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暴食の王〜喰らう力で異世界攻略〜  作者: ベニ・ドラ
第一章 辺境都市カルケル
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第一章 辺境都市カルケル 第十三話

今回、途中から視点が変わります。


評価やブックマーク等よろしくお願いします!


 深く茂る魔窟の森。その奥深く、精霊界への門を護るようにソレは眠っていた。

ソレは魔窟の森に住む魔物の生態系の中で絶対の捕食者。エルダーワイバーンだ。

普通ワイバーンというと、低い知能と竜種の力を持つ厄介な魔物だ。

だが、このエルダーワイバーンは違う。もう何百年も魔窟の森の王者として君臨し、様々な魔物を食した。それ故、エルダーワイバーンは下位龍種とも劣らぬ知能と様々なスキルを手に入れたのだ。

 

 しかし、そんな森の王者はとある新月の夜に訪れた存在によって狂わされる。


「ここが魔窟の森か……。なんだよこの程度で魔窟だぁ?拍子抜けだな」


 黒衣を纏い、禍々しい剣を携えた青年が突如として森の中に現れた。


「……さっさとエルダーワイバーンとやらに、

【狂乱の長針】を刺して帰ろう」


 青年は森の中心、精霊界への門跡に向かい歩き出した。

襲ってくる魔物を容赦なく切り捨て、そのまま進む。

深部に向かうにつれ、魔物が少なくなっていく。


「ここか? エルダーワイバーンが住む門跡は」


 青年が自分の縄張りに入った事を察したエルダーワイバーンは飛び起き、青年の元に向かう。


「GRRRRrAAAAAAaaaaaaaaaaaa!」

「おっ? そっちから来てくれたか。有難いな」


 青年はこれまた禍々しい魔力を吐き出す長針を取り出すと、エルダーワイバーンに向かい駆け出した。

もちろん、森の王者もそんな事を許すはずもなく毒と炎のブレスを吐く。

しかし、青年が振るった剣でブレスを霧散され、不覚にも青年の接近を許してしまう。


「おとなしく、脳にこれを刺されろよ。面倒くせぇからさ……ホラっ!」

「GU……GIAAAA!」


エルダーワイバーンは長針を脳に差し込まれた。


「GA⁉︎ ……」

「はい、終了」

「Gugi……ggGaRRRRAGJI?」

「狂乱化が始まったぞ!しかし、この【狂乱の長針】は凄え効き目だな……一本魔物の脳に差し込むと、刺された魔物は力が暴走して狂う。

このエルダーワイバーンはどうなるかな?」

「Gahiggggggggi■■■■Ga■■■■■■⁉︎」


 エルダーワイバーンの咆哮が変化する。

身体が膨張し、前足の飛膜が分かれ、尻尾が長くなる。

胴体の鱗が硬化し岩のようになり頭の先にトライデントのようなツノが生え、全身に赤のスジが現れた。


「おおっ! これは当たりだな。まぁ、長い間森の王者だったみたいだし。これ位にはなるか……

まぁ見るもん見たし、帰ろ。

『空間よ我を運べ、ゲート』」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■‼︎‼︎」


 狂乱したエルダーワイバーンは青年に爪を振るうが、空を切る。青年は転移魔法で逃げたのだ。


「■‼︎ ■■⁉︎ ……■■■■‼︎‼︎」


エルダーワイバーンは空に向かい、咆哮を上げた。


ーーーーーーーーーー


 目が覚めた。

チュン、チュンと雀のような鳥の鳴き声が窓の外から聞こえる。


「ん……。ここどこだ? えっと、そうか此処は黒鉄の剣亭……ん?なんか手に柔らかくて暖かいものが……」


 隣を見ると、裸で俺に抱きついて寝ているベルゼブブが居た。


「ブッ! なんで裸……。ま、まさか俺はベルゼブブに何か⁉︎」

「んんっ」

「ひよッ! まずいぞ……どうにかしてベルゼブブを離さなくては。このままだと俺の理性が………」

「おはようレン君? 何してるの?」

「ひっ! ごめんなさい! って起きたのか。

なぁ、ベルゼブブ! なんで裸で一緒に寝てるんだよ⁉︎」

「レン君、覚えてないの? レン君が僕をこんなふうにしたんだよ?」

「ひいッ!まさか、本当に俺は……ベルゼブブとやってしまったのか?」


 不味い、不味いぞ!

