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琉球

3Mの第四十七弾、沖縄にお使いです

「今日の特産品は、何?」

 逢歌が極々当然の様にオオオ達の家にやってきて、デビンが注文した特産品を別けてもらおうとしていた。

「今日は、これからオオオが買ってくるみたいよ」

 のんびりした様子のキキキの言葉に逢歌が言う。

「そうなんだ。そういえば、今日は、恵は、来ないんだよね」

「はい、何でも家の法事があるそうで、こっちには、顔を出せないといっていました」

 クククが答えに逢歌が肩を竦める。

「詩莉阿も家の仕事だって言うし、帰るかな」

 そんな時、オオオがやって来て言う。

「丁度良い所に居た。沖縄に行きたくないか?」

「何で沖縄?」

 逢歌が聞き返すとオオオがプリントアウトされた一枚の広告を見せる。

「沖縄でしか売ってない限定料理だ。デビンがこれを食べたいらしいから買いに行くのを手伝ってやってくれ」

「手伝うって、もしかしてキキキ達に行かせるつもり?」

 逢歌が批難の表情を見せるとオオオがあさっての方を向いて熱弁する。

「若い奴等には、色々な経験を積ませた方が良いんだ」

「私は、嫌よ」

 キキキが即答しクククも続く。

「私もこちらの世界には、あまり関わりを持つのは、いけないと思っていますので」

 そしてケケケが元気に答える。

「何事も経験だと師匠は、言っていました!」

「その通り、こっちの常識的な事は、逢歌に聞け」

 オオオが話を進め様とするのに対して逢歌が突っ込む。

「あんたの仕事じゃなかったの?」

 オオオがあさっての方向を向き告げる。

「若者に経験を積ませるのも先駆者の役目なんだよ」

「建前は、いいから本音は?」

 逢歌の言葉に汗を垂らすオオオ。

「沖縄での活動費として交通費、宿泊費とは、別に二万だすぞ」

「そんだあれば欲しかったあの服が買えるって、話を誤魔化そうとしているでしょう?」

 尚も突っ込む逢歌にオオオが諦めた顔をして言う。

「ちょっと知り合いの女性が遠出をするんだが、女の一人旅は、危ないから俺が付き合う事になったんだ」

「ようやくすると、恵が法事でいない事をいい事に水商売のお姉さんと泊まりこみの旅行にいくつもりなんだね」

 逢歌の要約にオオオが耳打つ。

「後一万余計に出すから内密に頼む」

「はいはい。ケケケ、そういう事で一緒に行きましょうか」

 逢歌があっさり受けた事に安堵の息を吐くオオオ。

「よろしくお願いします」

 頭を下げるケケケと共に逢歌は、沖縄に向うのであった。



「大丈夫?」

 那覇空港で青褪めた顔をするケケケによりそう逢歌。

「は、はい。しかし、知識として知っていましたが、本当にあんな鉄の塊が空を飛ぶんですね」

 ケケケが未だに信じられ無そうな顔をしていると逢歌が頬をかく。

「そっかケケケ達には、飛行機がそんなに不思議なものなんだね」

「はい。空を飛ぶものなんてそうありませんから」

 即答するケケケに対して逢歌が言う。

「でもね、あたしたちにしてみれば、ケケケ達が使う気や魔法の方が不思議なんだけどね」

「そうなんですか? 気なんて誰でもつかるし、魔法だって才能さえあれば簡単な筈ですけど」

 不思議そうな顔をするケケケに逢歌が笑う。

「魔法なんて、こっちじゃ絵空事だからね。とりあえず、先にお使いすませようか」

「そうですね」

 ケケケも同意したので、逢歌は、タクシーに乗り、目的の店に向った。



 その日の夕方、オオオが予約していたホテルの部屋のベッドで大の字になる逢歌。

「テレビと見るのと実際来るのとは、やっぱり大違いだね」

「はい、こんなに熱いとは、思いませんでした」

 冷たいジュースを飲むケケケ。

「ホテルは、クーラーが効いてて最高だよ」

 逢歌がベッドでごろごろしているとケケケがいきなり真剣な顔になる。

「逢歌さん、こっちに!」

 逢歌が言われるままに動いた直後、そこを弾痕が穿った。

「えーとどういう事かな?」

 ぎこちない動きで見てくる逢歌にケケケが答える。

「ドアの方から殺気が!」

 次の瞬間、ドアが蹴り開けられて武装した男達が突入してくる。

「組織の奴等も業界での順位を上げるので忙しいと思って居たが、こっちの動きを察知して資格を送ってきたみたいだが、先手を打たせてもらったぜ」

 琉球衣装を纏った男が不敵な笑みを浮かべた。

「何か勘違いしていない? あたし達は、沖縄には、名物を買いに来ただけだよ」

 逢歌の言葉に琉球衣装の音が失笑する。

「余計なごまかしは、止めておきな。ここが組織でも指折りの使い手、オオオが予約した部屋だって事は、解ってるんだ。奴は、何処に居るんだ? それとも義理立てして死ぬか?」

