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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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推測

結果として、ユリア様は王妃として立派に成長なされた。


次代を担う子を産み、立派に育て上げた。


王妃としてクラウス陛下を支え、民の平穏を保ってきた。


それは魔王を倒した儂なんかより、よっぽど賞賛されるべきこと。


「……そう考えると、儂はまだ半人前かもしれんな」


「シグルド殿? どうしたのですか?」


「おっと、すまぬ。少し考え事をしていてな」


儂の顔を覗き込むアリア殿と、当時のユリア様が重なって見える。

そっくりというわけではないが、同じような雰囲気といったところか。


「トロールのことですか、流石ですね」


「う、うむ……」


そうじゃった、今はこっちに集中せんと。

村に到着して、まずは村長から話を聞いたんじゃった。

トロールの目撃情報があり、その後の対策を考えていたのだ。


「それで、どうしましょう?」


「アリア殿の方がランクは上なのだが……」


「す、すみません……そうですね、しっかりしないと」


「いや、別に頼ることは悪いことではない。ただ、これはアリア殿が受けた依頼ということだけじゃよ」


どうにも、彼女は人に頼る経験が少ない感じだ。

距離感が掴めてないというか……こういう部分もユリア様に似ているのかもしれんな。


「ありがとうございます……それはそうですね。では、まずは話を整理します。何か変なところがあったら仰ってください」


「うむ、わかった」


「まずは目撃情報です。村の近くにある森にて、魔獣の死体などが見つかったことが始まりですね。それから数日後、トロールを見た者がいたとか」


「その時点で割とおかしい気がするのう」


村人は戦いの専門ではないから、依頼書には記載しなかったのだろうが……そもそもトロールは、妖魔とあると同時に食人鬼とも呼ばれる人類の敵である。

奴等は視覚が鈍い分嗅覚にも優れているので、村人が発見された時点で襲われているはず。

それに大食漢でもあるので、魔獣の死体を放置しているのもおかしい。


「そうなのですか?」


「なに? ……そうか、妖魔はよく知らんのじゃな? そうなると、儂が主導的役割を担う方が良いか」


「不勉強ですみません……何となくは知っているのですが」


「いや、無理もない。儂はたまたま知っているに過ぎん。では、軽く説明をしよう」


そうして妖魔の性質、特にトロールについて説明する。

妖魔は基本的に人類に見境なく襲い掛かり、逃げ出すことなどない。

ここから推測されるのは……ボスがいる可能性だという事を。


「そのボスというのは?」


「いわゆる上位種じゃな。妖魔の中には、特殊個体が存在する。そいつらは知性があり、魔獣や人類を食らう事で進化するらしい」


「なるほど……では、今回も?」


「可能性の一つとしてあるかもしれん」


「なるほど……どちらにしろ、現地に向かって調査ですか?」


「うむ、そうなるのう。もう日が暮れているので、明朝に森に入るとしよう」


「わかりました。それにしても……人気者ですね」


アリア殿の視線を追うと、そこには子供達に囲まれているオルトスの姿が。

最初は警戒していたのだが、儂のいう事を完全に聞くので安心したらしい。

エルやアルトのおかげで、子供の扱いにも慣れているしのう。


「わぁー! ふわふわ!」


「ウォン!(我はフェンリルなので当然である!)」


「おっきなわんちゃん!」


「ウォン!(わんちゃんではない!)」


「吠えたっ! かっこいい!」


「ウォン!(うむ!)」


……全然、話は噛み合ってないが。

まあ、村の警戒心を解いてくれたのは助かるわい。

冒険者は荒くれ者も多く、村人が警戒することが多いとか。


「ふふ、あんなに人馴れしたシルバーウルフは初めて見ました」


「おや、シルバーウルフを知っているのかな?」


「え、ええ……実家の近くで見たことがあるのです」


「ふむ、そうか」


北の大地位階でシルバーウルフがいるところ……思い当たる節がある。


ここから更に西に行った先に、生息していると聞いたことがあったはず。


なるほど、このお嬢さんの正体が少しずつ見えてきたわい。






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