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第百二十話 父登場!大騒ぎの砦

 夜が明け、砦の空気は静かだった。

 しかし――その静寂を破ったのは、轟音にも似た足音だった。


「アリアァァァァーーーッ!!」


 うわあああ、と叫びながら、伯爵家の旗を掲げた大軍が砦へ突入してくる。

 旗の先頭には、例の人物――アレクシス・レイフォード伯爵が鎧を光らせ、愛馬の鞍にどっしりと座っていた。


「わが娘よ……どこだッ! アリアァァッ!!」


 砦の兵士たちは唖然とし、慌てて馬上の伯爵に道を空ける。

 そして、砦の廊下や控室を駆け抜けるたび、壁や扉がガタガタ揺れた。


「ちょ、ちょっと! 父上、落ち着いてください!」

 その声に気づき、アリアがやっと起き上がる。


「お、お父様! うるさいです!!」


 飛び起きたアリアは、寝ぼけまなこで父を指差しながら叫ぶ。

 その声に、アレクシスは一瞬たじろぐが、娘の無事を確認するとホッと息をついた。


「ふぅ……無事であったか……!」

 伯爵の顔には安堵の色が浮かぶ。


 しかし、アレクシスの視線は次の瞬間、壁際に立つ二人の若者に止まった――。

 ノアとレオンだ。だが……


 ノアは片腕を肩にかけ、レオンは腰に剣を斜めに構えている。

 全身に泥や埃がこびりつき、寝癖で髪は逆立ち、服は破れかけている。まさに「文明人とは思えぬ格好」だった。


「……お前たちは……誰だ?」


 その質問に、ノアは大きな声で胸を張る。


「父上ッ!! ノアです!!」

「レオンです、父上!!」


 アレクシスは一瞬目を丸くし、次の瞬間、噴き出した。


「……冗談だわかっておる、よしよし」


 兄ィズはその反応にショックを受け、肩を落とす。

「……父上……それでいいのか……」


 とりあえず、砦の兵士が慌ててまともな部屋へ案内する。

 アリア、兄ィズ、そしてセリーヌ師匠の三人は、そこで昨夜の出来事を報告することとなった。


「父上、この方は……セリーヌ師匠です」

 アリアが深々と頭を下げ、セリーヌを紹介する。

「初めまして、セリーヌです」

セリーヌも軽くお辞儀をし、柔らかく微笑む。


「ふむ……よろしく頼む。アレクシス・レイフォードだ」

アレクシス伯爵はうなずき、温かい目でアリアを見つめる。


「ふむ……よろしく頼むぞ」

 アレクシスはうなずき、アリアの無事を喜んだ。


 しかし、セリーヌの横に立つノアとレオンに目を向けると、また眉をひそめた。


「……で、そちらの小汚い二人は一体?」


 兄ィズは一瞬、固まる。

「……えっ!? えっと……ノアです! レオンです、父上!!」


 アレクシスはにっこり笑いながら、目を細める。

「ふぅ……わかっておる、息子たちに気が付けぬはずが……しかし、よく無事でおったな。まったく、毎度ながらひやひやさせるのう」


 ノアとレオンはショックを受けつつも、胸を張る。


「えっ……父上、気付いてくれてるんですか!?」

「もちろんだとも。だが見た目で油断したわしも悪かった」


 セリーヌは小さく笑い、アリアは少し顔を赤らめた。

 兄ィズはため息交じりに「やれやれ……今日も父上には驚かされるな」とつぶやく。


 こうして砦の朝は、戦闘の余韻と大騒ぎの父登場で、笑いあり安堵ありの騒がしい幕開けとなったのだった。


―――


 砦の部屋に集まったアリア、兄ィズ、セリーヌ師匠。

 外では兵士たちが砦の片付けに追われる中、部屋には少し緊張感が漂っていた。


アリア「えっと……まず、わたしの課外学習で遺跡に行ったことから説明します」


 アリアは思い出しながら、手を小さく震わせながら話す。


「遺跡の奥で、封印されていたキメラに出会いました。正直……手も足も出なくて、どうすることもできませんでした」


ノアが胸を張り、声を張り上げる。

「そうだ! その時俺たち兄ィズが駆けつけて、アリアを救ったんだ!」


レオンも負けじと説明を加える。

「俺もだ! 俺たちが突っ込むまで、アリアは完全に詰んでたんだ!」


アリアはうつむき、少し笑みを浮かべる。

「……ええ、兄さまたちが現れてくれて、本当に助かりました」


「その後……倒れてしまった私を、セリーヌ師匠が砦まで運んでくれたんです」


セリーヌ師匠は肩でため息をつき、手を組んで頷く。

「ええ、もうフラフラで歩けなかったからね。仕方なく、強引に運んだのよ」


ノアが手を叩き、得意げに言う。

「そのおかげで俺たちは戦闘準備に集中できたんだ!」


レオン「そうだ! 兄ィズパワー炸裂だ!」


アリアは頭を抱えつつ、小声で呟く。

「……どうする兄ィズ、本当に……」


セリーヌが、説明を続ける。

「そして砦に着いた途端、また黒い瘴気のようなものが発生したわ。アリアの不可思議な力が、自然にそれを退けてくれた」


アリア「えっと……私、何をしたのか自分でもよくわかりません」


ノアとレオンは互いに顔を見合わせ、胸を張る。

ノア「でも、俺たち兄ィズとセリーヌ師匠のおかげで、無事だったんだ!」

レオン「そうだ! 兄ィズパワーとアリアの力のコンボだ!」


セリーヌは苦笑し、手を振る。

「……もう、何がなんだか。でも、とにかく無事でよかったわね」


アリアは小さく笑みを浮かべ、肩の力を抜く。

「……兄さまたち、相変わらずですね」


ノアとレオンは大きく胸を張る。

ノア&レオン「これが兄ィズの誇りだ!」


セリーヌ師匠はため息混じりに肩をすくめる。

「……まったく、ドタバタ兄ィズの相手はいつも大変よ」


 こうして砦での作戦会議は、アリアの不可思議な力、兄ィズのドタバタ奮闘、そしてセリーヌ師匠のまとめ役という三者三様の緊張感と笑いに包まれながら始まったのだった。


しかし、アレクシスには理解が及ばなかったのであった……。




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