ベルゼブブとはまだ仲間っていう感慨しかないんだ。それなのに俺は……ベルゼブブを……


「なぁ〜んちゃって。僕は寝るときは裸族なんだ。

で一緒に寝てる理由はこの部屋のベットがダブルベットだからでしょ?」

「……よかった。って、騙したな! 本当にびびったぞ!」

「ふふっ、怒らせちゃった。でも、レン君なら……イイよ?」

「っ! お、おれは中庭で身体を洗ってる!」

「あらら、行っちゃった。もう……。僕も身体を洗いに行くかな」


 俺が身体を洗い終わると、ベルゼブブが石鹸とタオル頂戴と言われ、渡した。

……さっきの言葉は本当なのかな?

だとしたら、初めてはベルゼブブになるかもしれ……って、俺は何を考えているんだ!

ベルゼブブは大事な仲間だ。そんなやましい事を考えてはいけない。


「そうだ、素振りをしよう。剣を振ればモヤモヤが無くなるだろ!」


 善は急げ、直ぐにストレージからナアスさんに貰った塵狼の剣を取り出し、素振りを始める。

 素振りなんて、学校の剣道くらいしかした事ないが剣術スキルを持っている為にどう振ればいいかなどがなんとなく分かる。


「ふっ、ふっ、ふっ!」


 最初は百回位振ればモヤモヤも収まると思っていたが全然収まらず結局、朝食が出来るまでずーと素振りをしていた。

五百回位まで数えていたが、もう何回剣を振ったかわからない。

 食堂に入る前に身体をもう一度洗い、汗を落としてから朝食を取った。


「はぁ、はぁ、疲れた〜」

「レン君、何してたんだい?」

「素振りだよ」

「へぇ! 今日から冒険者として依頼を受けるから?」

「そ、そうだよ」


 ベルゼブブの事でモヤモヤして気を紛らわす為に素振りをしていたなんて言える訳がない。


 食事を済ませ一旦部屋に戻り、準備をする。

まず、昨日買ったワイバーンセットを装備して

塵狼の剣をベルトに付けた鞘に入れる。

ふと、塵狼の剣を見て思った。

鑑定って別にステータス見る為のものじゃなかったよな?


