血ぃすーたろかー22回目
日焼けは激怒した。かの邪智暴虐な教師を除かねばならんと。恋人のメガネを人質に日焼けは学校を走った。ツェペシュを探すためである。ツェペシュがその後ろを追い掛けているとも知らずに。
「ツェペシュ様って何処に居るんだ?
ツェペシュ様に何時もへコヘしてるのは……」
学園長だ!と日焼け君は走りだす。俺もその後に続く。学園長は何処に居るのか?答え、学園長室。と、思ったら違って実験棟だった。理由は簡単。ヘルシングの為にその脇をびっしょりにしながら何やら講義をしていた。
ストーカー君もいた。そして、鎖でふん縛られたノンナも居た。
それでも日焼け君は臆することなく入って行った。俺には出来ない行動力の高さだった。流石王を殺すために短刀を忍ばせるメロスを思い起こさせる激怒具合の日焼け君だ。
「ヘルシング様!
ご無礼を承知でお尋ねします!ツェペシュ様が今、何処に居るのかご存知ないでしょうか!」
「お、おい!お前!」
飛び出して危うく轢かれそうになった子供に怒鳴り付けるトラックの運ちゃん宜しくトーキンが怒鳴り付けるが、日焼け君はそちらに振り向かずジッとヘルシングを見る。ヘルシングは何この茶色の?と言う顔で日焼け君を見た後、それから目を細め、ジッと俺を見る。
「ツェペシュ様なら貴様の後ろに立っている」
「え!?」
このえ!?は俺のえ!?何でバレたん?透明迷彩よ?公安9科のゴリラ御用達の光学迷彩よ?
「バラすでない、ヘルシングよ」
フハハハと笑いながら光学迷彩を解除しつつバッとマントを脱ぐ。ヘルシングが「それ、カッコいいと思ってるの?バカなの?死ぬの?」的な目で俺を見ているが、トーキンも日焼け君もストーカーも驚愕していたので良いんだ。
ノンナはどうしたって?きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。寝てるんだぜ。それで。思っ糞ヨダレ垂らしてな!
「つ、ツェペシュ様!」
「何をしておられるのでツェペシュ様」
「学校を仕切りに走り回る見覚えのある下等人種が走っているのであればその後を付いて行くだろう。
ちょっとしたお遊びだ」
アンタ、私の頼んだこと出来てるんでしょうね?と言うメッセージが送られてきた。勿論です。(お使いの)プロですから。
「その下等人種とお知り合いで?」
「如何にも。
この子とメガネに文章翻訳を手伝わせたのだ。本を読む程度ならば問題無く訳せる」
ほらとデータリンクをするとヘルシングは試しに脇においてある本を手にとって見比べてから成る程と頷いた。
「流石、ツェペシュ様ですわ」
「当然」
で、どうした?と日焼け君を見た。
「はい!
実は……」
日焼け君が俺の知ってる事情を再度説明する。で、俺に自分達が手伝っていたことを証言して欲しいと告げた。
「ふむ、良かろう。
元はと言えば私が頼んだことだ。序に、その教師に補講をさせよう」
「その講師の科目は?」
ヘルシングがトーキンを見る。トーキンはグラス教授は幻惑魔術の権威だったはずですと告げた。何ぞそれは?と尋ねると何でも相手の目を惑わす魔術らしい。因みに、俺の透明化は幻惑魔術の最高峰らしい。
「成る程。では、トーキン。貴様はその教授を連れて来い」
「分かりました!
失礼します!」
トーキンは日焼け君と一緒に走って出て行った。ウムウム。
「で、何でお前は俺の透明マントを一発で看破したわけ?不良品?」
「違うわよ。
その光学迷彩マントは熱を吸収して電力に変換するので逆に言えば赤外線センサーで見ればそこだけ何も映らないのよ。例えばサーモグラフィーを見ても砂漠なら周囲が真っ赤でもそこだけ真っ青よ」
「だめじゃん」
「ダメよ?
