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僕らが子供だった頃  作者: ひおむし
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プロローグ

のんびり不定期更新です。

「……また随分濃厚な編入生が来たものだな。しかも2名も」

 ゼーゲン王国第二王子、アルフレートは手の中の紙を睨みつけた。

「外交に積極的になる事自体は良い事だと思いますが、面倒も増えますな」

「積極的というか手当り次第という感が拭えないぞ」

「殿下、こちらに先方の家から是非にとの書状が届いておりますが」

「そういう家は『是非に』のけておいてくれと言ったはずだが」

 はぁ、と眉間を揉む姿に侍従が苦笑いする。

 光を反射するプラチナブロンドに水色の瞳。絶世の美女と名高い母親に生き写しのアルフレートは、その美しい顔にうんざりとした表情を浮かべた。

 何しろもうすぐ新学年が始まろうというのに、未だ自分の同室者が決まらないのだ。

 今までははとこである侯爵子息が同室になってくれたが、昨年卒業した為また新たに同室者を選定しなくてはいけなくなってしまった。

「家から要望が出せるって事は高位貴族だろう。そんなのが俺と同室なんてそれこそ面倒事しか浮かばん」

「まぁ、殿下は従者もお連れではないのですから、ある程度自分で動ける身分の方が良いのでしょうねえ」

 ふむ、と他の書類をめくる執事の言葉にまた眉間に皺がよる。顔をしかめても崩れない美しさだが、頭が痛くなる。

 本来、れっきとした王族であるアルフレートが王立学院とはいえ寮に入るのならば護衛を兼ねた従者がつけられる。だが、アルフレートは現在とある事情で側近も従者も敢えて作っていない。

 15歳にして神々しいまでの美貌に、途方もない魔力、くわえて本人の気質もあってか優秀さも折り紙付きであるアルフレートにはお近づきになりたい者が山ほどいる。

(かといって、誰でもホイホイ付けられるわけにもいかないからな。特に今は)

 だからこそ、本来であれば学院が決める部屋割を特別に決めさせてもらっているのだ。学院内で王族の権力を使うのは本意ではないが、そうしないと周囲への影響が大きすぎる。

「確かに、殿下のご意向を汲むのであればこちらの編入生の方が都合が良い、とは思いますが」

「……そうなんだよなぁ」

 はぁ、と再びため息が漏れる。

 どうにも考えが堂々巡りだが、条件だけならこの上なくアルフレートの希望通りなのだ。

 だが、同室になると言う事は完全にこちらの事情に巻き込む事になるので、どうにも二の足を踏んでしまう。

「とにかく、一度打診してみるか。……困らせてしまうだろうが」

 吹っ切る様にそう口にし、アルフレートは書類を指ではじく。

 そうなさいませ、と安心したように笑う執事に肩をすくめ、改めて書類に目を通した。


「……しかし、こっちの編入生はえらく眠そうな顔だな」

 写真の下にある、『ランベルト』の文字を指で弾いた。


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