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人間と偽って暮らすトラウマ持ちの魔女、番の竜人に拐われましたがそれなりに幸せです  作者: 立花 みどり
第一章

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変化の始まり


 セドリックは全然帰ってこなかった。

 正確にはリゼが起きている時間には帰ってこなかった。


 何度かこっそり一瞬帰宅して、リゼの眠る寝台に潜り込み少しだけ一緒に眠ってまた登城、ということをしていたらしい。

 使用人に口止めまでして。


 朝起きるとセドリックの濃い匂いがベッドに残っていて、屋敷中の人間に聞いたところレインが白状したのだった。


「なんでこっそり帰ってくるのよ」


 呟くけど返事はない。


 起こしてくれればいいのに。会いたいのに。

 リゼは拗ねていた。セドリックに会えない間、セドリックへの気持ちはすっかり成長していた。



 そんな中、ピネの番が体調を崩し、しばらくお休みすることになった。


「すみません、こんなときに。患者が暴れて怪我をしちゃったみたいで。しばらく介助が必要そうなんです……」


 謝りつながらもピネはそわそわと落ち着きがなく、今すぐにでも番のそばに行きたいんだろうということがわかった。


「大丈夫、そばにいてあげて。元気になったらまたお願いね。はい、今すぐ帰って、心配で落ち着かないんでしょ」

「……はい!ありがとうございます」

「気持ちはわからなくもないから。じゃあ、またね」

 

 ピネは申し訳なさそうにしつつ午前中には退勤して行った。

 

 後でレインに聞いたけど、ピネの番は肋骨と左足を骨折しているらしい。重症じゃん。ピネには是非とも看病してきてほしいと思う。

 番と会えない辛さを今実感しているから。ゆっくり過ごしてきてほしい。


「ピネたち夫婦は現在は公爵邸で住み込みで働いていますから、どうしてもピネに会いたくなったら言ってください。私が案内します」


 レインが気遣ってくれる。


「住み込みなの?」

「はい、リゼ様のおそばに仕えるものは基本的に住み込みですね。公爵邸には結界があってこの中で暮らす方がむしろ安全ですから。政敵などが使用人を脅して従わせる、という方法を取りづらくするために、家族と一緒に住み込みを推奨されています」

「すごく、厳重なんだね……」

「リゼ様を守ると言うことにおいて、手は抜けませんから」


 そう言ってレインは苦笑した。



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