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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅴ 第五詩集『おれの場所』   2007年刊

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117/133

その19 一日   眼差し

   一日

                                  

休日の午前

音楽を聴く


窓の外は雨

ふっと意識がクリアになる

懐かしい感覚


正面にある古びたオルガンの下部に

刻みつけられているいくつかの数字

見慣れたはずのものに

新たに見出すもの


追い立てられる

時間の連鎖から

すとんと落ちて

沈めば


一日も

千年




   眼差し

             

街で見る人の顔に

かって教えた生徒の顔が

ふと重なる


ああ、あいつだ

当時の表情や姿が

フラッシュバックで蘇る


俺も多くの生徒と

関わってきた


彼らの半分ほどは

この市で暮らしているはずだ


街を歩く俺を

そのうちの誰かが目にする

気づかない俺には声をかけず   

彼(彼女)は通り過ぎていく

そんなことが

月に一度は起きているのではないか


黙って通り過ぎる彼らの目に

俺はどう映っているのか


尻のあたりがむずむずする

どうせろくなことはあるまい


教え子たちの

沈黙の眼差しの中で

生きていかなければならぬことは

喜びか

苦しみか

           

               


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