でも、市街地での待ち伏せで最初の一撃に非常に有効なのよ。だから自衛隊でも一般部隊の狙撃セットの一つで配られてたわ。
自衛隊がモットーとする遅滞行動戦術の為に初撃で絶対的有利に立てるから配備されてるのよ」
因みに、偵察部隊もこれを使うらしいので自衛隊での普及率はまぁまぁ高かったそうだ。
「へー
完全に見えなくなる装置ねーの?」
「有る訳ないでしょ。
序に言っておくとステルスだってあれ、簡単にバレるからね」
「マジで?」
「マジよ」
曰く、レーダー波を吸収する素材を塗布してある機体がレーダー波を反射しない為に結果としてレーダーに映らないと言うだけでレーダー波の波長を変えた対ステルス用レーダー波とかも研究されているそうだ。
勿論、ステルスもそのレーダー波を吸収する素材を開発するから結構イタチごっこらしい。また、ステルスを解析されて敵の戦闘機の種類や数まで把握されるので、戦闘機ごとに塗布するパターンを変えて反射する幅を大きくしたり、小さくしたりして敵を撹乱させたりするらしい。
有人機の前に無人機を先行させて敵のレーダーサイトを撹乱し、本隊が突入とか、一気の戦術爆撃機が超低空度を音速で突入する際にそれを隠すべく複数の大型UAV郡を突っ込ませたりとか色々するそうだ。
戦争ってカネがかかるのね~なんて感想を述べたら呆れられた。
「連れてまいりました!」
トーキンが部屋に入って来て俺に一礼をする。後ろにはメガネ教授。グラスとか言うらしい。それとメガネに日焼け君も居る。
「うむ。貴様が日焼けの言っていた教師か」
俺が告げるとグラスと申します。お会いできて云々かんぬん言い出す。
「詰まらん挨拶なぞ要らん。
私に用があるそうだな。言ってみろ」
「は、はい。
この子達がツェペシュ様のお手伝いをしたと言うのですが」
「如何にも。
そちらの日焼けとメガネは確かに私の此方の世界の文章を読むために協力してもらった」
成る程とグラスは冷や汗を掻く。
「それはそうと貴様。
幻惑魔術を使うそうだな。見せてみろ」
「は、はい」
面白そう。ヘルシングをちら見するが彼女も興味津々の様だった。グラスは懐から木の棒を取り出し何やらブツブツと唱える。この木の棒、樫製であるがただそれだけだ。一応ナノマシンをふんだんに含んでいるが、ただの樫の棒っ切れ。
で、グラスが30秒ほど唱えていると俺の拡張現実に不明なアクセスを感知排除しますと表示される。トーキンは勿論、メガネと日焼けはおぉ!と声を上げた。
「げ、幻惑と分かっていてもこれは慣れんな……」
トーキンが汗を拭き拭きしながら告げる。グラスはドヤ顔で如何でしょうか?と俺達を見た。俺はヘルシングを見るとヘルシングも俺を見た。
「フム、貴様程度の能力ではどうやら我々に幻惑は掛けれんようだ。
口で説明しろ」
「は、はい!」
必殺技をぶち込んでやったのにピンピンしてるギニューを見たデコ王子レベルのマジかよ!と言う顔で俺達を見るグラスの代わりにトーキンが返事をした。
何でも目の前におぞましいバケモノが現れた、と言うものらしい。つまり、幻惑魔術って簡単にいえばハッキングを応用したイタズラってこと?俺の時代にもあったよそう言うの。本の間にバーコード挟んでおいて、本を開いたら拡張現実がそれを認識、エロ画像やらキモい画像が出る奴。百均にもパーティーグッズで売ってたし。
ヘルシングを見ると肩を竦めていた。研究する価値もないと言わんばかりに。
「つまり、こういうことをやったのか?」
俺は指を鳴らし、トーキンにはラーキンが剣を持って良いではないか良いではないかとトーキンに襲い掛かるイメージを、グラスには剣を持って追い掛けて来る首のない騎士を、メガネと日焼けにはお互いのパートナーが裸で絡み合ってるシーンを見せてやった。
トーキンとグラスはギャー!と叫びながら部屋を走り回り、メガネと日焼けは目を見開いて前屈みになった。ウムウム。
30秒程してから指を鳴らし、ハッキングを止めるとトーキンとグラスはその場で崩れ落ちるように倒れ肩で息をする。メガネと日焼けは俺とパートナをチラッチラみながらモジモジしていた。
「さ、流石です。
私が説明しただけでグラス教授よりも高度な技術を持っておられる……」
「切られたと思った所がちゃんと痛かったので慌てましたわ」
グラスの言葉にトーキンもコクコクと首を縦に振っていた。
「この程度、我々なら誰でも出来る」
チラッとヘルシングを見るとヘルシングはノンナを見た。あぁ~……
「いや、ノンナ以外の誰でも出来る」
因みにこのノンナ、これだけの騒ぎでも起きない。
「何でノンナは寝てるんだ?」
「あんまりにも煩いからハッキングして寝かせたのよ」
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫に決まってるでしょ。
因みに、これも睡眠の魔術として有るみたいよ。かなり高度な技らしいけど」
暫く考え、グラスに眠れ!と掌を向けるとグラスはその場にクタッと倒れグーグー眠りだした。
「おぉ」
「な、何をなさったので?」
「睡眠魔術を試しに掛けてみたのだ」
で、起きろと術を解くとグラスはフッと起き上がる。
「あれ?私、何故寝てしまったので?」
「私が術を試したのだ」
寝かせれるなら金縛りとかも出来るんじゃね?
