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そして幸せは続いていく

二人の新生活は穏やかに過ぎていった。


孝一郎の朝の準備のため早朝から出勤する神崎に、紗希は早起きして朝食を用意し、身支度も手伝った。


紗希はその後、家事をこなし、孤児院へと通う。今までの休日のボランティアから、パートの職員に採用されて、院長先生のもとで楽しく働いている。


神崎は、相変わらず忙しいが、週に1日は休む約束を守り続けている。どんなに忙しくても、夕食時は一度家に戻り、紗希との食事を大切にした。

部下を信頼し、仕事を任せることも多くなった。


そして今まで通り、たまに孝一郎とチェスをする。

今日も神崎は、孝一郎の書斎でチェス盤に向かい合っていた。


「怜司君、新婚生活は順調かい?」

駒を配置しながら孝一郎が問いかける。


「はい、お陰様で問題無く過ごしております」


神崎の堅苦しい物言いに、孝一郎は思わず苦笑する。

「君は相変わらずだな……今、幸せかい?」


「はい」神崎は即答した。


「私は今まで生きてきて、今一番の幸せを感じています。全て、孝一郎様のおかげです」


「え…?僕は何も…全部、君の努力の結果だよ」


「いいえ。孝一郎様が私を執事に選んで下さったから、紗希と出会う事ができました。最初は迷いもありましたが、今は執事になって良かったと心底思います」


「怜司君……」

孝一郎は感極まり、言葉が続けられない。


神崎の教師になる夢を諦めさせた事、多忙のあまり失わせてしまった恋があった事、神崎への特別な想いに蓋をした事……これまでの出来事が走馬灯のように脳裏に浮かぶ。


『執事になって良かった』


神崎の言葉は、孝一郎に最大の幸福感をもたらした。


「怜司君…君が僕の執事になってくれて…今、幸せでいてくれて……僕は本当に嬉しいんだ」


孝一郎からの言葉に神崎は穏やかに微笑んだ。

「孝一郎様…これからも全力でお仕えいたします」


チェス盤を挟む二人の間には、確固たる信頼と絆が形作られていた。



あっという間に3ヶ月ほどが過ぎ、神崎と紗希の生活にも少しの変化が生まれた。


メイドではなくなった紗希に対して、もうお仕置きはしないと言った神崎であったが…たまにお仕置きをするようになったのだ。それは純粋な罰ではなく、合意の上での前戯のようなものである。


「怜司さん…実は今日、孤児院でお皿を不注意で割ってしまって…」


紗希が申し訳なさそうに切り出した夕食後のリビングで、神崎は彼女をソファに座らせた。二人の間に緊張感と甘い期待が入り混じる空気が漂う。


「分かった。どれくらい割ってしまったのかな?」


神崎の声は穏やかだが、その目には既に熱が宿っている。


「大きいお皿一枚と……小さなコップを三つ」紗希の声が小さくなる。


「そうか。それはかなりの被害だね。うんと厳しいお仕置きが必要だね。膝の上に来なさい」


「はい……」


紗希は上半身を倒し、隣に座る神崎の膝の上にうつ伏せた。神崎は紗希のスカートの裾をまくり上げ、ゆっくりと下着を下ろした。紗希の小さなお尻が、明るい室内でむき出しになる。


「それじゃあ……今日は六回だ」


神崎の宣言に紗希の肩が微かに震える。回数が多いわけではない。二人の間での暗黙のルールでは失敗の重大さに応じて回数が決まっていた。


「はい……お願いします」


紗希が頷くと同時に神崎の手が彼女の腰を捉えた。いつもより優しい力加減で押さえる。


「力を抜いて」


紗希は言われた通りに力を抜くが、それでも緊張して背筋が伸びる。


パチンという軽い音が室内に響いた。


「……んっ」


「痛くない?」


神崎の問いかけに紗希は首を振る。


「大丈夫です……続けてください」


パンッ!


二発目が続く。今回は少し角度を変えて横側付近を狙った。


「っ……!」


紗希の吐息が漏れる。彼女の身体が微かに左右に揺れ始める。


「どうした?」


神崎の声には優しさと意地悪さが同居している。


「いえ……なんでもないです」


パシッ!


三発目。今度は少し強めに入れた。紗希の身体が弓なりに跳ねる。


「ひぁっ!」


「可愛い声だね」


四発目。今度は同じところを連続で叩く。


「あっ……んっ……」


五発目。一呼吸置いてから鋭く振り下ろす。


「はぅっ!」


紗希の頬が赤く染まる。その姿を見下ろす神崎の胸に疼きが走る。


「あと一回だよ」


神崎が最後の一撃を加えようとした時、紗希が不意に振り向いた。熱っぽい眼差しで彼を見つめる。


「怜司さん……最後にもう少しだけ……強く……お願いします」


その懇願に神崎は思わず笑みをこぼす。


「欲張りさんだね」


バシッ!!


