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オブリビエイト・リインカーネーション〜前世の記憶が無い転生者は自らの過去を探す〜  作者: 波来
第一章第二幕 開戦

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異質な存在

「フィル……っ!」


宙機船から勢い良く出る。

胴体着陸をしたせいで地面がめくれ上がっている。


「ゼニス! あそこだ!」


すぐそこにある、中央に大きな山のある湾、その山と陸地の丁度真ん中付近で一つの影が魔力を練っているのが見えた。

魔力はその影から放たれている。


「どんな魔力だよ……これ……」


影から放たれている魔力はとても人間が内包してるものとは思えないほど膨大だ。


「間違いなく、アレが件の悪魔と通報のあったものだろう……」


国王陛下も冷や汗をかきながらそう呟く。


「……! 行ってくる……!」


「待て。あの何かもわからない生物のところへ無防備な状態で行くのは自殺行為だ。一度待つべきだ」


「……でも、アイツは俺の……!」


「だが、今はプリミア辺境伯に状況を確認しに行くのが先だ。いいな? それに、情報を仕入れねば分かることもわからなくなるぞ?」


「…………分かった」


ゼニスは国王陛下の言葉に渋々従う。

フィルが何をしているのかわからないが、今あそこに行ったところで何か状況が変わるわけでもないだろう。


「プリミア辺境伯の屋敷はあそこだ、急ぐぞ」


侯爵と国王陛下が護衛を引き連れて走り出す。

ゼニスたちもそれに続いて走り出した。


走ってすぐに見えてきたのは大きな屋敷だ。


いかに島国といえど辺境伯という存在は隣国への牽制となる。

周りを海に囲まれている自然環境がそもそも仮に隣国が攻めてきたとしても上陸する事すら困難である。


さらに辺境伯が常駐する事で、「攻めてきたら返り討ちにするからな?」という意思表示の表れにもなる。


「申し訳ありません、お出迎え出来ず……」


屋敷の入り口で待っていたのは高身長の紫色の髪の毛をした女性だった。


「いや、良い。プリミア辺境伯。それよりも状況を教えてくれるかな?」


どうやら彼女がプリミア辺境伯のようだ。


「了解しました。陛下と、三侯爵様がた………それと……そちらの方々は……?」


「こやつらの説明は後ほどする。先に今の状況についてだ」


「それではこちらへ。騎士団の方々は護衛の方を除いてこちらで待機を」


そう言ってプリミア辺境伯が向いた方にあったのは部屋だ。

護衛の騎士団員達がそこに入るように促される。


「陛下と、侯爵家の皆様と、少年たちもこちらへ」


連れてこられたのはやや大きめの会議室。

部屋の中央に大きな机がある。


「さて、軽くだけ紹介しておこうか。こちらがプリミア辺境伯。つい最近彼女の父上である前任の辺境伯が年齢を理由に引退し、その後継いだのが彼女だ。年齢は……30ぐらいだったか?」


「女性に年齢の話題はご法度だと教わりませんでしたか?」


「お、おう……失礼。まぁ若いながらに辺境伯として務めている優秀な人だ」


「それで、説明大丈夫でしょうか?」


「あぁ、頼む」


「先程、湾内にて急激な魔力増幅が確認されました。それについて遠方から調査したところ、悪魔と思わしき存在を確認しました」


「なるほど……なぜそれが悪魔だと?」


「あら、知りませんでしたか? プリミア家はヘルマートン侯爵家の傍系なのです。ゆえに特徴の言い伝えは私も聞かされておりました」


「あ〜そう言えばそんな事も言っていたような……」


「父上……」


国王陛下の天然? っぷりにゴードンが呆れる。


「そういう事です。ですが悪魔が最後に出現が確認されたのは80年前。情報量は圧倒的に少ないです。ですので悪魔らしき生物がいると。本来ならそれぐらいならば報告はしないのですが……」


