第3章~再び赴いた新小岩駅
急遽、思いもよらず新小岩駅に行く事になりましたが、数年前から総武快速線ホームにホームドアが設置されたし、前ほど悍ましい事は起きないんじゃないかな?
当時の状況を思い返しながら、今回は気を張らないで新小岩駅に行ってみる事にしました。
翌日の宿直明けに、所用を済ませてから昼頃に総武線各停で新小岩駅に行きました。
同僚の坂崎さんが違和感を覚えたのは、ホームのどの辺なのだろうか?
各停側のホームだろうか?
それとも、快速側のホームだろうか?
何の情報も無いまま、とりあえず、降り立った各停側のホームの千葉寄りの階段をコンコースに向かって下りて行きました。
「やはり、新小岩と言えば快速側ホームだろか?」
コンコースから、快速側のホームに向かおうとした時に、
「いや、待てよ…、各停側の東京寄りホームにまだ行ってないよな…」
「まずは、各停側のホームを調べてからにしよう」
と、思い、東京寄りの各停側ホームに向かう階段を上っていきました。
平日のお昼過ぎだけあって、各停の東京寄りホームには4人しかいませんでした。
「まあ、各停側のホームは念の為だよな…」
一応、各停側の東京寄り階段上と、千葉寄り階段上の間のホームも調べてみる事にしました。
すると、東京寄りの階段上と千葉寄りの階段上に挟まれた、丁度真ん中辺りのホームで、もの凄い違和感を覚えました。
東京寄りのホームには4人の方々…、
それは変わっていない…。
「じぁあ何だ…、この違和感は!」
こうなると衝動的に動く事が出来ずに、心拍数も徐々に上昇していったのです。
新小岩駅のホームで、所謂「ゾーン」に入ったのはこれで2度目…、
しかも今度は、各停側のホームで強い霊気を感じる…。
しかし、この違和感が何なのかが分からない!
目の前に地縛霊がいる訳でもない…。
金縛りにあっている訳でもない…。
不審な影や光が見える訳でもない…。
ただ、霊的な何かを感じた時に聞こえる、何ともいえない高音が脳に直接響いていたのです。
「坂崎さんが言っていたのはこれか!」
「だけど、彼に霊感あるって話は聞いた事ないな…」
「でも、確かにこの雰囲気はおかしい…」
「気分が悪くなったのも分かる気がする」
各停側のホームにはホームドアが無いので、万一転落するような事がないよう、冷静さを保つようにしました。
それから、どのくらい時間が経ったのだろう。
昼時とはいえ、新小岩駅で普通列車が到着する間隔なんて然程でもないでしょう。
時間にしたら数分なんでしょうが、それがかなり長く感じました。
「千葉寄りのホームはどうなんだろう?」
首を持ち上げるように向こうを見ましたが、数人いるだけでした。
「もしかしたら、上の方に何かがいるのか?」
浮遊している物体がいるかどうか、じっくりと屋根の下を見回してみました。
「いや、何も見えない…」
「やはり、快速側のホームか?」
見える範囲で、快速側の屋根の下を見回してみましたが、何も見えませんでした。
快速線はホームドアが設置されているので、ホームの下側はどうなっているかは分かりませんでした。
いろいろ考えてみたものの、これといって何かが見えたりはしませんでした。