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29,変人ドワーフ

只今ブクマ91人!!

ブクマ100人記念には、特別な挿話が無いとか無いとか……。ええ、ありませんよ?

最近魔法の練習ばかりしていたので、今日は本当にぶらぶら歩くだけにする。

図書館も行かないし、魔法も使わない。やらないったらやらない。


俺的には練習は苦痛ではないので、別に毎日やってもよかったのだが、情報を仕入れるのも必要だというのと、ミーナに心配された。もうちょっと別のこともしたらどうかと。


そうだな、ギルマスから紹介状も貰ったし、指輪をつくって貰いに行くのもいいか。

あとは、先延ばしにしていた商業ギルドも行ってこよう。


その後俺は、いくつかの露店を冷かしながら西区のあたりに向かう。


途中の露店で、(いか)ついおっさんが売っていた串焼き(何の肉かはわからない)が、凄い良い匂いを放っていたのでつい買ってしまった。


「おう、毎度ありぃ!」

「あ、思ったより気さくな声出すんだな」


反射的に言ってしまったが、その見た目に似合わずフレンドリーな性格をしていそうだった。

俺の言葉にも軽く苦笑いをして済ませると、手早く次の串焼きを用意し始めた。


「あんちゃん見ない顔だよな。この街で何か不自由してないか?」

「んー、今のところは平穏に過ごせてるよ」

「そうか、それはよかった!なんかあったら言えよ?この街は基本善人が多いからな!誰かしら助けてくれるぜ?」


良い笑顔でそんなことを言ってサムズアップする彼に、頷きと軽い苦笑いを返して、俺は串を口に運んだ。お前がまさに善人の筆頭なんだろうなと心の中で突っ込みながら。



旨い。

濃い目のタレが小振りの肉にたっぷりとかけられて、良く絡んでいる。

肉はしっかりと歯ごたえがあり、それでいて筋はない、丁度いい噛み応えになっていて、しかもどうやってか、肉のジューシーさを失っていなかった。

ややジャンキーというか、大味ではあるものの、しっかりと考えられた味付けに、病みつきになる。

そこまで腹は減っていなかったのに、直ぐに串一本を食べきってしまった。


「……旨かった。有り難う」

「おお、あんなに旨そうに食ってもらえるなら料理人冥利に尽きるってもんだ!また今度寄れよ?」

「ああ」


ニカッと憎めない笑みを浮かべる男に、俺も笑みを返すと、また来ようと決心しながら歩き出した。


―――――串は露店の隣にあったごみ箱に捨てた。


***


この街は、四つの区域と中央区からなると以前言った。

大まかにだが、どちらかというと西区の方に鍛冶屋が多く集まっているらしい。


ギルマスに軽い地図も貰ったので、それを頼りに道を歩く。

地魔法で固めているのか、結構道はきちんとしたものだ。


やがてたどり着いたのは。


「これって……鍛冶屋だよな」


指輪をつくれる人の紹介といったが、明らかにこれは鍛冶屋だ。

まあ、手先が器用で指輪も作れるということなのだろうか。


俺は、そう考えることにして、誰の気配もしない店内に入っていった。


***


「奥にいるのか」


薄暗い店内に入ると、やはり誰もいない。周りには直剣、片手剣、大太刀、斧、果てはハンマーなど、ありとあらゆる武器が所狭しと並べられていた。どれも、かなりの業物だと《直感》が囁いている。


奥に一人気配がする。

恐らく俺に気付いているだろうから、こちらに来るのを待つ間、武器を見て待つことにする。


売り物だし、鑑定していいよな?

俺は心の中でそう言い訳をしながら、近くにあった刀を手に取った。

というか、普通にあるんだな、刀。

東国の方にだけある、とかっていう展開ではなかったようだ。


$$$$$$$$$$$$$$$$$$$


名 : 無銘(刀)


効 : なし


$$$$$$$$$$$$$$$$$$$


……。

使えないな《鑑定》。


何もわからない。

《鑑定》って特殊効果しか分からないからな……。


もうちょっと使い勝手のいいものだと良かったのに。

そんなことを内心で愚痴っていると、奥で人が動く気配がした。


「ん?誰かいやがんのか?」


と、およそ客に向けるものとは思えないセリフとともに現れたのは――――――ドワーフだった。


***


「ん?誰かいやがんのか?」

「客に向かって言うことじゃないだろ」


思わず突っ込んだ。

出てきたのは、130センチメートルほどの背丈で、がっしりした横幅の男。

その顔には立派な髭が蓄えられており、ドワーフであることをこれでもかと主張している。


そしてその手には、等身大レベルで大きい金槌が握られていて、今まで鍛冶をしていたであろう事をうかがわせる。


「生憎とうちは完全紹介制で―――――おい、お前。その剣を見せてみろ」


断りの文句を述べようとしたかと思うと突然鋭い目つきになったドワーフの視線は、明らかに俺の腰に結わえ付けられた《無銘ノ剣》に注がれている。

ドスのきいた声を出すな。客を脅すな。


「?ああ」


大人しく外すと、ひったくるように剣を持ったドワーフは、真剣そのものの目で剣をじっくりと眺める。

時折小さい金槌で軽く叩いたり、刀身を撫でて何かを確かめたりしているその姿は、確かに職人だった。


たっぷり10分はそうしていただろうか。ドワーフは不意に感嘆のため息をつくと言った。


「此処までの業物は久しぶりに見た。ちょっと待ってろ、今創作意欲が沸いてんだ。注文はあとにしてくれ。一週間ぐらい俺は籠る」

「……えぇ」


お前店それでいいのか。若干引き気味の俺のことなど見えてないかのように剣を持ったまま奥へと引っ込んでいってしまった。

と思うと俺を振り向き、一言放った。


「片手剣と刀、どっちが使いやすい?」

「刀を使ったことがないからわからないが……」

「成程な。まあいい、分かった」


何が分かったと言うのか。困惑する俺を置いて、ドワーフはさっさと引っ込んでしまった。


「……どうするか」


はっきりと悟った。

こいつ、変人だ。



因みに、ほとんどの人がお忘れかと思いますが、ベル君が持っている剣は化け物です。

言っちゃえば人間に作れる限界を優に越しています。そんなものを本職の鍛冶屋が見たら、それはもう興奮しすぎて可笑しくなるくらい当たり前のことです。ことなんです。



ところで……食レポが難しい!!

まあ以前の、宿での食事シーンからもお察しの通り、私には食レポの技術が皆無です。


難しくないですか?だって、いきなり「ハーモニー!」とかって騒ぎ出したら頭おかしい子にしか見えないし、まずどんな味なのかいまいちわかってないし……。


美味しそうに食べさせる技術が欲しいですね……。

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