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血ぃすーたろかー21回目

 実験棟に入ると何やら大量のローブ共が列を成して廊下の隅に並んでいた。何か、学園祭と同時並行で行われる学校案内の列みたい。学校ボランティアの学生が引率して学校案内してくれる奴。しかも、学生に彼是聞けるのでその学校の校風とか程度を実際に入学希望者とその親が把握出来るってシステムの奴ね。

 多分、何処の学校でもやってると思う。

 で、ローブ共は俺を見ると慌てて頭を下げる。俺はそれに気にも留めずにローブ共が続く列の先頭へ向かう。其処は一番上の階層、ヘルシングが占領していたあの部屋に続いていた。


「ノンナと言いお前と言い、この騒ぎは何だ?」

「あら。スライムは手に入れたので?」


 入れたよ。後ろにいるスラミネーター23体を見せる。


「その鈍色に輝いているスライムは何ですの?」

「キングスライムとか言うスライムの王様らしい。

 で、お前は何やってんだよ」

「いえ、ニーニャに渡した拡張現実のメガネが話題になって居るそうで、どういう仕組なのかを訪ねて来る教師が居たので、拡張現実のメガネを体験させてみたら凄い凄いと他の教師や自分のゼミの生徒を連れて来てしまい、最終的にはこんな列に」


 実験が全然進まなくて困りますわとヘルシングが肩を竦めた。


「取り敢えず、お前がアホだというのは分かった。

 それで、こんな大量のスライムどうするんだ?」

「これを元手に私の理論を元にした万能兵士を作るんですわ。

 取り敢えず、主武装は11式機関銃でどうでしょう?11式機関銃のショートバレルを持たせて遠射能力を少々落としてアサルトライフルのように近中距離での戦闘を重視した都市間戦闘用として考えて居ますが」


 好きにしてくれ。


「知らんけど、ガトリング付けたら?右手にウィーンって付いてるの。カッコいい。

 89式機械歩兵だか何だかってのは腕に付いてるんだろ?」

「私の立案したマルチロール機の概念ですわね。

 あの時代では技術が低すぎて重量増大と昨日の複雑化にともなって――

「知らん知らん。

 そう言うの説明されても俺に分からんから、兎に角、好きにやってくれ」

「分かりましたわ!」


 で結局邪魔だから出てって下さいまし。序に外で待ってる連中も追い出して下さいましと言われた。俺がやるの?君が呼んだのに?ねぇ?

 でも逆らうと何か言われそうだから振り返って邪魔だから出て行けと告げる。すると、全員がゾロゾロと出て行った。うむ。これで良し。俺はノンナの様子を見に行くと、ハンマーを一人ブンブン振って居た。イメージトレーニングでもしているのか時折止まって何か考え事をしている。

 これはこれで良しとしよう。

 で、どこ行こうか?なんて考えていたらメールが届く。メールっつーか短距離でのメッセージ送信機能何だけどね。世界がちゃんとしていた頃なら日本全国、電波が通じている場所にいれば普通にメッセージのやり取りが出来ていた。

 クラウド通信の云々かんぬんって奴だ。良くしらんけど。


「何ぞ?」


 メッセージを展開すると謎のソフトデータと共にヘルシングが暇ならこっちの世界の書籍等を読み、音読させて文字を解読して来て下さいましと書かれていた。体の良いお使いその2である。

 追伸に貴方、ドブ臭いので一度服から何から洗濯をしてお風呂に入る事をお勧めしますわとも書いてあった。そら、地下水道に入ったからな!ソフトをインストールしながらお風呂兼洗濯をするために多脚装甲車へ。

 カプセルに入ると中々どうして《汚染度:高、高濃度の病原菌を保有しております》と出てすさまじい勢いで消毒と洗浄をされた。30分程やった後、服を別途で洗濯させてから外に出る。

 本の入手と読み上げる奴だな。

 この学校、図書館あるだろう。そこに行って同じ本2冊手に入れて読み上げさせるのを俺が眺めれて居れば良いか。つー訳で図書館へ誰か案内を……お。


「そこの下等人種共」


 大量の本を抱えた丸メガネの女子生徒を先頭に同じように本を大量に抱えた男女の生徒を呼び止める。

 全員が俺の方を見て慌てて姿勢を正そうとして、抱えていた本を落としそうに成った。俺は思わず手を伸ばして落ちる本が空中で浮かせる。咄嗟の判断でもナノマシン操作が出来る程度には慣れたな。


「あ、ありがとうございます!」

「構わん。図書館に行く途中だろう?

 案内せよ」

「は、はい!

