前へ目次 次へ PR 113/133 その15 喪失 光景 喪失 失ったものははっきり見える ほとんどそればかりが見える 視界の真ん中にぶらさがる 巨(おお)きな空虚 それを 既に埋め始めているものがある 失うことが 生み出すもの 喪失を条件に 育ち始めるもの それは見えるか 光景 きらびやかな富の前で 己のみすぼらしさに 恥じ入っている者 その富の 生産者である 富を背に 正面の台座で ふんぞり返っている者 その略奪者である 人類数千年の歴史に 珍しくもない光景だが 二十一世紀ともなれば もう幕を引いてもいいだろう