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第23話▷ Holy Mausoleum

なんかスーリア嬢が出てくるようになって

目に見えてアクセス数が激減してきて

いよいよ壁打ち更新極め始めて来たんですけど……

私はグリーンティーがまだ半分入っているカップをソーサーに戻して彼女に問いかける。


「さて。次はどうする?」


スーリアがワインを口に含んでいるタイミングを見計らって声をかけてみたのだ。

これならばさすがに私の発言に被せて返答することも難しいだろうからな。


「……ごくん。そうですわね…………。」


しかし私の思惑とは裏腹に、慌てることなく丹念にワインを味わって飲み込んだスーリアが口許に手を当てながら口を開いた。


私たちがテーブルを囲んでくつろいでいるここは前回と同様にシドニアの冒険者ギルドだ。


王都のギルドのほうが権限や募集クエストなど色々と便利そうなものだが、ミルディアス公爵家令嬢スーリアの顔が割れすぎているという事で、メインの窓口に隣町シドニアの冒険者ギルドを利用している。


とは言ってもスーリアは公爵令嬢の権限をふんだんに使い、実のところ私たちは窓口はシドニアでもギルド間交信を使わせて王都と同様の対応内容にしてもらっている。


つまりは、要項さえ満たせばシドニアでもランク昇格が認められるし、ここで募集しているクエストはもちろん、シドニアにいながら王都ギルドのクエストも受注出来る仕組みになっているのだ。


「まったく、我儘(わがまま)令嬢が「なにか(おっしゃ)いまして?」


「……いや? なんにも?」


努めて平静を装いスーリアに返事する。


声に出るか出ないかくらいの小声だったと言うのに、なんという地獄耳だろうか。


「それにしましても、

アリサさまのお陰でわたくしも無事に

Cランクのゴールドクラスまで昇格出来ましたので

これからわたくしたちが選べる選択肢も

ぐっと広がりましたもの! 次の探索(クエスト)

楽しみで仕方がありませんわ!!」


そう言いながら新しく交付された金色のギルドカードをにこにこしながら見つめている。

右腕に金色の腕章をはめながら。


余程嬉しかったのだろうな。

その話を聞くのはもう7回目くらいになる。


とは言っても気持ちは解らなくもない。


私だってゴールドクラスに昇格してカードと腕章、そしてアミュレットを交付された時は、喜びで ぶるっ と身体が震えたものだ。


そのアミュレットも手紙を添えてフロルの元へ送ったのだが無事に着いただろうか。


「そう言えばスーリアの

アミュレットは「お母さまに預けて参りましたわ。」


……そうか。


自身のアミュレットを思い出して、スーリアはどうしたのだろうという疑問も口に出したと同時に返答が来る。


本当に前のめりな公爵令嬢だ。


まぁ、それはそれとして。


大量に回収したファイヤーバードの羽毛やら(くちばし)やらだけでなく、10本も落ちた煉獄鳥の羽根も予備分を含めて手元に残しても7本ほど余分にドロップしたので、それらの素材を求めていた依頼(クエスト)にも事後受注というかたちで完遂する事が出来、クエストポイントも予想外に入手する事が出来た訳だ。

そんな流れでスーリアもCランク冒険者のゴールドクラスに昇格したのだ。


加えて超大量の魔石も売却したので、その金額は2人で山分けしても1人あたま白金貨20枚(約2000万円)※1にもなってしまった…………。




―――こんなにあっても使い(みち)がな……。




まぁ、あっても邪魔になるものでもないし、冒険者ギルド口座に預けたままにしておこう。




その時―――――




「決めましたわ!!!」

「ッ!!?」


突然大声を上げたスーリアはいつの間に開いていたのか ぱたむ と死霊秘法(ネクロノミコン)を閉じた。


「いきなり大声を出すな。まったく

びっくりするだろ「次は"聖者の灰"に致しますわ!」


私の(たしなめ)める声もどこ吹く風で、スーリアは目をキラキラと輝かせている。


「…………それが次に求める

素材なの「はい。わたくしもCランクに

昇格出来ましたので、王都 大聖堂地下の

"叡霊聖廟(えいれいせいびょう)"に入る資格を

得る事が出来ましたもので!

そこのボスがドロップすると言われている

"聖者の灰"を次に手に入れる事に致しましょう!」




―――うん? えいれいせいびょう??




まぁ、私は他国の出自だからというのもあるが、初めて耳にする言葉が出てきた……。


しかし入るための資格にランクが求められるということは、そこはダンジョンなのだろうな。


うん。こう言っては何だが、久々のダンジョン探索はなかなか心が踊るものがあるな。


「成程。理解した。では出立は明日に

するのか「さようでございますわね!

今日はもう日が傾いておりますので、

明朝、王都へ向かうことに致しましょう!!」


そう私に答えながらスーリアは立ち上がり、グラスになみなみと()がれていたワインを一気に飲み干す。


その飲みっぷりに周囲の冒険者たちが やんややんや と喝采を送る。


そして何度か見たその光景を目にした私は、ついついまたもため息を()らしてしまった。

※1:この世界の通貨レート

銅貨1枚=100円

銀貨1枚=1000円

金貨1枚=10,000円

白金貨1枚=100万円

虹金貨1枚=1億円

(てきとう)


タイトル和訳「聖廟」


(2026/08/29)

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