 どうぞ」


 空中に浮遊する本を慌てて拾おうとしたので俺は本を行儀よく積み重ね、俺の後ろを並んで付いて来るイメージで動かす。


「案内の褒美に持ってやろう」

「そ、そんな!トンでもない!」


 ツェペシュ様に荷物を持たせるなどとと言うので貴様等が本を持ってノタノタ歩いていたは図書館に着くまでに日が暮れるだろうがと告げてさっさと案内しろと睨み付けたら喜んでと歩き出した。

 ウムウム。で、5分程歩いていると外に出た。多分、別館で建ってるんだろうな。ゾロゾロと歩いて行き、植物園みたいな場所の脇を通ると今度は大きな噴水のある場所に出る。憩いの場って奴だろう。生徒達が集まって何やら話したりリラクゼーションの為のボール遊び等をしていた。

 で、そんな噴水広場(仮)の側でスラミネーターを連れたニーニャとドリルヘアーにその取り巻きっぽい連中が何やら話をしているのを見付けた。ウムウム、いじめられっ子にも早くも友達が出来たか。宜しくてよ。

 声をかける事はせず黙々と歩いて行く文学少女(地味)の後に続いて図書館に。図書館は図書館でメチャクチャデカイ。

 扉を開き、中に入ると少数の生徒達が本を持って思い思いの事をしていた。ある者はカウンターで本の貸出手続きをし、ある者は備え付けてある椅子に座り本を読んでいる。

 地味メガネはカウンターまで行き本の返却ですと告げてから俺に本の運搬に礼を述べた。


「構わん」


 本をカウンターに積むように操作してから図書館内部を周ることにした。メチャクチャデカイんですけど。文字読めなくてもこう言うデカい図書館てワクワクするよな!

 で、ウロウロ。適当な本棚を見ながら奥の方に、奥の方に。こう言う奥の方の本ってたま~にスゲー面白いのがある。あと、この古い紙の匂いも結構好き。特に、納入されてからこれって一度でも読まれたことある?ってレベルに新品同様で経年に寄る黄ばみぐらいしか汚れていない本とかの匂い。

 アレ好き。本のインクと糊の匂いっていうの?あれ。


「……ん?」


 歩いていると何やらボソボソと小声で話す声が聞こえて来る。こんな奥まった滅多に人が来なさそうな場所、小声でボソボソと喋る声。間違いなく逢引ですわ。豚と牛のミンチですわ。

 完全に気配を消し、序に羽織っている透明マントを起動させる出歯亀根性。足音を消してゆっくりゆっくりと近付いて行く。

 で、ソッと覗くとメガネを掛けた色白の生徒と褐色に日によく焼けた生徒がお互いに抱き合ってキスをしていた。メガネの方はショートカットのボーイッシュな生徒。良く焼けた方は見るからに活発そうな生徒だ。

 年齢的には13か14ぐらいの中学生だろう。多分、中等部。中学生の逢引かな?メガネが周囲を気にする日焼けのローブの中に手を入れてズボンやらシャツやらを弄る。おぉ!おぉぉ!!こんな場所でBどころかCまで言っちゃうのかい君達!

 ツェペシュさん的には全然OKだよ!つーかさっさとしなさい!ドンドン行こう!邪魔者はお兄さんが排除するから!

 で、俺は二人をマジマジと見つめると不意に拡張現実が二人に注釈を付ける。危険度は0で性別は男。二人共男。


「……ん?」


 拡張現実を確認。先ずは褐色の少年から。身長は概算で166cm、体重は50kg。性別は男。男子生徒。うん、これは良い。次、メガネ。身長は概算で153cm、体重は43kg。性別は男。ちょっと待て。こっちはボーイッシュな女子じゃないのか!?

 ちょっと待て、彼はアレかい?ホモォォ……なカポーですか?

 中々に背徳過ぎる関係よ、君達ぃ~

 別に止める気はないけど、此処でバレたら君達ヤバそうだからちょっとやめないか。

 棚から少し離れてから敢えて靴音を響かせながら歩く。もう、普通に通りかかりました的な体で。


「む?こんな所にも下等人種が居たか」


 二人は、というか日焼けが慌てて服を正していた。


「つ、ツェペシュ様!?」

「こ、こんにちは」


 二人は俺に頭を下げるので俺もそれに答える。で、日焼け君をよく見るとズボンのチャックが開いていた。


「茶色の方」

「は、はひ!」

「貴様、パツンが見えている」


 俺の指摘に二人は大慌てでズボンの社会の窓の部分を見る。社会の窓はパッカリと空いており、パンツがこんにちはしていた。うむ。男のパンツとか見て何も嬉しくないわ!


「し、失礼しました」


 日焼け君は大慌てでボタンを停めた。


「貴様等はこんな場所で何をしている?

 見た所本を探していると言う風でもないが……」


 俺が尋ねると日焼け君がドキリとして口篭った。まぁ、セックスしに来ました何て言えんわな。


「この学校の七不思議の一つに、この図書館には禁断の魔道書があるという話を聞き、探しておりました」


 メガネ君が俺の方を見てはっきりとそう告げた。メガネ君、口を開くとちょっと声が低かった。女子にしては低すぎだからやっぱり男子何だね。ズボン履いてるし。クソゥ……


「フム、成る程。

 禁断の魔道書とな?」

「はい」

「魔道書とはそもそもどういう物だ?」

「はい。魔道書とは本来、魔術の扱い書いてある本でそれを読み理解する事でその魔術が扱えるという物です。禁断の魔道書には死者を操る術や不老不死の薬の生成などが載っていると言われ、同時に理解出来ない者が読むと発狂して魂を食われると聞いています」


