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オブリビエイト・リインカーネーション〜前世の記憶が無い転生者は自らの過去を探す〜  作者: 波来
第一章第一幕 前世を探す者

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制服の付与魔法

「さて……ちょっくら弄るとしますか」


家に帰って私は制服をベッドの上に置いて魔眼で見る。

制服に掛けられた付与魔法は思ったより単純ですぐに弄れそうだった。


メルディアにはすでに許可を取ってある。

護身用だなんだって言ったら思いの外すんなり許してくれた。


「じゃ、まずはコイツらはをひっぺがすところから始めようか」


手を魔力で覆い固める。

すると魔力にも触れられる擬似手袋になる。


それで制服に掛けられた付与魔法をベリっと引っ剥がす。

本当であれば少しづつ剥がしていくのがセオリーなんだが別に勢いよくやっても問題はない(※普通は出来ません)。


付与魔法というのは付与するものに多少の負荷が掛かる。

常用するのに壊れては使いづらいったらありゃしないからな。

だから付与魔法はギリギリ壊れないところまで付与するものだ。


この制服は、前は3つ掛かっていたが小型化&無駄を省けば増やせそうだ。


今回はお試しということで5個ほどにしておこう。


付与するのは『自動回復』『自動物理防御』『自動魔法防御』『自動温度調整』『自動修復』あたりか。

もっと違う上等な素材で作ればこの手のものを細分化して作れるのだろうがいかんせんそこまでの素材で作られた装備は出回らない。


もういっそ自分で作ろうかな。

そこらへんで竜とか狩って布にすればいけん事もないし。


魔力を練り合わせて魔法陣を展開する。

無駄な所は省く事で小型化、かつ出力が上がるようにいつも使う奴にアレンジを加える。


身に纏うものに付与された付与魔法は基本魔力が流れないと発動しない。

服とかは常に微量に漏れ出ている魔力を使っているから特に気にするものではない。

コレに関しても多少使う魔力が増えるが……まぁ私の場合は気にしなくて良いだろう。


展開した魔法陣をそれぞれ効果が出るように均等に配置して、一気に魔力の糸で縫い込む。


その糸でもう一つの魔法陣を描く。

コレは付与魔法としての魔法陣ではないが、魔法陣内にある魔法陣がもたらす効果をほんの少し底上げ、そしてシームレスに魔力が流れるように通り道役割を果たすものだ。


「ま、ざっとこんなもんかな」


前よりも内包する魔力の量が大幅に増えた制服を見てつぶやく。


「うん、よし。明日レインに自慢してやろぉ〜っと」


「あ、お姉ちゃん。終わった?」


ルナがドアを開けて入ってくる。


「おう、終わったぞ」


「じゃぁ次私のにも同じ付与って出来る?」


「出来るぞ。やろうか?」


「やった、お願いできる?」


「任せとけ」


さっきと同じ要領でルナの服も改造しておく。



─────



「リーシャ、ちょっと良いかい?」


「ん?なんだ?」


学院に到着するや否やレインが話しかけてくる。


「その服、一体どういう事だい?」


「あぁこれか。やっぱ分かっちゃうか。ちょっと許可貰って付与魔法を弄ったんだよねぇ〜」


「ほぉ」


「え、本当に言ってるの!?」


金髪の女の子が声をかけてきた。確か……


「キナだっけ」


「そうだよ〜。それより制服の付与魔法弄ったってどういうこと!?」


「そのままの意味だよ。付与魔法をちょいと弄って色々変えたんだよ」


「ちょっとごめんね」


キナが私の制服をジロジロと見る。

目は紫色に光っている。ふむなかなか珍しいものを持っているな。


「うわ、本当だ……色々追加されてる……。って、妹ちゃんの制服も同じ効果の付与魔法付いてるじゃない!」


「まぁな」


「えぇ……私の制服にも付けて欲しいなぁ」


「うーん……私自身はコレぐらいなら片手間に出来るんだが、身内以外の制服をいじるってなると権利の関係で何人かから許可を貰わないといけんのよなぁ」


「えぇ〜」


「じゃぁさ、今日皆で僕のところに来てそれの許可貰わないかい?権利


そうレインが提案してくる。

なるほど、確かに王城なら人も集まりやすいしな。


だがそんな気楽に考えていたのは私だけのようで……


「って、レイン殿下のところってそれ王城じゃないですか!流石に私的に訪問っていうのはなんか忌避感が……」


「別に大丈夫だと思うよ。父上だってよくゼニス殿たちを私的な理由で入れたりしているし」


「えぇ……」


「ゼニス殿って……あの英雄の!?リーシャちゃんのお父さんだったよね!」


この反応を見るに父さんのファンか何かか?