六発目は他のどの打撃よりも強く、しかし慈悲深く響いた。


「ひゃあっ!」


「終わりだよ」


神崎が手を離すと、紗希は脱力してソファに倒れ込んだ。乱れた服を直しながらも彼女の顔には満足そうな笑みが浮かんでいる。


「ありがとうございました……すごく……興奮しました」


その告白に神崎もまた興奮を隠せない。彼女の髪を優しく撫でる。


「僕もだよ」


二人の間に甘い沈黙が流れる。それは単なる罰を超えた儀式のように二人を結びつけていた。


「さて……次はどうしたい?」


神崎の声に紗希が顔を上げる。その瞳には明らかな欲望が宿っている。


「怜司さんに……もっと触れてもらいたいです」


「了解」


神崎が紗希を抱き上げると、彼女は幸せそうに微笑みながら彼の首に腕を回した。


夜はまだ始まったばかりだ。


二人の寝室は薄闇に包まれていた。カーテンから漏れる街灯の青白い光が紗希の肌を幻想的に浮かび上がらせている。ベッドサイドの小さなランプが二人の影を壁に映し出し、ゆらゆらと揺れていた。


「さっきから震えてるね」


神崎の囁きに紗希は顔を背ける。恥ずかしさで頬が熱くなる。神崎は彼女の腕をそっと掴み、ベッドに押し倒した。




余韻に浸りながら神崎は紗希を抱き寄せた。


「すごかった……」


「君の方が凄いよ」


「恥ずかしいです……」


「でもまたしたいんだろ?」


神崎の問いかけに紗希は小さく頷く。


「じゃあ明日もお仕置きが必要だね」


「えっ!?」


「嘘だよ」


神崎の笑い声に紗希も釣られて笑った。二人は互いの体温を感じながら眠りに落ちていった。窓の外では月が静かに輝いている。



翌朝、紗希は普段より早い時間に目を覚ました。隣では神崎がまだ眠っている。昨夜の出来事を思い出して頬が熱くなる。それでも不思議な充足感があった。


ベッドから抜け出し、着替えを済ませるとキッチンに向かった。今日は特製の朝食を作ろうと思ったのだ。卵をフライパンに落としながら、昨日の約束を思い出す。『明日もお仕置きが必要だね』……あれは冗談だと分かっているけれど、何故か胸が高鳴ってしまう。


やがて香ばしい匂いに誘われて神崎も寝室から出てきた。昨夜と同じ瞳で紗希を見つめている。


「おはよう」


「おはようございます!」


慌てて返事をした拍子にお玉が鍋に当たって大きな音を立ててしまった。


「わっ……!」


「大丈夫?」神崎が近づいてくる。


「はい……ちょっと手が滑って……」


「油断禁物だよ?」


その言葉に昨夜の記憶が甦る。


「怜司さん……またお仕置きしますか?」


紗希の問いに神崎は一瞬驚いた表情を見せた後、笑みを浮かべた。


「今夜は特別サービスしてあげよう」


「本当ですか?」


「ただし条件付きだけどね」


「何ですか?」


「後で教えるよ」


神崎の謎めいた言葉に紗希は首を傾げながらも、心躍らせていた。この日一日の展開を想像すると、自然と笑みがこぼれてしまう。



二人の日常はこうして続いていく。些細な日常の中でさえお互いを求め合い支え合う。そんな関係性こそが彼らの絆をより強くしていた。そして今日もまた新しい一日が始まろうとしている。


神崎の忙しい日々は今日も続く。


家庭では良き夫として、その手は紗希を優しく愛撫し、時には刺激的にお仕置きをする。


職場である屋敷では、主の右腕としての手腕を発揮する。孝一郎の身の回りの全てを整え、広大な敷地や建物を管理し、たまに孝一郎とチェスをする。


そして大勢いる使用人達の人事、指導監督を担う。自ら手本を示し仕事を教え、時には厳しく指導をする。特にメイドの粗相には、伝統に基づきお尻を叩いてお仕置きをする。



神崎の右手は常に休まる事は無い。



そして今日も、メイド志望の女の子が神崎の面接に臨んでいる。


「私、ずっとメイドに憧れていて…可愛いメイド服を着て働くのが夢なんです!」


神崎は既視感を覚えながら、彼女に問いかける。



「貴族の屋敷のメイドには、粗相をすると厳しいお仕置きがあります。貴女はそれを受け入れる事ができますか?」


                 終わり

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


好きなものを書き連ねたら、非常に偏った、稚拙な話になりました。

少しでも楽しんでいただける所があれば、幸いです。

R18部分はこちらではカットしましたが、アルファポリスでは投稿済みです。

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