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坂本梧朗詩集  作者: 坂本梧朗
Ⅴ 第五詩集『おれの場所』   2007年刊
100/133

その2 オオカミは来ている

〈オオカミが来るぞ オオカミが来るぞ

だから絶対に必要なんだ〉

ホシュジミンの

いつもの遠吠えが聞こえる


しかし沖縄には

五十年以上も前から

オオカミは来ている


*五千人以上の男や女を

殺し、奪い、傷つけても

このオオカミは殆ど罰せられない

それどころか

服従の尾を振り続けるホシュジミンが

思いやり深く差し出す

年間*七千億円に上る飼育費で   

のうのうと肥え太っている

住民をキバで追い払って強奪した

二万五千ヘクタールに及ぶテリトリーは

痒いところに手がとどくような

ホシュジミンの*新たな配慮で

ほぼ永久に安泰だ


ホシュジミンの露払いで

オオカミは沖縄の柵を出て

その危険なプレイグランドを

全国に広げようとしている

日本全土がオキナワになる


幻想の霧が晴れる

オオカミの爪に押さえつけられた

裸のこの国が浮かび上がる

ヒロシマ・ナガサキの後

黒メガネにパイプを咥えた男が乗り込んできた

あの時のままの          



*五千人以上:復帰から一九九五年までの米軍構成員による犯罪検挙数四千七百八十二件。

*七千億円:一九九六年度の「思いやり予算」六千四百七億円。増大中である。

*新たな配慮:一九九七年四月十七日、駐留軍用地特別措置法(特措法)「改正」案衆院可決。












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