「……なぁベルゼブブ。剣に鑑定って出来るよな?」

「当たり前じゃないか。そもそもそっちがメインだよ?」

「だよな。ちょっとこの塵狼の剣を鑑定してみるよ。鑑定!」


ーーーーーー

塵狼の剣

称号:出来損ないの聖剣


攻撃力:13520

保有魔力:5680


スキル:アンデットキラーLv--

ウルフキラーLv--

砂塵操Lv10

攻撃力強化Lv10

攻撃力二段階強化Lv10

攻撃力三段階強化Lv10


塵狼と呼ばれる魔物の牙と骨をオリハルコンと一緒に溶かし、鍛えられた業物。

鍛治の神ギリウムの祝福を受けている。

しかし、聖剣には至らなかった。


キラー系…一つの種族に対して攻撃力が上がる。

砂塵操…魔力を込めると砂を操る事が出来る。

攻撃力強化…攻撃力を10%加算する。

攻撃力二段階強化…攻撃力を20%加算する。

攻撃力三段階強化…攻撃力を30%加算する。

すでに攻撃力を強化されていても、強化された攻撃力をさらに強化する事ができる。


ーーーーーー


「……ベルゼブブ。ナアスさんにとんでもない剣に貰っちゃた。この剣はやばいすぎる。業物どころの騒ぎじゃ無い。この説明欄の通りだとすると……」


 そもそもの攻撃力が13520。これの10%加算で14872でこれの20%加算は17846.4。でさらにそれの30%加算で23200.32か。

つまりだ、攻撃力強化を意識して攻撃すると攻撃力約23000になるって事だ。ほとんどの魔物をワンパンできるって事だ。


「その剣は危険だよ。強すぎるし、レン君の為にならない。その剣は強大な敵と戦うときに使うべきだと思うよ」

「俺もそう思う。その時が来るまでストレージに封印しておこう」


 と言うことで塵狼の剣をストレージに戻し、ミーリア神に貰った剣を装備する。


「さて、ベルゼブブは準備は出来たか?」

「うん。勿論だよレン君」

「じゃあ行くか」

「うん」


 俺たちはギルドに向かった。

少し遅かったらしく、もうギルドは冒険者で一杯だった。

 依頼書が貼ってあるボードももう殆ど無い。


「さて、ベルゼブブ。ボードにある依頼書を受付に持っていくとその依頼を受ける事が出来るらしい。

良さげのやつ無いかな?」

「これなんかいいんじゃ無い?」

「ん?なになに。えっとゴブリンの調査?まぁ初心者がやるには充分だろう。これにしよう」

「うん。じゃ、受付に持って行こ」


 俺達は受付を待つ冒険者達の後ろに並んだ。

すると、幾つもの視線を感じる。

冒険者達が俺の噂をしているようだ。


「ねぇ、あの子がザッコ達と三対一で勝ったらしいわよ」

「それは、すごい!私たちのパーティーに入ってくれないかな?」

「やめとけやめとけ。どうせ噂に尾びれが付いてるだけだろ。大体、あんなガキに何ができるんだよ」

「あんたもガキじゃ無い」

「ウルセェー!」


 三人パーティーか?女の子二人男一人か……

しかも女の子どちらも可愛い。まぁ、うちのベルゼブブには敵わないがなっ!


「あっ、レン君! おはようございます。こっちのカウンターにどうぞ」

「エリスさん。おはようございます」

「おはよう。エリスさん」


 いつの間にか俺たちの番になっていたらしい。

エリスさんのカウンターに向かう。


「さて。改めてレン君、ベルゼブブちゃん。

今日からあなた達の専属受付嬢、エリスです。

昨日の事で、ギルド長が感謝していたわ。それで、二人のギルドランクを上げたいんだけど、どうかしら?」

「ベルゼブブどうする? 俺はやって貰いたいけど……」

「是非やって貰いたいね。でも、その前にグレートハンターウルフの素材を買い取ってもらったら?」


 ベルゼブブも素材を売るのに賛成な様だ。


「そうだな。すみません、エリスさん。昨日途中で邪魔されたグレートハンターウルフの素材を買い取りをして貰いたいのですが……」

「えっ? 昨日の本当だったんですか?」

「はい。勿論です」

「でも、レン君グレートハンターウルフなんて……」

「エリスさん。レン君はアイテムボックス持ちって昨日言ったじゃ無いか」

「はっ! ……忘れてました。そうですね、ギルドの裏に解体場が有るのでそこに持って来てください」


 解体場なんて物が有るのか……。

俺とベルゼブブはエリスさんに連れられ、ギルド裏の解体場に向かった。

解体場には、三人の解体人が魔物の解体をしていた。その中の一人は女の人だ。赤の作業服を着たボブカットの腕白そうな人だ。

どうやら、解体場を仕切ってるのは彼女らしい。


「マルコさん! 魔物の解体をお願いしたいんですが」

「おはようエリス! お前ら、解体を続けておいてくれ。

で、エリス。どんな魔物を解体するんだい? なんでもバラバラにするよ?」

「はい。グレートハンターウルフを解体して貰いたいんです」

「グレートハンターウルフだぁ?」


 マルコさんは怪訝な表情を浮かべる。


「そうなんです。こちらのレン君とベルゼブブちゃんがグレートハンターウルフの素材をギルドに売るというんですよ」

「おいおい。こんなガキ共が?」


 案外、ガキって言ってるマルコさんも子供っぽい。


「レン君。グレートハンターウルフを出したら信じるんじゃ無い?」

「わかった。グレートハンターウルフをここに出しますね〜」


 整理しといたストレージからグレートハンターウルフの死体を全部取り出す。

マルコさんは信じられない物を見たって感じで驚いている。俺がアイテムボックス持ちだという事を知っているエリスさんでも、驚いているのだから仕方ない。


「こ、こりゃぁ、本物のグレートハンターウルフだ。しかも大量に……」

「これ全部解体して貰って売却したいんですよ」

「わかった。貴重なグレートハンターウルフを解体するなんて、腕が鳴るぜ!お前ら終わったらこっちを手伝え!」


 マルコさんは部下?に指示して、グレートハンターウルフの死体を眺めていた。


「マルコさん。私たちはギルドに戻りますね」

「じゃあ、解体お願いします」

「マルコさんよろしく頼むよ」


 もう、マルコさんには聞こえてない様だ。

グレートハンターウルフに集中して周りが見えてなさそうだ。

 さて、今持ってる依頼書を出して申請して貰おう。

依頼も楽しみだし、グレートハンターウルフがどれ位の値段に成るのか早く知りたいな。




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