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DNAジャパニーズ  作者: violet
7/22

父と子

ユージンは一言でいうとリーライにそっくりだった。

親子と疑いようもない。

「ユージン。」

「お姉ちゃん。」

会いたかった、会いたかったと抱き締めて泣く沙羅。

まだ6歳なのにユージンは既にいろんな事がわかっているようだった。

「ユージンには後継者としての教育をしてます。」

我々が沙羅に戸籍を与えたように、リーライもユージンに与えたのだろう。

今の沙羅とユージンには何の接点もない、同じ母から生まれた証もない。

二条はユージンの元に膝まづくと、手をとって、

「じいじだよ、ユージン。会いたかったよ。」

泣き晴らした顔は許しを請うかのようだった。

「おじいちゃん。」

ユージンの笑顔が二条を救う。



倫太郎にはわかった。

犯人達はリーライが自らの手で処理しただろうと。

「リーライ・イーシャン総師、ありがとうございます。

貴方がいたから沙羅が生き延びれた。」

リーライは倫太郎からの言葉に驚いたようだった。

「貴方がいなければ、沙羅は生まれる前に美鈴さんごと殺されていたかもしれない。生まれても育ってなかったかもしれない。

貴方は一番安全な方法を取ってくれました。美鈴さんのことはとても残念です。」

犯人達は日本人を生かして返すつもりなど最初からなかったんだ。

鷹司や二条が相手だと金だけとって早々に殺していただろう。

それは鷹司も二条もわかっている。

「美鈴に生きていて欲しかったんだ。」

そう言うと総師は泣き崩れた。


「パパ。」

ユージンがかけよってきてリーライにすがり付いた。

「ユージン、愛しているよ。」

リーライはユージンを抱き締めた。

沙羅はユージンの後をついてきて、リーライに言った。

「16になったら結婚するの、ヴァージンロードを一緒に歩いて。」

「もちろんだとも!」

リーライが満面の笑みで笑った。



その翌日、倫太郎は再度リーライを訪ねた。

もちろん仕事の話である。

「我が社は近いうちに、純血日本人でなくともワープゲートを通過できるようなシステムを開発するでしょう。」

「イーシャングループでも開発しているが、簡単にはいかない。」

リーライは巨額の投資をしても難しい、と言う。

「我が社が100年かけた事です、簡単に開発されては立つ瀬がない。

問題はその後です、混乱が起きるでしょう。」

「利権の取り合いだね。今までは純血日本人というストッパーがあった。

それがなくなると個人で設置が可能になる。」

「その通りです。」

「いつの間にかテロ組織の戦闘機が上空に現れる、などとあってはいけない。」

「我が社が開発するものは、他社でも開発するでしょう。

それに一番近いのはイーシャンエレクトロンです。

貴方は純血日本人しか使えないシステムを憎んでいる。」


リーライは遠い昔を語るような目で倫太郎を見た。

「そうだね、世の中は全ての人を助けるようにはできていない。

美鈴がね、ユージンを身籠った時に言ったのだ。

嬉しい、とリーライの子供が嬉しいと言った。」

思い出しているのだろう、幸せな顔だった。


「あの近くにワープゲートを作っていたのだよ、美鈴達なら通過できるからね。だがあのシステムは大きく、秘密裏に作るのは難しい。ケックス社の顧客リストに私の名があるはずだ。」

知っている、貴方がいろんな可能性を試していたことを。


「憎しみは続かないんだ、私にはユージンがいるからね。

ユージンを見るのは楽しい、憎しみを埋めてくれるんだ。」

美鈴さん、貴女は沙羅を守ったように、ユージンもリーライも守ったのですね。


「ワープゲートの到着ゲートには管理が必要だろう。」

「イーシャン総師、私はワープゲートは決められた地のみに設置しようと思っています。空港のようにするのです。」

「なるほど。」

「空港の運営のノウハウは我々にはありません。」

「イーシャンにはある。」

「従来のゲートが無くなる訳ではないが、汎用性の高いゲートは大量人員の輸送になる。

物資は従来通りにゲートが仕えるが、集約した方がいいだろう。」

「人の大量雇用が生まれるな。」

「その空港は宇宙にも繋がる、まずは宇宙ステーションだ。」



「次は我が国で作業担当員レベルの会合を開こう。」

長い時間話し合った後にリーライは言った。


「一つ思うのだよ、何故ゲートは純血日本人しか通過できないのか。」

リーライはどこを見るともなしに言う。

「犯人グループが鷹司や二条でなくイーシャンに接触してきたのは、日本人じゃないからだ。

日本人はすぐに正義だ、道徳だと言う。

武士道というやつかな、潔くあれと言うのだろ。

それは素晴らしい事だし、誇れる事だ。だが犯罪者にとっては嫌なものなのだよ。

正義を思えば犯人グループに金を出すなど出来ない事だ。

私は美鈴の為なら躊躇いなく金を出す、日本人は悩みながら金を出す。

それがストッパーなのではないかな。

ゲートはDNAではなく日本人の心を通過させるのではないかと思う時がある。」

そう言ってくれて、ありがとう、と言葉が出た。



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