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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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新たな街

 街までの道中の間に、軽く自己紹介をすませる。


 アリアと名乗る女性で、銀色に輝き腰まである髪が特徴的だ。


 キリッとした顔つきに似合い、如何にも女騎士を彷彿させる佇まいである。


「ウォン!(主人!我も!)」


「おおっ、そうじゃったな。此奴はオルトスといい、儂の相棒じゃ」


「従魔ということですか……あっ、敬語になってしまった」


「ほほっ、別に無理はせんで良い」


 儂は堅苦しいのは好かんので、もっと砕けた感じで良いと伝えた。

 アリア殿の年齢は20歳とのことじゃが、儂は別に気にしない。

 むしろ今の見た目の場合、儂とほぼ変わらないしのう。


「こ、これも、シグルド殿が大人っぽいのがいけない。しかも、口調までまるで祖父と話しているかのようだ」


「それは悪かったのう。じゃが、儂はこの口調に慣れてしまっているのだ」


「雰囲気も同世代とは思えないですし……敬語で良いですか?」


「うむ、そこは好きにせい」


 そこで、アリア殿の視線がオルトスに向かう。


「ところで、オルトスはシルバーウルフでしょうか?」


「うむ、シルバーウルフの成体じゃな」


「それを従魔にしてしまうとは、オークを倒した手際といい……相当な実力者とお見受けします。先程は新人冒険者と言いましたが、ランクは聞いても?」


「鉄級じゃよ」


「鉄級!? いや、鉄級でもオークは倒せるとは思いますが……あそこまで鮮やかにはいきません。その前は、何か戦いを生業に?」


 ……さて、どうするかのう。

 流石に魔王退治をしていたとは言えんし。

 いや、それに参加していれば強さを誤魔化せるか。

 北の大地は魔王に支配され、冒険者ギルドの支部なども無くなっていたしな。

 儂の沈黙を受け取ってか、アリア殿が頭を下げてくる。


「詮索しすぎて申し訳ない」


「いや、気にせんで良い。あんまり吹聴せんで欲しいが、魔王軍との戦いに従事していたのだ」


「なるほど! それならば納得がいきます! まさか、歴戦の勇者に会えるなんて……あれ? シグルドといえば、魔王を倒した英雄……同じ名前ですね」


「別に珍しい名前ではないじゃろ。強いて言えば、両親がシグルド卿に憧れてつけたくらいか」


「確かにそうですね。その、よろしければお話を聞いても?」


「儂で言える範囲でよければ構わんよ」


「あ、ありがとうございます!」


 そうして、道中の間に魔王軍との戦いを語る。

 儂視点というより、ユーリスなどから聞いた話が大半だが。

 アリア殿は目を輝かせ、儂の話に聞き入るのだった。


 ◇


 そして一時間ほどで、それなりに大きな城壁を持つ街に到着する。


 アリア殿によればザイードの街といい、我が国の西の国境付近にある大きな街らしい。


 資源がある森なども近く、それ故に商人や冒険者などでそれなりに栄えているとか。


 門に近づくと、案の定オルトスが兵士達に止められる。


「シ、シルバーウルフ!?」


「なんと立派な個体だ……!」


「ウォン……(我、あんなのと一緒……)」


 オルトスの尻尾がしょんぼりするのもいつも通りじゃな。

 更に街に入るたびに驚かれて、いつも入るのに時間がかかる。

 これでフェンリルだとバレた日にはどうなることやら。


「お主達、こちらの従魔なら安心していい」


「これはアリアさん!」


「一人で出て行ったので心配しましたぞ」


「す、すまない……そうか、ありがとう」


 そう言い、何やら気まずそうにする。

 なるほど、別に人間関係が悪いわけではなさそうじゃない。

 ひとまずアリア殿のおかげで、すんなり門をくぐることができた。

 無論儂の冒険者カードと、オルトスの腕にある従魔の印があるのが一番の要因じゃ。


「アリア殿、感謝する」


「ウォン!(いつもより早かったのだ!)」


「いえ、これくらい大したことではないので。なので、きちんとお礼をさせて頂きたい。何か、知りたいこととかありますか?」


「そうじゃな……周りが静かで、うまい飯が食える宿があったら嬉しいわい」


「……ふふ、おかしな殿方だ」


 すると、花が咲いたように微笑む。


 不覚にも、儂は見惚れてしまう。


 名前といい……多分、若き頃のユリア様に似ているからだろう。

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