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第1話▷幸せな夢

さて。今回から第2章になります。

今章はありちゃんが単独主人公になります。

例によって1章の3人と同じく

前世の記憶はありませんが、

姫騎士っぷりは健在ですのでよろしくお願い致します。


なお、時系列は1章開始のちょい前くらいの時期です。

目を醒ますと、見慣れた天井だった。


窓からは朝日が(こぼ)れており、小鳥の(さえず)りが耳に入る。


「―――朝か」




()()()―――――




()()()()()()、目覚めた瞬間自分が()()()()()()()()事を改めて確認する。


どんな内容だったのか、今まで1度たりとも目が覚めてからも覚えていたことはないのだが、直前に見ていた夢が自分にとってとてつもなく至福に(あふ)れ身も心も満たされていた感覚だけが残っている。


何時からだったのかは全く記憶にはないが、もの心着いた頃からずっと毎日だ。


毎日毎日、欠片(かけら)も覚えてはいない幸せな夢から現実に引き戻され、そして虚無感すら(おぼ)える現実と向き合う日々を繰り返して来た。




―――この、(よわい)14を数える今日(こんにち)まで…………。




「………………。」


とは言え、何時までもベッドの上にいても仕方がないので、私は起き上がり呼び鈴を鳴らした。


数秒と間を置かず、自室の扉がノックされる。


「おはようございます。アリサ殿下。

本日もご機嫌麗しゅう。」


そしていつもの様に自室の扉が丁寧に開かれ、私付きの侍女であるフロルが美しく控えめな所作で入室して来た。


「おはよう、フロル。今日もいい朝だな。」


フロルに返答しつつベッドから立ち上がる。

彼女はそれを受けて晴れ渡ったにこやかな笑顔を私に向けてくれた。


「姫さまの(おっしゃ)る通り、

本日も実に気持ちの良い朝でございます。

……それでは姫さま、失礼致します。」


そしてフロルが私を寝巻きから着替えさせてくれる。


いつもと全く変わらないルーティーン。




「……はぁ。」




…………しまった。

私としたことが、思わずため息が漏れてしまった。


「……? 姫さま?

いかがなさいましたでしょうか。。」


実に迂闊(うかつ)だった。

どうやらフロルに心配をかけてしまったようだ。


「……いや、なんでもないんだ。

どうか気にしないで欲しい。」


努めて笑顔を作り、フロルに言葉を返す。


「何かございましたら、このフロルめがいつでも

姫さまのお話をお(うかが)い致しますからね。」

「うん。いつもありがとうフロル。」


フロルは私が幼い頃から、実によく尽くしてくれている。


そんな彼女に、無意味な心配をかけさせる訳にいかない。


この虚無感は私自身の問題だ。

私が向き合わねばならぬ問題だ。


とは言うものの、この筆舌し(がた)い、えも言われぬ精神的脱力感から解放される日が来るのだろうか。


自分にとって、何ものにも代えられぬ大切な何かを欠いているかのような虚無感。


何をおいても忘れてはいけない重要な何かを思い出せない焦燥感。




恐らく私にとって、

私の魂の本質において、

欠けているであろうその何かは、

きっと夢の中では自分自身の中に

充分に満たされているのであろう。




だからこそ、

目覚めて現実に引き戻されるその瞬間まで、

私は至福に満ちあふれた笑顔を浮かべているのであろう。




―――まぁ、考えたところで答えが出ないのは判っているのだがな。




「姫さま。身支度(みじたく)完了致しました。」


「いつもありがとうフロル。」


フロルの手際はいつも通り、非の打ち所がない。


「さて。では行くか。」


そして私はいつも通りのルーティーンに(のっと)り、自室を出る。




私の名は、

アリサ=ウエストファリア=ラスティアーナ。


この神聖ラスティア帝国の第二皇女だ。


喪失感や虚無感なぞ心の奥底に封じ込めて、この誇りを胸に生きていかねばならないのだ。

元々の原典「セカスイ」も主人公5人でお話を書いていたのですが、

その中でも作者は亜里紗(ありちゃん)が1番のお気に入りでして、

当初のモブ扱いプロットからの大躍進でメインヒロインにまで昇りつめたのですけれど、

やっぱり我慢出来ずに推しキャラを早く書きたくて2章を開始してしまいました!


とは言ってもかなりの見切り発車でして、

今後の細かい展開とかまだ詰めきれてないので、

進行はだいぶゆっくりになるかと思いますが、

どうか1章に続き2章も、

ヒロインアリサもよろしくお願い致します° ✧ (*´ `*) ✧ °


(2026/05/12)

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