第十一話 竜召喚
この作品を選んでいただき、ありがとうございます。
初めての作品になります。至らない点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
更新は毎週火・金予定です。
俺たちは天竜山の開けた場所に来ている。
ここまでは、久遠副隊長に連れられ、この前の銀青色の竜に乗せてもらった。
今日の配信は野外、しかも初のライブ配信。
しかしスマホ一台で配信ができるって、本当に便利な時代だと思う。
問題があるとすれば、カメラマンが俺だということ。
そして、すでに百二十万もの人がこの動画に待機していること……。
ジンバルで手ブレは抑えられるらしいけど、俺の緊張の震えもちゃんと抑えてくれるよな?
ライブの開始時間はすでに五分が過ぎている。
これは副隊長の準備を待っているからだ。
その副隊長は少し離れた場所で目を閉じて佇んでいる。
竜を喚ぶために集中しているのだろう。
正直、何故かはわからない。だけど、さっきから嫌な予感が止まらない……。
そんなことを思っていると、副隊長が手を挙げた。
準備完了の合図。
考えても仕方ない、行くぞ!
「ましろ、配信を始めるぞ! 3、2、1、スタート!」
「んーーみゃみゃ! みなとはらましろチャンネル、はっじまーるよー!」
さっそく、昨日決まった挨拶を完璧に決めていく。
こっちは緊張感ゼロ。でも、そのおかげで俺の緊張も少しだけ解けた。
「今回は撮影しながらのため、コメントは拾えないかもしれません。後ほど確認させていただきます」
正直、嫌なコメントをあまり見たくないってのもある。
まあ、それも今日で終わりの予定だけど。
「さて、ましろ。今日は何をするんだい?」
「んーとね、今日はりゅうさんをよんでもらいます!」
「そう、竜。ほら、“本当に魔人なの?”って言われているだろう?」
「ましろ、マジン!」
「そうだよなぁ。でも、証明って難しい。
だから──今回は助っ人を呼びました」
ましろが「おー」と拍手している。
「あちらにいるのが、我らが副隊長、久遠です。
彼女が――なんと、竜を喚んでくれるそうです」
「りゅうさん!」
……正直、どうやって呼ぶのかは教えられていない。
だから、めちゃくちゃ不安ではあるが、進行を進めるしかない。
「では、久遠副隊長、お願いします!」
俺の合図で、副隊長がゆっくりと目を開けた。
黒いロングヘアが、風もないのにふわりと揺れる。
次の瞬間。
世界が震えた。
空へ向けて放たれたものは、ただの魔力なんだと思う。
でも、それは俺の概念からは外れている。こんな威力あり得ない……。
「なんじゃこれ……」
バカみたいな呟きが漏れてしまった。
それに足も勝手に震えている。
「うわっーーー!」「きゃーーっ!!」
遅れて来る衝撃波。
踏ん張れず、俺は地面を転がる。
スマホだけはなんとか死守した。
顔を上げてると、ましろは両耳をぺたんと倒しながらも、なぜか満面の笑みで前を見ていた。
「ソーマ! 空、空見て!」
言われるがままスマホを向けると──
空に、一本の光の柱が立っていた。
いや、“空を貫いている”という表現が正しい。
その周囲に影が集まってくる。
一体、二体と、どんどん集まってくる。
数えきれない。
ついには、空の半分以上が黒い翼で埋め尽くされた。
「……竜、だ」
声が震えた。
これが恐怖のせいなのか、わからない。
竜たちは、光の柱を中心に、円を描くように旋回していた。
――どれほどの時間、そうしていたのだろう。
ただただ、呆然と空を見上げていた。
やがて、光の柱が揺らぎ始める。
少しずつ、その輝きを失っていった。
そして――消えた。
次の瞬間、旋回が止まる。
竜たちが、一斉に降下してきた。
その光景は、まるで魔物に蹂躙される世界のような……。
地響き。
地面が唸り、石が跳ねる。
何十体もの竜が、副隊長のすぐ側に降り立ち、ひざまずくように頭を垂れている。
まるで忠誠の証を示すように……。
隣では、ましろが目を輝かせ、その様子を見つめている。
俺は言葉を失ったまま、ただスマホを向け続けることしかできなかった。
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【魔人】ましろちゃんについて語るスレ Part104
201 :名無しの魔人
ライブ始まったぞー!
202 :名無しの魔人
挨拶可愛い。昨日より滑舌よくない?
203 :名無しの魔人
今日こそ魔人の証拠見せてくれ。頼むぞ!
210 :名無しの魔人
副隊長きた!! 黒髪ロングやばすぎ
てか尻尾見えるの俺だけ?
211 :名無しの魔人
尻尾つけてるだけじゃね?コスプレだろ
212 :名無しの魔人
ソーマ、緊張で声震えてて草
232 :名無しの魔人
光線出した!? 合成荒くて萎えるんだが
233 :名無しの魔人
ソーマの悲鳴が台本なさすぎwww
演技下手か?
234 :名無しの魔人
いや風強すぎだろw 何の演出?
235 :名無しの魔人
副隊長が空に向かってなんか撃った
そのあと背景真っ暗になった
236 :名無しの魔人
え? 背景じゃなくて“空”だよね今の
256 :名無しの魔人
なあ、あの光、マジで俺の家から見えるんだけど。
天竜山方面、光柱立ってるぞ
257 :名無しの魔人
流石に嘘乙笑
258 :名無しの魔人
え、待って。同じの見えてる人いる?
259 :名無しの魔人
はい。見えます。てか空が渦巻いてる。
ガチでやってるならヤバいだろこれ
260 :名無しの魔人
合成派だったけど、これ無理じゃね?
雲の形変わってんだけど
261 :名無しの魔人
空真っ黒なんだが!?
262 :名無しの魔人
竜っぽいやつ飛んでない?
鳥じゃねえよなあれ
265 :名無しの魔人
スクショ。
(※黒い巨大な影が雲を裂く画像が上がる)
266 :名無しの魔人
加工じゃなかったらこれ普通に通報案件
267 :名無しの魔人
ニュース速報来た
「天竜山で巨大飛行体の目撃情報多数」
268 :名無しの魔人
え?ガチ?
ライブと一致してんじゃん……?
269 :名無しの魔人
もう合成って言ってるやつ減ってて草
これ本物かもわからんけど怖すぎるわ
270 :名無しの魔人
ソーマの「なんじゃこれ」ガチ震え声すぎ
これ台本じゃ無理だろw
281 :名無しの魔人
竜ってあんな数いるもんなの?
百体以上ない??
291 :名無しの魔人
これ、国が止めるやつでは?
300 :名無しの魔人
副隊長お辞儀した瞬間、竜たちが頭下げてない?
指揮してる???
302 :名無しの魔人
すまん。今気づいた。
ましろちゃん、逃げずに前に出てる
強すぎるやろあの子
320 :名無しの魔人
てか魔人ってこんなにやばいの?
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