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ヘレン目線

私は、ヘレン。私の夫はザード。


私は、ザードとの子供を身ごもった。ザードはリザードマンと人間の子。そして私は人狼と人間のハーフ。


だから、生まれてくる子供には、リザードマンと人狼と人間の、3つの種族の血が流れ、それとともに、3つの種族の特性を持ち合わせることになるの。


私は人狼と人間のハーフだけど、狼とかには変身できない。見た目、顔立ちは人間の女性と同じ。だけど、耳はオオカミの耳なのよ。


今、まさに戦争状態。だけど、いつか戦争が終わって、みんなが分かり合える時がくることを願っている。

戦争が続いて、一番被害を被るのは、私たちのような女性と、この子たちのような子供だから。


私は、ヒューマンオンリーの男たちに襲われている時に、ザードに助けてもらった。


「おいっ!お前、人狼だな!?」


突然、3人のヒューマンオンリーの男たちが現れて、私を連れ込もうとした。

ヒューマンオンリーの男たちから見て、亜人の男は、特に戦闘員は殺害の対象、一方で亜人の女たちは、彼らから乱暴されたり、戦利品として本国に連れていかれ、売り飛ばされて、奴隷として扱われる。時には性奴隷として扱われる。

私も、まさにそんな性奴隷にされようとしていた、その時だった。

そこに、ザードが現れたのだった。ザードは剣を抜く。無銘の剣といって、いわゆる量産品の大量に出回っているようなナマクラな剣だ。


「ん?なんだてめえは!」

「見たところ、トカゲみたいな目付きだな、もしかして、トカゲ男の亜人か?」

「かまわねえ!やっちまえ!ぶっ殺せ!」


ヒュッ!ズガッ!ドガッッ!!


「うげっ…!」

「ぐええっ…!」


ザードはリザードマンと人間の子。リザードマンの特性は、武器なんか持たなくても攻撃力が並みの人間とは比べ物にならないということ。

あっという間に、3人のうちの2人を斬り殺した。ほぼ即死。

量産品のナマクラな剣でも、使い手の技量によっては、それで充分ということらしいけど…。


ザードにあの時、助けてもらったことには、もちろん感謝している。


あっさりと仲間の2人が斬り殺されるのを目の当たりにし、残った1人は戦意を失い、逃げようとした。


「ひいいいっ!た、助けてくれ、助けてくれー!」


ザードは、残る1人を追いかけ、そして背後から斬った。さらに、とどめをさした。


ズガッ!ドガッッ!!


「うわあああっ!」


ドシャッ…


ザードは、剣についた血を拭い、剣を鞘におさめた。


そのおかげて、私は助かったの。


ザード「俺は、ザードだ。ヒューマンオンリーの亜人狩りが目に余ったのでな。」

ヘレン「ありがとうございます…。だけど、ひどい、戦意を失って逃げようとした相手を殺すなんて…。」

ザード「ひどい?ひどいなんてことはない。奴らのやったことの方がひどい。だから同じ方法でやっただけのこと。」


これが、私と、ザードとの初めての出会いだった。


今は特に目立った動きは無く、冷戦状態が続いているみたい。最近は小競り合いすら無いけど、それがかえって不気味。

その後も、目立った戦闘なども無いままに、時だけが流れ、1年近くが経った頃。


私はついに出産の時を迎えた。


「オギャア!オギャア!」


子供は無事に生まれた。女の子。リザードマンの特性と、人狼の特性と、人間の特性を兼ね備えた、最強の戦士になる素質があると、周囲は言ったけど、私としては、できることなら、戦いには行かせたくない。

自由に、自分の生きたいように人生を満喫して、好きな相手を見つけて、結ばれて、そして幸せをつかんでほしいと、私は思った。


もう誰にも、この幸せを踏みつけられないように…。


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