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無かったことにはできないので償ってください  作者: 莉央花


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4/4

エメリーSIDE


誰もが羨む特別な女の子になりたいと思ってた。

もし生まれ変わったら。人生をやり直せるなら。


―――そんな風に思い続けた前世の記憶が蘇ったのは学園に入学したころ。黒髪黒目の平凡な顔立ちが波打つ金髪にピンクの宝石のような瞳に替わってる。まるで物語の主人公になったみたいに。


異世界転生?どの作品だろう?色々考えて『番姫と狂乱の王子~溺愛監禁生活なんて聞いてません!~』の世界だと気づいたときにはガッカリした。なんだ、またモブなんだって。

エメリーは作品の最後で一瞬だけ出てきて直ぐにやっつけられるモブ令嬢。物語のエンディングをちょっと賑やかにするためだけに添えられた、当て馬未満の女の子。


こんなに可愛く産まれたのに?

まだ16年しか生きてなかったのに死んで、生まれ変わって、そこまでしてなったのがモブ?‥‥そんなはずないでしょ


前世の記憶があるってことは、多少シナリオを変えても構わないってことだよね?

それなら必死にやろう、自分の幸せは自分で掴まなくちゃ。今度こそ。



「私たち、運命だと思いませんか?」

そう言ったら王子様は簡単に食いついてきた。煌びやかなパーティーはヒロインと王子の出会いにぴったりだった。


「きっと定められた相手に違いありません。確かめてくださいませんか?」

手を握り微笑めば、ネビルは言葉通りにした。あるべき相手を見つけて私たちは幸せだった。それなのに。


ネビルは番を選んで私をあっさり捨てた。居ないものみたいに扱われて絶望した。

こんなところでもモブ扱いされるなんて、神様は不公平だって思った。ただ王子様と恋しただけなのに。



それからのことは思い出したくない


気付いたときには右足がつぶれてた。私を引き取りに来た番が「あぁ、良かった」って泣いていて、良いことなんて一つもないのに何を言ってるんだろうと思った。


でも番が会いに来てくれたのは嬉しかった。

「生きててくれて良かった」「ありがとう」ってずっと言ってるから、私もすごく幸せな気持ちになった。なんだ、こんなことなら最初からこの人に選んでもらえば良かった。妹の同級生のその人はどこかの貴族の令息だったらしいけど、そんなことはどうでも良いくらい一瞬で好きになっちゃった。


彼はずっと一緒にいてくれる。

ネビルに会うために王宮に通って追い帰されて腹を立ててたのも、今となっては馬鹿みたい。


あの女は「不適切」って言ってた。それから「傷つくのはあなた」とも。

でも私の番は私に傷があっても愛してくれる。ずっと一緒にいてくれて少しも離れない。それこそ王宮のお姫様なんか目じゃないくらいに。


ざまあみろ。


この世界で、溺愛される番姫は私だった。



+++++++


独占欲、嫉妬、互いがあれば他者など欲しない排他的感情。

それは性欲に次ぐ番の最も原初的な衝動。


しかし神メドウォの教えは言う。「神に番を会わせぬは禁忌」であると。

民は週に一度、どれだけ開けるとしても満月の日には番共々、礼拝に出向く。それすらもさせず番を囲いこむことは「神から番を隠す行為」なのだ。


どこにも行かず誰とも喋らないまま過ごして人がまともでいられるはずがない。邸から動かず外にもでなければ短命に終わるのは確実。

だからこの国の人は「自分が番の全てになりたい」衝動を押さえて生きている。番を隠せば神が早めにその命を持ち去ってしまうから。


二人はその禁忌を犯すことを許された。背教の悪女と呼ばれる前に人目の届かぬ場所に置き、監視のうえ生涯自由にさせない。それが彼女に定められた道であった。出所後のエメリー・ラシュゲルは番と共に王都の端に移り住み、庭もほとんどないその小さな家でただ一人の番と愛し愛され幸せになった。


番の男は国から自宅でできる仕事を与えられ身体の不自由なエメリーを献身的に世話した。文官試験に合格していた彼は政務庁に出仕することもできたのだが、本人がそれを断った。


手紙も、新聞も、やがて窓の外の世界すらも番に見せたくなくなったその男は

願いが全て叶えられることに感謝し、安堵した。




夜会で騒ぎを起こした短慮な第一王子が政局を離れ、優秀な第二王子が次代の王となった。

立太子の儀に臨んだ王太子の隣には、艶やかな黒髪に理知的な青の瞳を持つ賢姫が寄り添い

その姿は、あるべき形で歴史が繋がれたと民を安心させた。


番を見つけられぬ者たちの苦しみはその後も続き、番ではない者との触れ合いが産む争いと悲劇はその後も相次いだ。

ヴィクストリアは番をめぐるさまざまな諍いと変革に揺れることになるが

人々に忘れ去られた一組の番は、幸福にその生涯を終えたのだった。




うっとりと何者にも遮られることなく伴侶を味わう。他の誰も味わえぬ特別な幸福を享受した彼女の姿を、その後見た者はいない。





ちゃんと全員幸せにできてホッとしました。きっとエメリーが一番幸せになりました。


エメリーは人付き合いが不得手で、しかもこの国は慣習上の決まりごとの多い国だったので、縛るものが番しかない生活は一番の幸福だったと思います。拷問にも耐えられた強い子なので、彼女の番はたくさん幸せにしてもらえたと思います。


その後、アメリアはネビルを見捨てきれず身体の関係から始まりなんとか結婚に至ります。機会があれば書いてみたいです


拙い作品を読んでくださりありがとうございました。


※活動報告に割愛した設定載せました

https://syosetu.com/userblogmanage/updateend/blogkey/3535922/

★繁忙期のためコメント締め切ります★以降いただいても削除対象となります、すみません。これまでのコメント感謝します!

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― 新着の感想 ―
番という仕組みそのものが人間の社会性と合ってないのかもな〜〜と思いつつ、ラストが地味にホラー…こわい…www
最後ホラーなんですが・・・。本人が幸せと思っているのならば、幸せなのでしょう。
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