プリミア辺境伯は手元にあった資料を手にとった。


「この件があったから、報告させてもらいました。この資料は先日の事件の情報についてですので、目を通しておりました。そこで悪魔の特徴と一致する記述があったので……」


辺境伯は王国内でも相当な上位の貴族だ。

侯爵の次の公爵。それと同等以上の力を持っている。


ゆえに情報の伝わる早さは王国内でも早い方だ。


「昨日送った資料か……」


「えぇ、そうです。たしかこれについて調査をしたのはゴーディハイム殿下でしたか」


「あぁ、そうだ。そこに書いてあるフィルは……私のクラスメートだ」


「なんと……。そういう事でしたか。つまり彼らは……」


プリミア辺境伯がゼニス達を見る。


「そうだ。護衛の二人は知っているだろうが、残りの二人も同級生、クラスメートだ」


「……なるほど。分かりました。ではこれより彼と接触を図ろうと思うのですが……」


プリミア辺境伯が周りをみる。


「俺が行く」


真っ先に声をあげたのはゼニスだ。


「あいつの事は、俺が1番よく知っている」


「……貴方の名前は?」


「ゼニスだ」


「ゼニス……っ、まさか、あのゼニスさんですか……!?」


「そうだ。彼はこと戦闘においてはこの国内で右に出る者はいないとされるべき強者だ。お主にも何度か話したろう。息子のクラスメートにとんでもない化け物がいる……と」


「なるほど……貴方がそうでしたか。それでは……」


「私も行きます」


声をあげたのはフリーナだった。


「フリーナ……」


「私だって彼とは何年も一緒にいたし、それに。ゼニスを一人でなんて行かせられない」


「いや、だがフリーナ。アイツが正気である保証はないんだぞ。お前はここに……!」


「ゼニス」


フリーナがゼニスを見つめる。

その瞳にゼニスはフリーナの覚悟がを見た。


「……はぁ……。だそうです。彼女も連れて行きます」


「わかりました。他に、行くものはいますか?」


「……私が行くというのは『絶対にダメだ(よ)!』だろうな」


ゴードンは幾ら第3王子と言えど王族。

王族がそのような危険と考えられる地帯へ行き、万が一にでも致命傷を負う、あるいは死亡などしては非常に良い外聞に悪い。


「我々の防衛団も出します。早速の向かいましょう。彼のいるところへ。ゼニス様達は、先に」


「分かった。行くぞ、フリーナ」


「うん」


そう言ってゼニスとフリーナはその部屋から飛び出して行った。




やって来たのは海辺の砂浜

遠くに見える大きな山にある島と砂浜の間に、それはいた。


「やっぱりあの魔力は……」


「間違いない……。フィルのだ……」


ゼニスには遠くからでもわかる。

どれだけの異質な魔力であろうと、それがフィルであることに。


それは湾の中央で何かの魔法陣を練っていた。


「近寄るぞ……」


フリーナが無言で頷く。

風を起こす魔法で浮力を調整しながら彼らは浮かび上がる。


「フィル……」


ゼニスは呼びかけた。


しかし、それは一切の反応を示さない。

かつて同じ村で育ち、同じ教室で学び、共に卒業した旧友であるにもかかわらず。


「フィル……!」


さらに近づき、ゼニスは呼びかけた。


「きょ?」


すると、それは反応を示した。

声を上げ、こちらへ振り向く。


「っ……!?」


「うそっ……!」


目は真っ赤に染まり、額から艶やかなツノが飛び出ている。

肌も異質なほど黒く染まっており、所々に鱗が生え、常に口が空いている。


表情は、あえて言うならば薬物に依存した者の末路のような顔をしていた。


そして1番に異質とわかるのはその魔力。


禍々しい膨大な魔力がそこから放たれていた。


「フィル……」


ゼニスが手を伸ばす。

だが、その手は払われた。


「フィル……」


「ヒヒヒヒぃ?」


その瞬間、フィルがゼニスの目の前から消えた。


「なっ」


だが魔力は丸わかりだ。

その魔力は……。


「フリーナ! 逃げろ!」


フリーナの目の前に現れた。

フィルが振った手はフリーナを吹き飛んだ。


「おまえっ……!」


ゼニスがフィルに近寄り、肩を掴む。


「本当にどうしちまったんよお前! フィルは……! お前はそんなことする奴じゃなかっただろ!」


「きょきょ……?」


フィルはニタニタと笑みを浮かべながら奇妙な声をあげる。


フィルが腕を振るう。

ゼニスはそれを間一髪で避ける。


「フィル!」


「……? あはぁ」


するとフィルがその場から姿を消した。

魔力はまだ見える。


さっきまで魔力を練っていた場所に戻る。


フィルが魔力を込めると、さらに魔力が練り上げられる。


「なにを……」


ゼニスが呟いた。

途端、ビギリ、と空気が割れるような音がした。


「…………!」


フィルの目の前に大きなヒビが入ってた。

そこから膨大な魔力が漏れ出ていた。


「あれは……なんだ……」


ヒビがどんどんと広がり、空間が盛り上がる。

そして空間を破るように出てきたのは、ツノが生え、鱗のような質感で真っ黒な肌をした人型の生物。

つまり悪魔が、大量に出てきたのだ。

諸事情で昨日投稿出来ませんでした……すみません

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