表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君との話  作者: tc


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

私と貴方

初めの印象はリゾート地で軟派してくる軽い男だった。

しかも、宿の部屋が向かい同士なんて最悪。

まぁ、でも、何かの縁だし今晩の食事くらいはと、そんな気持ちで貴方との関係は始まった。


貴方と私は、びっくりするくらい共通点が多くて、気づけばもっと貴方のことを知りたいと思うようになっていた。


海岸沿いを貴方と歩いてると、周りはカップルだらけで気づいた貴方も「なんか小声になっちゃうね」なんて笑うもんだから、私もつられて笑う。


暫く歩いてると、急に雨が降ってきて貴方は私の手をとって引いてくれたね。

不意打ちにドキドキしてた私は、耳が熱くなるのを感じてた。


私は友達にも良く言われるのだが、多分惚れやすい人間なんだと思う。私が貴方を好きと認識するには充分なときめきがそこにはあった。

宿への帰り道、貴方は明日でチェックアウトだって話を聞いてこのまま終わらせたくないと思い、勇気を振り絞る。


『連絡先交換しませんか?』


2人の声が重なった。運命だと思った。



あの日から貴方は毎日「おはよう」から始まり、日々の出来事を教えてくれたね。

空が綺麗だったと言って写真を送ってくれたり、私が残業で返信できない時も応援の連絡、全部が嬉しかったよ。


デートは毎週日曜日、理由は私が土曜日に予定を入れまくってたから、貴方に出会えるって分かってたらこんなにスケジュールを詰めなかったのにって思う。

貴方は少し淋しそうな顔をして「行っておいで、日曜日には独り占めできるから」なんて言う。

私はそんな貴方の優しさに甘えていたと思う。


貴方とは沢山海の見える場所を巡ったね。

あの島の海の綺麗さには劣るけど、海を見てると心がスッとする。


あの日私は貴方に職場の愚痴を溢した。

嫌いだった上司の元に戻る内示が出たからだ。

貴方に言ったって仕方ないのは、分かってるんだけど貴方は私の味方になってくれて静かに話を聞いてくれたね。

その日の帰り、貴方にしては大胆に私を抱き寄せたよね、耳元での「好きだよ、頑張れ」はまた明日から頑張れるって思ったよ。


私の仕事が繁忙期に入り、貴方とはなかなか会えない日が続いたね。

貴方からは、毎日「おはよう」「今日も頑張れ」のメッセージが届く。

この頃の私はちょっと余裕がなくて、貴方からの連絡が少し煩わしく思っちゃったんだ。


今日も今日とて残業で、合間の一息の時に貴方からメッセージが入ってることに気づく。

「今用事で近くまで来てるから、息抜きしたかったら声かけて」

今貴方に会っちゃうと気合いを入れて仕事をする私じゃなくなる気がして、「バタバタしてて、また後で連絡する」って返した。

少し心に引っかかる何かを感じた。


会えない時間、私は本当に貴方のことが好きなのか考え始めた。

手元にあったメモ帳に貴方の似顔絵なんか描いたりして、好きって気持ちをちゃんと考えたくて。


仕事が落ち着き職場の打ち上げがあった。

貴方から、「飲むならお迎えいくよ、会いたいし」ってメッセージ、私はその気持ちに応えられなくなってることに気づいた。


貴方との「好き」「会いたい」のメッセージを私は見て見ないふりをした。



日曜日になった。



いつものように貴方が迎えに来てくれて、貴方の私を見つけた時の笑顔を見ると、少し心が痛かった。。

デート中、本当に貴方との関係を終わらせるべきか考えてたんだ。

貴方は私の考え込む顔を体調が悪いと受け取ったのか「大丈夫?今日は体調悪かった?」なんて聞いてくれる。あぁ、優しいなって思う。

その優しさが今の私には痛かった。


気づけば4時間おしゃべりが続いてて、貴方が「今週はつかれてるでしょ?今日は早めに帰ろうか」って切り出してくれて、帰路につく。


覚悟を決めた。


帰り道、サンセットビーチのそばで貴方に「夕陽を見て帰ろうか」って言う。

貴方は私からの提案に喜んで車を停める。


暫く歩いてるとベンチが見えてくる、貴方が「あそこならゆっくり夕陽が沈むのが見れるね」なんて無邪気に言ってくるもんだから、私の覚悟が揺らぎそうになる。


ベンチに座って、貴方に別れを切り出した。

優しい貴方が怒ったり罵ったりする姿は想像できないけど、その方が幾分かましだったと思える貴方の表情、さっきまでの笑顔とは打って変わって泣き出しそうな顔が見えた。


「そっか」貴方は絞り出したような声で言う。


貴方には、貴方のことを否定してほしくなくて、「人として尊敬するし、好きだよ」と私は投げる。

いや、私の罪悪感を少しでも和らげるための卑怯な言葉だったのかもしれない。


車まで戻ると貴方はいつものように助手席のドアを開けてくれたね。

私は少し戸惑ったけど、貴方の「君を家に送るまでは彼氏でいさせて」って言葉に罪悪感で泣きそうになる。


家に着いて車を降りて、私は「じゃあ、またね」っていつもの癖で言ってしまう。

貴方はいつもの笑顔で「またね」って言ってくれた。

私は少しホッとした。


貴方の車が角を曲がっていくのが見えて、私は家に入った。


貴方に最後のメッセージとして、「今までありがとう。これからの貴方を応援しています。」と言ったようなニュアンスのメッセージを送ったと思う。



ーー貴方と私の恋の話は終わった。ーー



最後まで読んでいただきありがとうございました。


感想や指摘など、頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