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その19 一日 眼差し
一日
休日の午前
音楽を聴く
窓の外は雨
ふっと意識がクリアになる
懐かしい感覚
正面にある古びたオルガンの下部に
刻みつけられているいくつかの数字
見慣れたはずのものに
新たに見出すもの
追い立てられる
時間の連鎖から
すとんと落ちて
沈めば
一日も
千年
眼差し
街で見る人の顔に
かって教えた生徒の顔が
ふと重なる
ああ、あいつだ
当時の表情や姿が
フラッシュバックで蘇る
俺も多くの生徒と
関わってきた
彼らの半分ほどは
この市で暮らしているはずだ
街を歩く俺を
そのうちの誰かが目にする
気づかない俺には声をかけず
彼(彼女)は通り過ぎていく
そんなことが
月に一度は起きているのではないか
黙って通り過ぎる彼らの目に
俺はどう映っているのか
尻のあたりがむずむずする
どうせろくなことはあるまい
教え子たちの
沈黙の眼差しの中で
生きていかなければならぬことは
喜びか
苦しみか