この場にいる全員動きを封じるイメージをする。ヘルシングとストーカーがキャァとかウワッと声を上げると5秒ほど固まってからビックリした様子で自分の体を確かめる。二人はファイアーウォールが防いだがそんなものがないトーキン達4人はその場で固まってしまう。
「な、何をしたので?」
「いや、この場にいる全員が金縛りに成るイメージをした。
トーキンやグラス達も意識は起きてるが体は絶対に動かないはずだぞ」
俺がトーキンの前で手を振ってみるが目すら動かない。で、指を鳴らすと4人がその場に崩れるようにして跪いた。
「私のファイアーウォールを最後の一枚まで破ってきましたが、貴方のナノマシンは一体何なので?」
ヘルシングが何かを確かめながら俺に尋ねる。知らんよ。
「知るかよ。
でも、俺が一番長く体内にナノマシンを保有してるし、種類も多いからなんか究極生命体的なナノマシンが居るんじゃね?」
「多分、貴方が本気でハッキングしようとすれば私達も叶わないと思いますわ」
「マジで?
ヤベーな。気を付けよ」
「ええ、お願いしますわ」
で、用も済んだからお前ら帰れとヘルシングが告げ、俺にノンナを持ってけと告げる。
「これ、どうやったら起きるんだ?」
「起きろと念じれば起きますわ」
起きろと念じてみるとノンナがアクビを噛み殺しながら起きた。ホントだ。ストーカーに預け俺は帰る。トーキンは講義の続きをし、グラスもついでにその場に残る。
俺はホーモーカポーに相変わらず簀巻ノンナとそれを連れて歩くストーカーと一緒に外に出る。外に出ると何やら一人の男が立っているではないか。
「これはツェペシュ様!」
男は俺に深々と頭を下げる。
「何だ貴様は?」
男の後ろにはゲイリーとニーニャも居りツェペシュ様に会いたいといって居たのでお連れしましたと告げた。だから誰だよ。
格好はセイバーの男バージョンって言うの?カブトをせずになんか騎士っぽい胸甲とか付けて腰に剣を下げていた。
で、話に聞くとノンナと戦っていた男らしい。へ~
「何用か」
「はい。私、今一度ツェペシュ様とお手合せ頂けたらと思いまして」
「ふむ……
私と貴様が手合わせをすることは吝かではないが、私は勿論、貴様も得るものは何物無いぞ」
「そんな事はございません!
格上の者との手合わせは得るものは大きいのです!」
そらそうだろう。
でも、俺は正々堂々なんて戦いはしない。
「ふむ……
まぁ、何事も経験か。良かろう」
俺が付いて来いと告げるとノンナが私もやる!と叫ぶ。ストーカーが空かさずノンナちゃんはさっきやったでしょと笑い、何処かに連れて行ってしまった。もう、完全にノンナの保護者だな。
俺達は噴水広場にまで移動した。
「ハンデをやろう。私は此処から動かないし、武器も使わん。
素手だ。私に一太刀でも入れれば貴様の勝ち。貴様が剣を落とせば私の勝ちだ」
それで良いか?と告げると騎士は頷いた。ゲイリーに審判を任せるとお互いに間合いを取る。大凡5メートルほどだろう。
騎士は剣を抜き、構える。俺は別に構える武器もないのでクイッとサングラスのズレを直す。そして、ゲイリーが始め!と合図。騎士はドウと速攻で踏み込んで来た。先手必勝と言う事だろう。が、遅い。
騎士が一歩踏み込んだ瞬間、俺は騎士に自身の体に無数の大きなムカデが這い上がり体中を這いずり回るイメージを見せる。騎士は何だ!?と声を上げ慌てて剣や腕を振り回している。周囲で見ていた連中は突然踏み込みを止め阿波踊りのように手足をバタバタさせている騎士を訝しむように見ていた。
「今の奴はこうなっている」
俺が指を鳴らし、周囲の人間に騎士が見ているイメージを見せてやった。野次馬達は騎士に這いずり回る馬鹿でかいムカデ郡を見て嫌悪感丸出しの悲鳴を上げる。
で、俺は指を鳴らして全員の“幻術”を解いてみせた。
「私の勝ちで良いな?」
俺は確認すると、騎士は直ぐに俺の幻影魔術だと気が付いたらしく。大きく項垂れた。
「気にすることはない。
この世の何処に月に手を伸ばし触れることが出来ぬと悔しがる者がいる?」
僕はドヤ顔でそう告げた。ムハハハハと笑い、楽しい余興であったぞ下等人種と告げゲイリー達を引き連れて移動する。ムハハハ!
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登場人物
・グラス
メガネの30代ぐらいのキツめな女教師
エロ本とかに出て来そう
・日焼け君
ホーモーカポーのメロスの方
ホーモーカポーの熱血の方
押しに弱い
・メガネ君
ホーモーカポーのメガネの方
ホーモーカポーの攻め方
グイグイ系




