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空きビンとアルミカン PART 1 廃墟か、宝島か

┌――――――――――――――――┐

| * 空きビンとアルミカン * |

└――――――――――――――――┘


 敵によって地上を奪われた人類だが、地上は少女達には未知の場所ではない。


 それは敵の侵攻から守る戦場でもあり、再び取り戻す場所でもあるからだ。


「遠足にでも出すか」


 そんな大層なことは関係もなく、ハヤミはそんな言葉を口に漏らしていた。


「遠足ですか」


 アキラは尋ねるだが、ハヤミはオウム返しで「そう遠足だ」と答える。


 そもそも、地上が奪われた人類には遠足もまた奪われたモノの1つ。失った文化であり、その言葉は文献だけで知る物語の出来事。


 つまり、遠足といわれてもアキラには何を意味しているのか分からない。


「ああ、そうか。まだ、遠足を知らなかったのだな」


 ハヤミは宙に映し出されており、地図とその情報から遠足に適した場所、人員を割り出そうとしていた。


「まあ、出撃、遠征といった所だな」


 出撃、遠征となれば意味合いは分かるが、それでもなぜ、遠足となるのかはアキラには分からなかった。


 PART 1 廃墟か、宝島か


 少女達は基地から離れて、車で3時間もかけてやってきたのは街であった。


 当然、基地を離れた時点で、ここは地上である。


 そこには以前、バカピックによって運ばれた街に匹敵する高層ビル群が存在していた。


「ここは昔、人類が住んでいた場所よ」


 第1部隊長であるヴィヴィはそう語る。


 相も変わらず、高層ビルは巨大でそれ単体で基地を凌駕するような大きさ。それがこの街に何個も存在しているのだ。


 以前の騒動でこれに近い光景はほとんどの者達が見ていたが、それでも今はみんな目を輝かせている。少女達にはここが宝の眠る場所、宝島であるからだ。


 だが、ここでの住人がいなくなって久しく、廃墟となった場所ではあるが。


「基地や都市周辺では防衛の観念から、高層ビルはほとんど破壊されガレキすら残さずキレイになっているけれど、ここらはほぼ朽ちることなく、昔の姿そのままに保っているわね」


 少女達はその場に待機はしているが、ヴィヴィの話はそっちのけで、周辺を見渡している。既に観測機器を使い、精密に周辺地図を作り、仲間と共有するほどである。


 その情報はヴィヴィにも送られ来ている。通信機器も内蔵されているコアから送られた情報はデバイスを返さなくとも、直に脳内で処理することもできる。


 情報はかなりの精度である。街だけでなく、もうしばらくすればビル群の内部すら地図に書き加えられるだろう。


「まあ、説明はほどほどにして、みんなも楽しみしている遠足恒例の宝探しとしましょうか。だが、最後に」


 ヴィヴィは部隊長としても、緩んでいる少女達に檄を飛ばす必要があった。


 あくまで遠足と形容されているが、少女達が背負うのはお菓子やジュースなど入ったリュックではなく、銃や武器。そして、レスキューキットやメンテナンスキットなど万が一のための装備も最低限に用意されている。


 当然、上着は着ているが、その下は白のボディスーツ。完全な臨戦態勢での装備である。


 そう少女達、ファミネイは人類の敵バカピックの侵攻を阻止、防衛するためにある。


 そのために銃や武器を持ち、駆使して戦っている。


「ここ地上、奴らがいつ出てくるか分からない。街の探索も大事だが、奴らの気配には十分に気をつけること。また、出現しても、無理はせず、部隊の合流を優先すること。ここは基地ではない以上、我ら第1部隊のみですべてを対処する必要がある。1名でも欠けることは部隊の生存に大きく関わる。各自、軽率な行動は取らないように」


 これは遠足とは言っているが、実際は遠征。


 地上を奪還するための調査などが、この遠征の目的である。また、遠征である以上、基地からの支援はすぐには期待できない。部隊の能力、結束が試される場面である。


 それでも、少女達は遠足のお供であるお菓子やジュース等も忘れてはいない。今は車の中に置かれているが。もっとも、飲料用の水筒にはジュースが入れられているのはいつものことだし、非常食も甘い味付けであることは少女達以前の軍隊でも同じこと。食事は戦闘時でも楽しみでないと戦えないからだ。


「では、各自の判断で最善の行動せよ」


 その台詞ともに少女達は作られた地図を元に周囲に散らばっていった。


 第1部隊の内、その場に残ったのはヴィヴィ、副部隊長の位置づけのユノール、カレン、ルリカの4名である。


 そして、第1部隊とは別にエンジニア部門のファミネイもその場には留まっていた。


「4名も残っていれば、作業には支障がないわね。我々は本題に付き合ってもらうわよ」


 内心、ヴィヴィも散らばっていった方と一緒で、宝探しへと参加したかった。だが、部隊をまとめる立場として、ここは我慢している。それでも作業配分は計算しているので後から合流しても、問題がないよう時間はそれなりに確保している。


 また、先に行っている仲間から情報は入ってくるので、時間のロスやリスクも軽減される。


 では、ヴィヴィや他の者達が楽しみにしている宝探しと何か。そして、何のために街を探索しているのか。


 それはこの街に残る生活用品等を探し出して自分の物にすること。


 文字通りの『宝探し』である。


 当然、この街を離れた住人達は貴重品などの価値があるモノはとうの昔に持ち出している。それでも持ちきれない物を街と一緒に残していっている。少女達には残された物がたとえ価値がない物でも日頃、目にすることのないアンティークばかりである。


 それらが眠っている場所だから、少女達がこれを楽しみにしないはずがない。


 と、ヴィヴィは頭の中で宝探しへの算段を処理しているが、そもそも本題は宝探しではない。これはあくまでおまけである。


「遠足といっているけれど、本来はこの遠征での目的は周辺の調査もあるけれど、観測機器、通信機器等をこの街に設置すること」


 周辺の調査に関しては現在進行形で、少女達特有の楽しさ優先のあやふやさはなく、精度が高く処理されている。


 だが、観測機器、通信機器等の設置の件に関してはこの場にいる4名とエンジニア部門の2名、計6名だけの作業となる。


「とはいえ、機材を運んでアルミカンでの展開。それで終わることだけどね」


 機材とはいうボックスにはただ、鉄くず等が詰まっているだけである。単なるゴミを捨てに来たわけではない、そして間違って別の物を持ってきたわけでもない。


 アルミカン。原子の錬金術とでもいうべき、原子を分解、再結合させて物体を作り出す技術。ナノテクノロジーを超えた先の技術である。


 これを使うことで、たとえ鉄くずであっても、分解され、原子を再構築され、電子部品へと作り替え、部品を組み立てることで観測、通信機器へと作り直すことなど、いとも簡単な作業である。


「さて、どこに設置しようかしら」


 この街は広いが、随時更新される情報を元にすれば、この場でいながら適した場所を選べばいいだけの話であった。


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