「どういう事でしょうか?」

 眉を寄せるケケケに対して苦々しい顔をして両手を上げて逢歌が答える。

「全部勘違い。オオオは、居ない。水仕事のお姉ちゃんと旅行中で、あたし達は、その代打として買い物を任されただけよ」

「そんな戯言を信じろと?」

 肩を竦める琉球服の男に対して逢歌が訴える。

「本当だもの。大体、なんで刺客を送られてくるなんて思ったのよ!」

「下らない問答をするつもりは、ない。連れて行け! 拷問をしてでも居場所を吐かせた後、この二人を人質に、オオオの首を取るぞ」

 琉球服の男の言葉に配下の男達が動く前にケケケが動いていた。

「オオオさんの手を煩わせる必要なんてありません」

 早い踏み込みからの肘うちで先頭の男を打ちのめすケケケに周囲の男の銃口が向けられるが、ケケケの動きは、躊躇無かった。

 次々と放たれる銃弾をかわし、次々と蹴りを打ち込んでいくケケケ。

「馬鹿な!」

 動揺する男達に舌打ちする琉球服の男。

「無能どもが、下がれ」

 前に出る琉球服の男にケケケの正拳が迫る。

「良い拳だ。しかし、まだ青いな」

 琉球服の男の拳が先にケケケに決まる。

 下がりながらケケケが問う。

「貴方も武術を学んでいるのですか?」

 琉球服の男が苦笑する。

「学ぶ? 異な事を言う。武術とは、常に実戦で極めるものだ!」

 息吹と共に琉球服の男の猛攻が始まる。

 ケケケは、それを捌きながら応じる。

「実戦でなければ見えないもの多いのは、確かです。しかし、常日頃の鍛錬の先にこそ真の到達点があります」

 琉球服の男は、嘲る。

「そんなんだから青いって言うんだ!」

 上着を脱いだケケケの視界を塞ぐ琉球服の男。

「ケケケ、そいつ銃を持ってる!」

 逢歌の警告にケケケが咄嗟に体を捻るが、銃弾は、その足を捉えた。

「何故ですか? 貴方の実力は、本物です。それが何故、そんな物に頼るんですか!」

 傷口を押さえ、片膝を着くケケケの問い掛けに拳銃を構えた琉球服の男が不思議そうに返す。

「これが実戦。こんな便利な道具を使わないなんてナンセンスだ」

 悔しそうな顔をするケケケ。

「その拳に誇りは、無いのですか!」

 肩を竦める琉球服の男。

「誇り、そんなもんは、とうの昔に豚に食わせたさ。成り上がる為だったら、何だってしてきた。ようやくそれが実ろうとしているんだ、絶対に邪魔は、させないぞ!」

 銃口が火を噴き、ケケケの顔面に向かって銃弾が飛ぶ。

「誇りない拳には、負けません!」

 ケケケの気を籠めた手刀が銃弾を弾いた。

「往生際が悪いぞ!」

 再び引き金を引こうとした琉球服の男に向かってケケケが前転する様に上半身を倒す。

 そして両手を床に着き、ハンドスプリングで無事な方の足で蹴りを放った。

 琉球服の男は、銃口を合わせようとするが、それよりも早く、ケケケの蹴りがその胸を捉える。

 呻き、倒れる琉球服の男にケケケが告げる。

「そんな物に頼らなければ、貴方の実力でしたら、今の蹴りを防ぐ事は、出来た筈です」

「まだだ! やれキジムナー!」

 琉球服の男の声に応え、赤髪の小人が次々と現れ、ケケケに襲い掛かる。

 動かぬ片足ながらも必死に応戦するがケケケだったが、多勢に無勢、押さえつけられる。

 当然、逢歌も捕らえられる。

 胸を押さえながら立ち上がる琉球服の男の顔には、憎悪が浮かび上がっていた。

「人質は、一人で十分だな。お前には、生まれた事を後悔させてやるぞ」

「助けて恵!」

 逢歌が叫んぶ。

『射手座のカードよ、その正鵠なる矢で全てを打ち貫け!』

 全てのキジムナーが魔法の矢に撃ちぬかれて、滅びていく。

「なんだと! こんな真似が出来る術師が居るだと?」

 琉球服の男の言葉に声が響く。

