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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅰ 第一詩集『帰郷』  1979年刊
3/133

その3 料亭の春   はっきりさせよう

   料亭の春


紅燈の下

弦の音頻りに鳴り

闇の中に

桃色に浮く桜花よ

生温かく


生温かく

牽引する男と女

粘りつく語らい

粘りつき


叫び 酔いの甘さ 縺れる意識

濁った眼 その眼を剝き

ひきしぼられる涙

はみ出たシャツ (つばき)の飛ぶ口


時の消耗


ここより他を思う心

そしてひるがえり

連なろうとする心


ここから

あそこまでの

距離




   はっきりさせよう


私の求めるものは何

それは存在

自立した存在


それは何


それはそそりたつ樹

苔むした岩 清らかな渓流

陽のひかり 風 柔らかに身を屈する草

そよぐ枝葉 散る花


つまり何


静かだが食い込んでいるそれ

在る事が意識とならぬほどに在る事

無いという事が夢想としてだけ成り立つそれ


民衆

この夥しいもの

打ち克ち難く持続し繁殖するもの

地を走る不壊の太綱

起源と帰結

歴史


私の血よ


彼らに帰るしかない


自らの働きで口に糊し

彼らの中に突き刺さり

自らも刺し通され

あの岩や木肌のように

存在となるのだ


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