最近王都で物色している時にたまに父さんの話だったり、父さんの本を見かける事があるがどうにも人気なようだな。


「まぁな。で、どうするんだ?」


「そうねぇ……」


「その話、僕たちも乗っかっても良いでしょうか」


レインの護衛であるカオルとゴードだ。


「我々は殿下の護衛である以上、殿下が刺客に狙わた際に盾となるという事が少なくありません」


「僕もそうですね、婚約者もいる身としては出来れば生きて帰りたいものですが、かと言って職務を放棄するわけにはいきませんし」


「あ、じゃぁ私たちもやらせてもらおうかな!鍛錬の時に色々できそうだし」


アフナとマティスだ。


「ふむ……じゃぁもういっそこのクラスの全員制服に付与しても良いんじゃないかな。どうせなら」


「え、えぇ!?い、いやいや、私はそんな……」


キリナが首をブンブン振って拒絶の意を示す。


「ぼ、僕もそんなおこぼれをもらうわけには……!」


カズの言葉にキリナがうんうんと頷く。


「まぁ別に良いじゃねぇか。せっかくの機会なんだし全員付与しちゃおうぜ。ちょっと気がかりな事もあるし」


気がかりな事とはマオルナのことだ。

あいつは妙にAクラスに執着していて、仮にどこかで鉢合わせした時に何か危害を加えられる事もあるかもしれない。

先にある程度の対策をしておいても悪くはないはずだ。


などと話していると教室に先生が入ってきた。


「う〜ん?何を話してたの〜?」


「あ、メルディア〜、ちょっとこの制服の付与の奴なんだけど、このクラスの奴らに付与付けようかなって」


「う〜ん……どうかしら……。別に私は良いと思うけど……」


「この前許可してくれたのは私と身内内で済ませる私的なものだったからだったけど、ここまで来ると私的じゃないしなぁって」


魔法技術に関しては少々権利が複雑で自分のものならまだしも、他人のものを勝手に書き換えると権利の侵害と判断される場合が多い。

というのも魔法陣などは製作者が分からないため、魔法陣のどこかにマークを付けたりするのだが、大昔それを悪用して他人の付与魔法を自分が付与しましたと売り出した詐欺が横行したそうなのだ。


それから絶対に私的であると認められない限り付与魔法を弄るのはダメと法律で制定されたのだ。


「あ〜確かにそうね。でも急にクラスのみんなに付与ってどういう事?」


「ほら……昨日のアレがさ、何かAクラスに響いたら困るなぁって」


「なるほどね……じゃ、ちょっと先にアイツらに連絡しておくわ」


「ありがと」


「だそうだ」


「そんな気さくに……あ、でもそっか、学院長ってリーシャちゃんのお父さんと同級生なんだっけ」


「そうそう。有名なのか?」


「そりゃもちろん、学院長は奇跡の世代の一人だからね!」


なんすかそれ。


「奇跡の世代なんて久々に聞いたわ」


「確か英雄のお二人、当代の国王陛下、学院長、不明の鍛冶屋など色々な人が同じ学年でこの学院に居たんですよね!」


「そうねぇ……懐かしいわ」


「不明の鍛冶屋って誰だ?」


「今でもたまに話題になるんだけど、この国には定期的に製作者不明の武器が出回る事があるの。それと同じような剣を英雄の二人が使っていて、その剣について聞かれた時にゼニス様が『仲の良いクラスメイトに作ってもらったんだ』って言ってた事からその不明の鍛冶屋はその世代の人だろうって言われてるの」


そうなんだ。初めて聞いた……が、な〜んか一人心当たりがあるんだよなぁ。

なんか髭がモジャモジャしててご飯屋さんやってそうだ。

実際鍛冶もたまにしてるって言ってたし。


「いや〜ゼニス様たちにも会ってみたいわぁ……」


「そういえばリーシャってまぁまぁ辺境に住んでるけどさ。どうやって毎日王都の学院に通ってるんだ?毎日鉄道に乗ってきてるのか?」


「そんな金が勿体無い事する余裕がない」


「あ、はい」


「まぁ実はちょっと楽させて貰ってるんだ」


「どういう?」


私は席から立ち上がり、教壇の前に立つ。

そして魔法陣を展開し、魔力を流すとシュンと私の姿が消えた。


「き、消えた!?」


「え、どこに行ったの!?まさか……」


「そのまさかだよ」


教室の後ろから皆に声を掛ける。

私が今展開して発動した魔法はいわゆる転移魔法と呼ばれるもの。

私の中では比較的簡単な部類にはいるがコレも古代に使われ現代では高等すぎて使えないとされる古代の魔法だ。


「ほ、本当に伝説の……!」


キナが眼を再び光らせ、目を輝かせて魔力の残滓を見ようとする。

あの眼はおそらく魔眼だろう。


私の魔眼は割と万能寄りだが、彼女のは分析力の特化したものだ。

もう少し魔力の総量が増え、魔力の使い方を知れば多くのものを見透かせる眼になるだろう。


「んでこの魔法で家と学院を往復してるんだ。金も使わないしコレが1番家計にも優しい」


「やってる事は規格外過ぎるのにあくまでも理由は家計に優しいからなんだね……」


「実際家って金を使う余地が無いからねぇ……。最近知ったけど王家から定期的にもらってる報奨金も慈善事業とかに使ってるから手元に残ってるのは大した量じゃ無いしな。まぁ別に金なんざ無くても生きていけるぐらいに周りに食材、もとい魔物がいるからな」


「へ、へぇ……」


「英雄の一家ってそんなディストピアじみた暮らししてるんだ……」


「しかも年齢で上から3人は数年ぐらいならご飯を食べなくても生きていけるぐらいには人外してるからねぇ〜」


「サラッと自分のこと抜いてるけど2年ぐらい断食出来るお前も大概だからな」


「いやいやあの中じゃ間違いなく下層だよ」


あまりの内容にルナとメルディア以外の全員が引き攣った笑みを浮かべてた。

まぁ正気の沙汰では無いよな……。


ちなみに断食云々は5歳ぐらいに時にした。

その時期あまりに金が無さすぎて貯金のためにご飯を抜いている時に誰かが言い出したんだ。

せっかくだから限界までご飯抜いてみようぜって。

私である。


「ま、その話は置いといて、制服に関しては放課後に王城で話すって事で良い?」


連絡が返ってきたのかメルディアがそう言う。


「まぁ私達は大丈夫だ。皆は?」


「大丈夫です!」


「我々は殿下の護衛がありますのでいつもと変わりありません」


「僕も大丈夫かな……l


「わ、私も一応いけます……」


「私達もいけるよ!」


とのことなので、みんなで放課後に制服の付与について話す事になった。

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