「本当にオオオの馬鹿が」

「恵!」

 開放された逢歌が声をした方を向くとそこには、恵が立っていた。

 駆け寄り逢歌が訊ねる。

「助かったけど、どうしているの?」

 溜め息を吐く恵。

「うちに泊まった事にしたでしょ? あちきの携帯に逢歌のお母さんから電話があったんだよ。宿題をちゃんとやりなさいってね」

「余計な電話を、でも助かったわ。あいつ悪党なの、どうにかして!」

 琉球服の男を指差す逢歌に対して恵が冷めた顔で告げる。

「ところで、あちきに秘密にしてる事無い?」

 テヘペロする逢歌に呆れながら恵がゆっくりと琉球服の男に近づく。

「小娘、貴様何者だ?」

「あちきは、何者かは、あんまり関係ないし、この二人が組織とは、関係ない。ほら、あんたが欲しがっていたオオオは、あそこだよ」

 恵が指差した先には、床で潰れているオオオが居た。

「恵、悪かった! 反省してるから、この超重力を解いてくれ!」

「殺すんだったら今のうちだよ」

 恵の言葉に戸惑う琉球服の男。

「な、何を企んでるんだ?」

 肩を竦める恵。

「企んでるのは、あんたでしょ。さっきのキジムナーは、人工に生み出した妖怪。多分、大量生産法を確立してそれを使って大きな事をしようとした違う?」

「やはりそこまで掴んでいたのか。ならばここでお前等を潰して反旗とする」

 琉球服の男の真剣な顔に恵が複雑な顔をする。

「えーと、言い辛いけど、今の影長だけど今回の事は、気にしてないと思うよ」

「どういうことだ!」

 琉球服の男が怒鳴ると恵がほほをかく。

「簡単に言えば、あんたが思っているほど大事にならないと考えているから。実際、このレベルならあちき一人で全滅させられるしね」

「馬鹿にするな! 時間さえあれば数百をこすキジムナーを生み出す事ができる!」

 琉球服の男の宣言に恵が淡々と答える。

「あのていどなら数万でも一時間以内に滅ぼせるけどなにか?」

「ハッタリは、止せ! そんな事が出来る訳がない!」

 怒鳴る琉球服の男に恵が困った顔をする。

「まあ、証明するのは、難しいし信じなくても良いや。今問題は、頼りのキジムナーもそう数居ないって事実。ここでオオオを殺した所で次々と送られてくる刺客は、倒せないでしょうね」

「時間を稼げば……」

 琉球服の男の言葉に恵が苦笑する。

「あの影長がそんな時間を稼がせてくれると思う? そうおもうから先手を打ったつもりなんでしょうけど、失敗した挙句、折角のキジムナーを減らした。こっから先は、無駄な足掻きだよ」

「くそう!」

 その場に崩れる琉球服の男。



 翌日の朝。

「折角の沖縄旅行だったのに、どうしてここで目を覚まさないといけないんだろう」

 逢歌のボヤキに恵が料理を作りながら答える。

「あのね、あのまま沖縄に居たら、警察の事情聴取等受ける破目になって大変だったの。だから転移魔法で帰って来たんでよ」

「あの距離を転移魔法使えるなんて、お姉様って凄い」

 キキキが感動する中、クククが言い辛そうに訊ねる。

「あの、オオオ様は、何時まであのままなのでしょうか?」

「ケケケの傷が完治するまでじゃないの?」

 恵は、他人事の言うとオオオが叫ぶ。

「今回は、本気で悪かった! 死ぬほど反省しているからお願いだから許してくれ!」

「外で発情中の犬が騒いでるけど気にしないで食事にしましょうか」

 恵が食事を並べる中、庭で首輪を着けられ繋がれたオオオが必死に謝罪するのであった。

 その後、周囲の目もあって昼前には、開放されたオオオの立場が暫く無かった事は、言う必要も無い事だろう。

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