幼児置き去り事件
前回のあらすじ
シオン「わーい!脱出できたー!早く帰ろー!」
這い寄る虎と龍…
シオン「ふぇ…?」
はっじまっるよー!
えっまってアイツめっちゃ足速いんだけど!?
無理無理無理!
おまっ…今まであんまり走ったことない奴にひどい仕打ちじゃぁないですかね!?
ヘルプミー!ヘルプミー!ダレカタスケテー!
ガチャ
あっ扉が開いて……
とらァァァァ!?
アイエー!?なんでここに虎が!?
ヘルプミー!って言ったら血塗れの虎が現れるの!?何それ怖い!
ってか挟み撃ちじゃね?コレ?
死ぬくない?これ?…そうは行くかこのやろぉぉぉ!
よっこらせっ!
ガチャ
バンッ
「すぅっ!バリア!」
待ってよ!待ってよ!状況処理しよう!
まず牢屋に閉じ込められてて?
それで抜け出したら真っ赤な龍に追いかけられて?
逃げてる先に虎がいて?
急いで近くにあった扉に入って…それでバリア貼ったね!
とりあえずひとまずこれで安心…かな?
「おんぎゃァァーおんぎゃァァー!」
( 'ω')ファッ!?
えっえっ?この部屋に赤ん坊がいるの!?さっ探さなきゃ!
どこ?どこ?
っていたァァァ!本棚に埋もれてるじゃないか!
よっこらせ!っと……
赤ん坊1人と…子供が1人か…
ええっと!回復しなきゃ!緑の玉出てこい!こい…来い!
カランコロン
出てきたァァ!って赤ん坊に外傷はないっぽいね!子供の方は…
「起きてー起きて下さいー」
ユサユサ
起きるかな?子供は女の子。赤ん坊は男の子だね
「ん…だあれぇ?」
おっと起きた。女の子の方は片足ぽっくりイッちゃってるね
それに頭から血が出てるし、怪我に気づく前に早くこれ飲ませなきゃ
「ええっとね…まずこれ食べてくれるかな?」
うわー露骨に不審者なんだけど…でも仕方ないよね?
気づく前に飲ませて、痛みを消さなきゃ
「…?うん」
すぐにペロリと食べてくれた。足はすぐに元通り…でも問題がひとつある
彼女の顔は歪んでいった
「うぇ…まずい…」
知ってた。私も体験したからな!ひとまず、この2人連れて森に戻るか!
2人を抱きかかえて部屋にある窓から飛び降りた。そして、ここ何階かを確認するのをすっかり忘れていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
地下があるからてっきり、1階だと思ってたが…違うらしい。
落ちていく体。浮遊感…危機感を覚え私は急いで子供たちバリアを貼った。
ドゴォン
地にたどり着いた時、辺りを見渡す。それは、まさに戦場であった。
兵士の悲鳴。銃の音。鳴り止まない音達。
吐き気を覚える……気持ち悪い
早く…森に帰らなきゃ…ってどうやって?
場所すら知らないし、誰か分かるかな?
とりあえず、近くにあった家に入る…
「きゃぁぁぁ!」
扉を開けると女性が、子供を抱きかかえて泣いていた。
恐らく逃げ遅れた被害者なのだろう。
「お願いします!この子だけは!」
と言っても、襲う気なんてサラサラない。あっもしかして、赤ん坊を抱きかかえて手には子供を連れているから誤解してしまったのかな?
早く訂正しなければ…
「ええっと…恐怖…森はどこ?」
なんだこのカタコト!人見知りかよ!
女性はオドオドしながら、指を向けた。その方向は女性の真後ろだった。
とは言ったものの、私方向音痴だから絶対に迷う気がする。
だって…自分の森の中でもものすごく迷ってたからなぁ
案内してくれたら助かるんだけど…
「案内してくれたら…命…助けてやる」
そう言うと女性は、子供を抱きかかえて歩き始めた。
女性についていくとだんだん見た事のある。光景になってきた。
故郷の跡地であった。
「ありがとう…ここの跡地に住んでくれたら命助けられる」
まぁ…事実だ。使う予定もない跡地なんだ。
誰か住んでくれたら助かる。それと二度と襲われないよう森から跡地へバリアを拡大しておこう。
「おっお言葉ですが…私一人で働くとなると力もありませんし、家なんで建てれません」
そうだよなぁ…
うちの男達に手伝わさせるか…!とりあえずバリアを拡大せねば
イメージ…イメージ…跡地を囲うほどのバリアを…
「きゃっ!うっ薄い壁…?」
どうやら成功したっぽいね!
スクロとナーフを呼ぼうか、おっと大事な事忘れてた
「貴方の名前は?」
「ヴェールです。この子は、シロク女の子です」