 何それ怖い。


「死者を操る程度の事ならば私でも出来る。

 そして、不老不死の薬ならばヘルシング辺りに聞けばある程度ならば理解出来るだろう。別段、不思議がる物でもあるまい。

 それはそうと貴様等そんな与太話を信じて図書館を彷徨うほど暇ならば、私に付き合え。そちらの方が余程有益だ」


 俺のワクワクを奪った罰も含めて此奴等に本を音読させよう。

 同じ本を2冊借りてくるように告げ、それから図書館の隅の方にあったテーブル席に。


「褐色。貴様は本を読み上げろ。

 メガネ。貴様は今読んでいる場所を指で指し示せ」


 で、ソフトを起動し、本の表題から表面に書かれていることを全て音読させる。薄い本を持ってこさせたので大体2時間ほどで終わった。俺?半分寝てた。だって、ソフト起動してズッと同じ姿勢で本を見詰めていれば自動的に解読してくれるんだもの。

 で、また別の本を持ってこさせて今度は俺が読んで見る。


「あ~……貴方達は300年前、悪魔の男と呼ばれた男がいたのを知っているだろうか?」


 一文を読み上げ、隣りに座るメガネを見る。メガネは大丈夫ですと頷いた。日焼け君も同様だった。


「その男は今もなお、ミスマルカルの地に建てられた地下牢に厳重に管理されているらしい」


 更にもう一文読み上げて確認。OK?よし。

 それから《5人の勇者と3人の魔王、悪魔の男》とか言うお伽話を読み上げる。7割方翻訳可能で、一般に流通している本や文章なら読めることが可能になった。ゲーム脳的に言えば異世界言語理解lv1とか?まぁ、専門書を読むにしたってそっちはヘルシングがやるんじゃないのかね?

 知らんけど。

 で、ホーモーカポーを開放してやった(開放したとは言っていない)


「さぁ、追跡開始!」


 二人と別れ、直ぐにステルスマントを起動。


「ツェペシュ様って最初スゲー怖い人かと思ったけど案外良い人だな」

「そうだね。

 ヒラコー様はいっつも笑ってるけど何考えてるのか分からないし」

「ヘルシング様は美人だけど怖い。何かいっつも怒ってそう」

「ストーカー様はヒラコー様のお世話してて何時も苦労してそう」


 二人はそんなある意味的を射ている発言をしまくりながら何処かへ向かう。何処へ向かってるんだ?


「午後の授業サボっちゃったから教授に事情説明しないと」

「俺、あの教授嫌い」


 午後の授業忘れてたわ。


「僕も嫌いだよ」


 教授嫌われすぎワロタ。どんな奴か見に行こう。

 彼等の後ろを付いて行く。教授達がそれぞれの研究室を持っているという研究棟へ。因みにヘルシングが占領している実験棟は大掛かりな実験を行う場所で部屋の1つ1つが大きいそうな。

 で、彼等は研究棟へ辿り着くとそのまま中に入っていく。俺も直ぐ後ろを慎重に付いて行く。


「ん?」


 日焼け君がふと立ち止まり振り返った。


「どうしたの?」

「いや、何か後ろから誰かに見られてる気がして」


 うわ、この子鋭い。


「え?

 誰も居ないよ」


 メガネも振り返って後ろを凝視。俺は一切動かずに呼吸も出来る限り抑える。二人は暫く後ろを見て、日焼け君は納得したらしく頷いて歩き出す。

 二人は階段を上がって行き、件の教授の部屋の前に。二人はお互いの服を正しあってから軽くキスをすると扉をノックした。ラブラブじゃねーか!畜生!

 中からどうぞと声が返って来るので二人は中に入る。中には30代ぐらいのメガネを掛けた別の角度でキツそうな性格をした美人なお姉さんと言うには少し老けた女性が座っていた。


「あら、貴方達。

 私の講義を無断でサボっていったい何をしたいのかしら?」

「はい。ツェペシュ様と図書館で出会い、ツェペシュ様のお手伝いをしていました」

「手伝い?」

「はい。ツェペシュ様がこの国の言葉を覚えたいと言っており、本を読めと言われたので僕と彼で本を読みました」


 メガネの言葉に日焼け君もウンウン頷いている。俺もウンウン頷いてる。

 メガネ教師は二人を見比べ小さく溜息を吐いた。


「貴方達、嘘を吐くならもっとマシな嘘を吐きなさい。

 貴方達如きにツェペシュ様が話掛けるわけ無いでしょうが」

「嘘じゃありません!本当です!」


 日焼け君がそう声を上げるが、メガネ教師は黙りなさいと声色を鋭く告げた。おー怖っ!でも、事実なんだよなぁ~可哀想だから俺が登場して弁護したろうかな?

 でも、そうするとゼッテーヘルシングに何か言われるからな~


「なら、ツェペシュ様を連れて来て証言して貰いなさい」


 無理でしょうけどと言う顔でメガネ教師が笑う。日焼け君は顔を真赤にして待ってろ!と叫び飛び出していく。俺もそれに続いて外に。

 走れ日焼け。

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