その28 小市民 偉大な労働
小市民
プチブルは
崖の中途に突き出た
木の枝に乗っている
折れやすいその枝を
崖の上と思いたがる
プチブルのプライドは高い
隣人の欠陥を見つけることが
無上の精神衛生
利害に敏いのは
己の位置の不安定を
内心感知しているので
プチブルは孤独だ
彼の今日の敵は
昨日は友だった
欲求不満こそ
プチブルの旗
あらゆる欲求が
中途半端にはぐらかされて
ぷすぷす煙を上げている
満ち足りた顔
の裏側で
絶えず不平をこぼしながら
プチブルは死を迎える
偉大な労働
社会を支えているものは何だ
祈り
良心
否
労働
と言うべきだ
総労働が
一日休止すれば
社会は崩壊する
人間社会を形作った
人間自身をも創ってきた
偉大な労働!
労働する労働者はどうしている?
労働者はあくせく働いている
狭い住居と
長時間通勤に耐え
過労死に脅かされても
黙々と文句も言わず
テレビに魂を眠らせ
切り詰められた娯楽に憂さを晴らし
日々、己の卑小さを突きつけられながら
唯ただ
住み、食い、着るために
労働の偉大さなど
知ったことか
惨めさならよく分かるが
もっと惨めなのは
労働できないことだから
忠勤第一と
自分の頭に
楔を打ち込む
労働の成果はどうなっている?
林立する高層ビル
伸び続ける高速道路
車の洪水
情報の洪水
商品の洪水
金持ちの財布の中の
富の洪水!
〈メダルの裏側〉
公害・環境破壊
いじめ・自殺・不登校
汚職・腐敗
毒ガス・サリン
人間破壊の洪水!
それも知ったことか
労働者はあくせく働く
衣食住の確保は依然として至上命令
労働はやはりみじめな苦役だ
世界を改造し創造する労働
生きる喜びそのものであるはずの労働!




