとまんの?目の前で困ってる人がいても、死にかけてても、あんたは助けないの?」


 サラはフランメを優しく撫でながら、ジンを睨んで怒っている。


「そんなことはありません……お言葉、染み入ります……だから私は、レイルさんのようには慣れないのですね……」

「おっさんがどうのはよくわからないけど、もっと自由にしてもいいんじゃない?風って、自由に吹くもんじゃん」


 知ってか知らずか。サラはジンの心をえぐっている。そして、背中を押している。そう感じるのは、ジンの表情をみれば分かる。


 馬のフンがきっかけで、こうなるとは思わなかったが。


「うんうん……そうだな。そうあるべき時も、きっとジンにも来るだろうな」

「はあ?おっさんなにいっ……」

「まあ気にすんな!それより時間が惜しい、サクッと洗ってやってくれ」


 まだまだ言いたいことがありそうなサラだったが、前に進むことが今は大事な事だとしぶしぶ納得。ジャバジャバと雑に水の元素を練り上げてジンに浴びせた。


「頭冷えた?ジンさん」

「はい。ありがとうございました」

「わ〜……水も滴るいい男、ですね〜」

「そ、そうですか?ちょっと恥ずかしいのでそんな近くに……ああ」


 ジンも顔は女性のような美しさを持っている。ソノラに「いい男」なんて言われたのが嬉しかったのかな?距離感バグってるソノラに近づかれ、ジッと見つめられて照れてるみたいだ。


 少しは、ほぐれたみたいだな。


 自身の水気わ風でふんわりと乾かしたジン。

 もちろん、フランメにも。

 丁寧に、毛並みに艶が出るように、仕上げをした。


「気を取り直して、参りましょう」

「少し急ぐか……ジン、アレできる?」

「……アレ?あ、アレですか?いいですね、やりますか」


 俺とジンだけがわかってる、アレ。

 怪しく笑う俺とジンを、警戒して見ているソノラとサラ。


「こうしてちゃんとしたカタチでお見せするのは初めてですね?さ、受け取ってください?」


 ジンはふうっと息を吐き、すうっと息を吸う。

 わかりやすく、体内の風の元素を練り上げていく様子を、見せてくれているみたいだ。


「【その風と共に翔ける(ノチェロ・)ことを誇りなさい(シェーク)】」


 足元から太ももにかけ、少しだけ生ぬるい風がふわりと巻き上がった。

 ソノラとサラの足にも同様に、風がまとわりついた。くすぐったそうに、表情をむずむずとさせながら驚いている。


「では参りましょう〜」

「ちょ!まって!説明してくれないとわからんだろ!」

「ふふ……歩けば、わかりますから」


 ジンを怪しみながらも、言われて通りに一歩前に足を出してみるサラ。その後ろをソノラも付いていく。


「ふぇっ?!わっ?!ちょ?!」

「わはわはわぁ?!す、すごい〜〜〜……――」

「あ!先行くなよ?!とまれとまれ!」


 スーッと。地面を滑るようにサラを追い越し、地下道の先に消えていくソノラ。


「走れジン!初めてじゃ制御がムズいんだから!」

「体幹が弱いのは年のせいだからでは?」

「うるっせぃ!とめろ!」

「はいはい」


 華麗な身のこなしでダンジョンの浄化をこなしてる俺が、体幹が弱いわけないだろ。最初だけ、ちょっとびっくりしただけだ。

 ソノラのことはジンに任せ、俺は転んでしまったサラを起こしに行く。


「サラ、大丈夫か?」

「ん……大丈夫。これ、なに?足が地面についてない……ような?」

「おお、鋭いなサラ!いまかけてもらったのはなかなか珍しくてな?付与法ってやつで、他者に他元素の力を貸し与える珍しい元素法。風のみたいに、流れるような機動力が手にはいるんだ」


 まるで、風と同化して空を飛んでる気分になれる。

 ほんの数cmくらいだが、サラの言うとおり、自分の足と地面の間に風が流れを起こしているんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