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重機兵少女ホラィ・ト・スフィ  作者: ツカモト シュン
第2幕 ライトダーク
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白ウサギの午後 エピローグ

 司令室にいるハヤミはただ、黙って座っているだけだった。


 別にすることがないのだが、バカピックがいる以上、この場を離れるわけに行かない。とはいえ、その時間もわずかな間であったが。


「ワニザメは逃げていきます」


 多くの砲撃によって、ワニザメは退散させた。砲撃に使う爆薬は意外に作るのは面倒で、消費は避けたかったがそうはならなかった。


 結構、派手に使い、基地近くの一部をでこぼこに変えていた。


「そうか」


 ハヤミは取りあえず、安堵してみせる。基地の周りに人類の敵がいることは気持ちの良いことではないからだ。


 ただ、ワニザメの出現はそれ以上に別の意味を持っている。


「ひとまず、戦闘態勢を解除。引き続き、第2種防衛態勢に移行する」


 バカピックの侵攻はいつ、いかなる時にも起きる。そして、ワープによって進軍してくるため、距離も関係がない。


 つまり、常に防衛態勢を取られている。この態勢は日常である。


 だが、防衛態勢にはもう1つの段階ある。それが第2種である。これは近く戦闘のあることが明確となった場合に出される。


「各員に通達せよ」


 ワニザメは偵察のため、基地近くをうろつく。それはこの後に起きる戦闘のために。これは経験則からほぼ確定の出来事である。


 第2種は常時、臨戦状態での防衛態勢となる。それでも何か大きく変わるわけではない、いつでも出撃できるようにいつも以上に気を張るだけ。


「いいのですが」


 シノが尋ねてくる。


「何がだ」


 ハヤミの対応に、シノはため息交じりで返答する。


「私の意図をご存じで、そのようなことを言っているのですか」


「あえて、優しくしても仕方がないだろう」


 ハヤミも意図は分かってはいるが、それが何か周囲に分からないように語る。特に周りにそうする意味はないが。


「そうですが。でも、加減というのもあると思いますが」


「その加減を敵がしてくれるのなら、まだ考える」


 話を聞いていれば、バカピックに対する内容にも思えてくる。


「それは言われると、否定はできませんね」


「リスクも必要だ。それに死ななければ、フォローができる」


 周りはそんなハヤミとシノの会話にあまり気にしていない。これも日常だからだ。


「大事なのは、それを感じられるだけの情報を得ておくことだ」


「その結果がどのように働くかは、本人次第でしょうね。それは私達のフォローすべきことと」


「まあ、俺では繊細にできないから、俺の仕事ではないと理解してくれ」


「そう言うと思っていましたが……」


 シノは先ほどとは違うため息をこぼす。


「アキラ殿もきっちりと説明してくれる上司なら、苦労も少ないでしょうに」


「だから、そんな繊細さは俺に期待するな」


「ひとまず、私も事前にフォローしておきます。この第2種防衛態勢は皆が感じているほど、のんきなモノではありませんので」


「その点は頼む。ベテラン勢は分かっていても、そこまでフォローはできまい」


「それにアキラ殿や例の3人にはつらく、きついことになるでしょうね。先ほども話した通り、事前に交流を深めない方が親心だったかもしれませんね」


 ハヤミとシノが先ほどからしていた会話はアキラらのことだった。


「優しいだけでも仕方がないだろう。厳しくしておかないと、それも親心だ」


「その判断の結果はすぐに分かることなので、これ以上は何も言いません。ただ、しっかり考えてください。これから忙しくなりますので」


 ハヤミはその言葉に黙り込んでしまう。そして、ただ短く「ああ、そうだな」とつぶやくだけであった。


 確定された大きな戦いが目の前に迫っているのだが、どこかいつもと変わらない光景はここでも繰り返されていた。


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