プロローグ 「あなたメリーさん!?」
思いつきで書き始めてみました
「もしもし、わた――」
「もっしかしてメリーさんってやつ!?」
「っ……?」
メリーさんは驚いていた。
「えどうしよう!?ねぇ、どうしましょうっ!私メリーさんって初めてなの!」
「あの……」
「あっ、まずは名乗るものよね?でもでもっ、怪異さん相手に名乗るのってどうなの!?もしかして呪われちゃったり!?きゃーっ!」
狭い公衆電話の中、ひたすら一人で喋り続ける女性相手にメリーさんは困惑している。まず彼女は誰なのだろうか。
怪異となって早10年。弱小幽霊から、ようやく現実に干渉できる力を付けた。にもかかわらず、初仕事がコレ。
思い起こした相手へ電話を掛ける能力。そして恐怖した相手の心の隙をついて現在の位置を知る。それがメリーさんに該当する怪異の能力。
基本的には特定個人に対して強い未練を抱く幽霊が進む道。
そしてそれはつまり、今この状況においては発動条件を満たせないということ。
(ど、どうしよう……先輩は「勝手に脳内に情報流れ込んでくるわよ」とか言ってたけど、この人1ミリも怖がってない……せっかく雰囲気作りのために誰もか無さそうな公衆電話見つけたのに……しかも汚いし、なんか臭い)
だが心折れてる場合ではない。
(せっかく再会するためにこの道を選んだんだから頑張らないと!)
両手をギュっと握りしめ、少女は胸に勇気を抱く。幽霊になった目的――初恋。
既に怪異としての威厳など欠片も無いが、その未練を晴らすまでは立ち止まるわけにはいかない。
「あ、あのっ!あなたはどちら様でしょうか!?」
誰かと電話をするのも初めての体験。
勇気を振り絞った少女の想いは果たして、電話口の女性へと無事伝わったようだった。
「うふふっ、私はアヴロース」
万物の心を温める優しい風のような微笑みが零れた。
「さぁ、小さく可愛い怪異さん――愛の女神はあなたの声を聞き届ける準備を終えたわ」
ありがとうございました




