第14話▷The road to the royal capital
ちょっと短いですが、
キリよくまとめられたので。
冒険者ギルドで偶然居合わせた、不可解な懐かしさを感じさせた3人とはあれから出会うこともなく、私はキャスティアの街を旅立った。
私を担当してくれたギルド受付嬢のクララにだけ別れの挨拶を告げたのだが、想像以上に私との別れを惜しんでくれた。
「……こういう旅も、いいものだな。」
馬車に揺られながら、外の景色に目を向ける。
生まれも育ちも皇族という立場上、こういった質素な環境には馴染みがなかったが、どちらかと言えば今のような簡素な状況のほうが何故かしっくりと落ち着く。
この王都までの馬車も高くなく安くもなく、中の上クラスのグレードだが、これぐらいが丁度いい。
王都に到着するまでの5日間、のんびりと旅を楽しめばいいのだろう。
キャスティアの街に滞在したのは1ヶ月程度でしかなかったが、冒険者として活動する上で、初めて拠点と定めた都市だったからだろうか。
思いのほか寂寥感を感じる。
「………………。」
窓から見えるキャスティアの城郭も次第に小さくなっていく。
それを見る私も、自身の胸に灯る一抹の寂しさを否定は出来なかった。
しかし、私としても冒険者として上を目指してみたいという気持ちが芽生えてしまったのだ。
現在プラチナクラスのBランクだが、ダイヤモンドクラスのAランクに昇格するにはもっと大きな都市の冒険者ギルドで試験を受けなければならない。
そこで他にも選択肢はあったのだが、私は次にこのルーンネリア王国の王都グランネリアを次の活動拠点にすることに決めたのだ。
それにしても僅かひと月余りで自分がBランクにまで至るとは思いもしなかった。
聞いた話だとフロルはBランク昇格まで2年ほど期間を要したと言っていたが、こう短期間で同じBランクに追いついてしまうと何とも言えない申し訳ない気持ちが生まれてきた。
「フロル――――――」
左腰に挿している聖剣ソウルオブナイトに手を触れる。
―――私にはフロルがついている。
常に私と共にある…………
それならばもっと高みに連れてゆけば良い。
まだ旅は始まったばかりなのだ。
とは言うものの、私のレベルは早くも38に達している。
予想外に魔界の僻地に通じるゲートでの経験が糧になっていたのだろう。
余りの私の成長の速さにクララも舌を巻いていたな。
『アリサさん……、、、
あなた、化け物ですか…………!!』
「ふふふふっ」
クララの目を丸くして驚愕していた顔を思い出して思わず笑ってしまった。
彼女はフロルと歳が近く、私とはひと回りほど離れていたので、対人に難がある私からしても存外に話しやすく、活動報告する際には随分と助かったものだ。
『知ってます?
アリサさん、ここら界隈で
【白百合の姫騎士】と呼ばれているそうですよ!』
『は? いや、そ、それはきっと、、、
人違い、だろう…………。』
『いえいえ。もうバレてますって。
今身に付けてる革の胸当じゃなくて、
探索の時は白い全身鎧を
装備してますよね? 結構有名ですよ?
皆さん、ちゃんと見てるもんですよ。』
『……………………。』
他愛もなく彼女と交わした会話が
次々と脳裏に思い出された。
そうだな。
何も今生の別れ、という訳ではない。
またそのうち、
キャスティアを訪れることもあるだろう。
その時こそ、頑張って彼女を食事に誘ってみよう。
そして、彼女にもっと"すごい"と言って貰えるよう
幾つか土産話を用意出来るように、
私自身も更なる精進を続けてゆかねば。
そんな事などを物思いに耽っていた私だが、馬車の揺れの心地良さから睡魔を呼び寄せてしまったようで、暫しの時間と自分に言い聞かせて目を閉じた。
結局セイヤくんたちとはすぐお別れで
舞台もキャスティアから王都に移ります。
そして次回から2節が本格的に始まる感じですね。
タイトルも「王都への道」でした。
(2026/06/27)




