ラスト
第二話も最終話です。
カフェテリアを出る際、クロウに呼びとめられた。不機嫌に振り返ると、首を左に傾げた姿が目に映る。ふんぞり返ったように、堂々と座っている姿が異質だ。
「それ、ちゃんとかけなきゃダメだよ」
かける?いったい何を渡されたんだ?
「知るか」
ぶっきらぼうにそれだけ返して、店を後にする。せっかくおいしそうなコーヒーのメニューがあったのに、非常に残念だ。
駅へと向かう帰り道。ソラちゃんが大声を出した。
「あ!」
「どうしたの?」
「あたし、自分のカバン忘れちゃってた…」
馬鹿なんだな、この子は。
「取りに戻らなくちゃ」
そういって、彼女は学校への道を駆けていく。
一人歩きながら、クロウについて思い返す。
なんであんな変な格好をしてるんだろう?
ソラちゃんとは、どういう関係なんだ?
なんで人助けなんてする気になったんだ?
考えるほどに疑問が沸く。あの男は一体何者なんだろうか。
ソラちゃんに聞こうと顔を上げてから、彼女と別れたことを思い出した。
まぁ、いいか。明日聞けば。
そう思って、駅に向かって歩を進める。
空はまだきれいな茜色をしていた。こんな時間に帰るのは久しぶりだ。駅はまだ混んでいるだろう。
仕方ない。近くの本屋にでも寄っていくかな。
クロウが謎のままですね…




